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「よろめきながらマイソールへ」

世界一周197日目(1/11)

バンガロールの朝。
空気は寒いと言った方がいいくらいだ。

炭酸のような体の寒気は昨日に比べたらだいぶおさまった。やっぱ睡眠不足はよくないね。頭フラフラになるから。

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『やべっ…』

外のトイレに行って自分の部屋に戻ろうとしたら急なめまいを覚えた。トイレから自分の部屋まで徒歩7歩の距離をふんばって進む。そのまま南京錠でロックした自分の部屋のドアを開けることなくその場にしゃがみこんでしまう。

気づいたら倒れてた(笑)。あんな経験は初めてした。体調が良くない上に、食欲がなくてご飯も全然食べてなかったからかな。エネルギー摂取も大事ってことっすね。

そんな朝からぶっ倒れるという体験をしてしまったもんだから、朝イチで列車に乗る予定だったけど、パッキングをちょっとだけ残してベッドの上に横になった。あぁ、出発ダルいなぁ。このままずっと寝てたいなぁ。

僕は、この街にそこまで魅力を感じていなかった。次に行こうとしている街はMysore(マイソール)。バンガロールから列車の当日チケットが買えるのだ。だいたい3時間の距離。


8時になってふと気がついた。

『ここってー…24時間制だよな。昨日ここにチェックインしたのってー…』宿代を払い込んだ時にもらったレシートをチェックする。

やばい!あと23分以内にチェックアウトしなくちゃ!!!だ、大丈夫!おれなら23分以内にチェックアウトできる!

そう自分に言い聞かせ残りのパッキングを軍隊並みの速度で終わらせ部屋を出た。階段をワンフロア分降りたところでジーンズのポケットにiPhoneが入っていないことに気づく。バックパックを背負ってダッシュで自分の部屋まで戻って、枕の下にiPhoneを発見し再びレセプションまで降りた。

チェックアウトのリミットまで残り2分。マジで危なかった…。しっかりパソコンで宿泊者の情報を管理して顔写真まで残している様なしっかりした宿だったから、時間を超過してたら余分にお金とられてたかもな。

「はぁ…、はぁ….。お世話になりました。これからマイソールへ列車で向かおうと思います」
「マイソール行きなら8時15分だよ。次の列車は9時半。朝食食べた後に出発すれば?」
なに…。頑張って早く出発していれば列車に乗れたのか。

なんて思っても、列車の時刻なんて知らないんだから、次の列車に乗らざる得ない。たかだか1時間。されど一時間だ。予定ではホスペット行きの列車のウェイト・リストが消化できていればマイソールの滞在も1日の予定だ。

だから一時間の行動時間が削られてしまったことがちょっと悔しかった。

まだまだ体調は元には戻っていない。バックパックを背負ってゆっくりした足取りで駅を目指した。

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とりあえずマイソール行きのジェネラルチケットを30ルピー(51yen)で入手し、売店で日清カップヌードルを発見して食べてみた。

日清のカップヌードルだってのにお値段は30ルピーでかなりお得感があったのだが、お味の方はお世辞にも美味しいとは言えない。麺も柔らかいし、味も薄味。

インドではあんなに味付けの濃い食べ物ばかりなのになぜカップヌードルだけ!!?麺を食べきるのがやっとだった。残ってしまったスープは、ちょっと申し訳なく思いながらも、チャイの空きカップを捨てるごみ箱へそっとおいてきた。誰かがひっくり返さないことを願おう。


ジェネラルチケットには列車の到着時刻も列車の便名も書いていない。マイソールまでと言って買ったチケットだけど、この列車は一体何番ホームにくるんだ?

むすっとした顔のインフォメーションのお姉さんに「このチケットの列車なんだけど…」と尋ねたら、チケットをろくに見もせず「eight!」と言い放った。ね、ねえ、お姉さん、ちゃんと確認した?

ここへやって来る時もそうだったけど、バンガロールでは列車は時刻通りにやって来ないみたいだ。9:30のチケットを買ったのに列車がやって来たのは10:15。バンガロールってなんなの?大きな街のくせして、列車の時刻はかなりルーズ。まぁ、昔に比べたら大分早く来るようになったんだろうけどさ。

だって三年前アーグラーからバラナシまで行く時7時間遅れて来ることもあったからね。今はどうなんだろう?

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マイソール行きの列車はすいていた。

ほとんどの車両がジェネラル用で座席番号とか関係なしに好きな席へ座ることができた。4時間の移動でマイソール駅に到着し、バナナとオレンジでビタミンを摂取する。体がこういうフレッシュなものを求めている気がする。

まずは明日のホスペット行きのチケットのウェイト・リストがどれくらい消化できているかを確かめにIRCTのオフィスへ向かった。4日前に買った時点で自分の番号は「11」。いくらなんでも10人くらいだったら消化できているだろうと調べてもらうとー、

「10」

なにそれ…?ちっとも進んでねえ。それじゃあ明日移動できないじゃん!がっくりと肩を落とし、マイソールの街で宿を探すことに。

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この街はそこそこの大きさの割にバンガロールのように汚くない。メインの通りだったら道路もしっかり舗装されている。たぶんPenny乗れる。乗れる体調じゃないけどね。

偶然見つけた小さな旅行代理店で、3日後の列車のチケットをとってもらった。マージンは30ルピー。けっこう良心的だったな。

最初に当たった宿で値段を訊いてみると、なんと一泊150ルピー!うひゃぁ~!マジかよ!ここに来てこんな安宿にありつけるなんて!

マイソールは安宿があるんだなぁと案内された部屋はベッドとも言いがたい貧相な寝台が一台とバックパックがやっと置けるわずかなスペース。そして薬の臭いが鼻を突いた。

『う"っ…』

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一瞬ためらったが、宿の安さと臭いにも慣れるだろうと楽観的に考えてしまったため3日分の宿代を払い込んでしまった。

一休みして街をプラプラ歩き、ネット屋を探したのだが、ここでも簡単にネット屋を見つけることは難しかった。


やっと見つけたネット屋は一時間40ルピー(68yen)。

もっと安いところはないのか?インド人はほとんどスマホでネット使ってんだろうなぁ。やっぱりネット屋は廃れていく運命にあるのかもしれない。それならもっとWi-Fiを使える様にして欲しいもんだよ…。

久しぶりの2時間のインターネットを満喫した後、少し食欲が出てきたので小さなレストランでマサラ・プリーを食べる。野菜が沢山入っていて、それがありがたかった。

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そして宿に戻り、水シャワーを浴びる気力もなく、日記を書いて寝ようと思ったのだが、外から映画館ばりの大音量でテレビを見ているアホどもがいる。もううるさくって眠れやしない!

そして痒い!

おいおいおいおい!ぜってーここの部屋シラミいんじゃんかー!バックパックからブルーシートを引っ張りだしてベッドに敷き、寝袋に入るもうるさくて眠れない。


「バンッ!!!」

「おめえらうっせーんだよ!眠れねえじゃねえか!ボリューム下げろ!ボリューム!VOLUMEDOOOOOWWWWWN!!!」


下の階のドミトリーの階段に神棚みたいにしてテレビが置いてある。流れているのは映画のエンドロール。ヒマそうなインド人スタッフが2人驚いた顔でこちらを見ている。

はぁ…。あと2日もここに泊まらなくちゃならないなんて。明日もこんなんだったらテレビのコンセント抜いてやるんだから!



現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。