「日本人宿サンタナ・ポカラへ」
世界一周227日目(2/7)
早朝ランニングをする警察たちのかけ声で目が覚めた。
時刻は朝7時。
昨日ルンビニからポカラまでバスでやって来たわけだが、6時間で着くということはなく遅れに遅れた。10時間以上乗ってたことは間違いない。宿代をケチった僕はポカラの茂みで野宿することにしたのだった。
辺りはすっかり明るい。今まで訪れたコホルプルやルンビニのように霧深くは全然ない。そして気づいたことはここが周りから丸見えだってこと。金網の向こう側から売店のおじちゃんたちが面白そうに僕のことを見ている。
いいかい?こういう時にオドオドしちゃダメだ。「グッモーニン!いい朝だね!」くらいの清々しさで迎え撃つ演技力さえあれば、しなやかに状況を乗り越えていけるはずだ。
「いやぁ、参ったよ。バスが遅れちゃって着いたのが夜遅くでね。それに停電じゃない?宿が見つからなくてさ。仕方なしにここで野宿することにしたんだよ」と、140%くらいのお喋りで(喋り過ぎってこと)、売店の前でチャイをすすっているおちゃんたちにフレンドリーに近づいていく。
とりあえず糖分を摂取して脳みそを目覚めさせる。チャイとパンケーキ。合計30ルピー。うーむ。インドとは通過の価値が違うんだけど、同じ単位を使っているからちょっと高く感じるなぁ。
さて、これから向かい先は決めている。日本人宿「サンタナ」だ。
確かポカラの街にもあったはずなんだよ。全く情報調べてないけど、プリーのサンタナ・ロッジで張り紙を見たんだ。
道行く人たちに「サンタナという日本人宿を知らないか」と尋ねてまわる。「あぁ、あそこね!」と言う人もいれば「どこそこ?知らねえな」という人ももちろんいる。途中でおばあちゃんが籠に入れて売っていた焼きたてのチョコレートパンがクソ美味しかった♪
教えられた場所に行ってもサンタナは見つからない。しかもポカラには何軒か日本人宿があるみたいだ。他の日本人宿のスタッフに至っては
「サンタナね~…8年前にはあったんだけど」なんていうデマ情報を僕に吹き込んでくる。
「どう?うちに泊まる?Wi-Fi、ホットシャワーつきで800ルピー」何人も人に訊くうちにだんだん自信がなくなってきた。
あっれ?おかしいな。確かにポカラにあると思ったんだけど。もしかしてカトマンズってことはないよな?
たまたま見つけた日本食のレストラン「aozora」
そこのスタッフさんにサンタナのことを尋ねてみると
「ああ、サンタナね。ここをまっすぐ行って、交差点を右。7分くらいで着くよ」と所要時間まで教えてくれた。ああ!こういう時に「日本」を売っている人たちの情報には助けられるよ!
そしてようやく見つけた日本人宿サンタナ。
他にもゲストハウスがある中、奥のほうに建っているため見つけにくいが、意外とデカい建物だ。
宿の設備の説明を受け、4階の食堂へ上がる。
テラスからは湖が見えた。
そして漫画を描くのにうってつけのテーブルがある!
Wi-Fiが使えることは言うまでもない。
これぞ日本人クオリティ!
「えっと、どのくらい滞在する予定?」
「一週間で考えてます!」
そう。ここへやって来たのは、他でもない!
漫画を描くためなのだ!
年末に仲間から依頼された漫画。
インドを旅する中、何度か下描きをやりとりし、ついに原稿用紙に描いてもいいという「ゴーサイン」が出された。
11時からパソコンで背景資料を探しつつ原稿用紙に向かって漫画の下描きを始めた。
少し肌寒いポカラ。原稿用紙に2Bの芯がよく乗る。ペンタッチもいい感じだ。
資料を探しながらの下描き、久々のネットに作業効率もあまりよくなかった。この日の漫画製作は17時で切り上げた。
この日、僕より少し遅れてドミトリーにやって来た同室のヨウさんと一緒に晩ご飯を食べに行く。
ヨウさんは(ほぼ)世界一周経験者だ。前回の旅の続きということでネパールから旅を始めたらしい。
日本人宿の面白い所は、こうして同じ国の面白い人たちに出会えることかもしれない。
ヨウさんのオーストラリアのワーホリの話や旅の話、旅立つ直前のちょっとした失敗談、人気ブロガーの影の努力(?)の話など、沢山面白い話を聞くことができた。
「やー、ここに着た時は
「モモ」って知らなかったんだよね」
「マジっすか?」
「モモ」とはネパールの代表的な料理のひとつ。水餃子みたいなもので、具材はベジ(野菜)、チキン、バフ(水牛)などがある。
「モモのこと知ってから、食べずにはいられなくなっちゃってね♪」
ということでお互い節約型のバックパッカーなので安いモモを周辺で探すことにした。
「僕、この街のことあまり知らないんすよ」
「必ずいるんだよねー!ポカラ行って何もしてないヤツ(笑)。じゃ、あっち行ってみようか」
何軒か当たってみて分かったことは、ここは観光地だということ。インドやルンビニと比べると大分高い。
最初に食べたのは10個で60ルピーのバフ・モモ。辛いソースにヨウさん汗かいてる笑。
「今日は2皿はいこうと思ってるんだよね」
「じゃあ食べ歩きですね!次行きましょう!」
そして2軒目のお店で食べたのはベジ・モモ。こちらは10個で40ルピー。
「やっぱり他の人と一緒に食べると美味しいね」というヨウさんの言葉が印象的だった。
「シャッ…!」
「ここのモモは安くて美味しいんだよ!」
知らない兄さんが話しかけてきた(笑)
そのカーテン...、ギャグかよ!
バッテリーが空になると、宿にはキャンドルが灯る。
外に出るとどれほど月が明るいのかが分かった。
こういう時にギターを弾きたくなる。
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。