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「誰かがちょっとだけ元気を分けてくれる」
世界一周158日目(12/3)
「いやぁ、タイなんて5年ぶりだよ!」
また一人ここの宿に日本人の方がやって来た。
長髪を後ろで束ね、動きやすそうな旅人パンツに山小屋で仕事をしているのだろうか?山荘の名前が入ったネイビーのTシャツ。暑くないのだろうか?その上にベストを合わせている。目尻には人生の歴史を感じさせるシワがあった。軽快に喋るその人からはどこか人好きする何かが感じられた。
なにやらインドビザを取得するためにASOKまで行きたいらしい。
iPhoneやパソコンなどの電子機器はひとつももっていないどころかクレジットカードすら持っていないらしい。「まぁ、なんとかなるっしょ!」というお気楽な感じが僕を少し元気づけた。
さてと!あと2日でインドへ出発だ。
仕入れた雑貨を日本へちゃちゃっと郵送し、(やっぱタイの方が安かった!)
ここで手数料をかけずにお金をおろしておきたいところだ。インドのATM、ちょっと信用できないしね笑。
チェンマイでも使った「キャッシュウィズドロー」を使ってここでもお金をおろすことにしよう。
僕はさっそくカオサンロードの近くにあるチェンマイで使ったのと同じ銀行に行ってみたのだが、キャッシュウィズドローができるかと訊くと饒舌な係員がよく分からない理由をつけてお金をおろさせようとはしなかった。
でたよ!手数料を稼ぎたいからって変な理由つけてATMを使わせようとするんだ!尋ねてもいないことをペラペラペラペラ喋るヤツは信じられない。僕は窓口のお姉さんに訊いてみたのだが、お姉さんは最初「はい。できますよ」と言った。
だが、横からさっきのペラペラ男が割り込んできたせいで結局は「できない」ということにされてしまった。
チェンマイが親切だったのだろうか?僕は他にも何件かあったってみたのだが、
何回もクレジットカードをスラッシュして「読み込みができないから無理だ!」というヤツもいた。あの時はカードのチップが擦れてしまったのか、ヒヤヒヤさせられた。
用件を聞いた上でわざわざ窓口に並ばせておいて「ピンコードを打ち込む機能が備わっておりませんので」とかいう理由でお金をおろせないところもあった。ってか、機能がついてなくてお金がおろせないんなら並ばせんなっつーの!
諦めの悪い僕は4件目の銀行で最初から「ピンコードを打ち込む機械があるか?」と訊いてみたのだが、お姉さんは「NO」と言う。
「はぁ...そうですか...わかりました。ありがとうございました...」と帰りかけた瞬間、「お金おろすことができますよ」とすぐ隣りのブースに座っていたお姉さんがサラッと言った。なにそのツンデレ的展開!!!
「あぁ、そんなお金のおろし方あったんですね」と僕のを担当しているお姉さんはさっそくどこかに電話をかけ始めた。
「はい...そうなんですよ。日本人のバカが『お金をおろしたい』って言ってきて。素直にATM使えっての!」
「はは!それ超ウケますね。」
「はぁ...今日お昼ご飯何食べようかな?」
3万円分までしかおろすことはできなかったが、今回は書類を書くだけで
お金を手に入れることができた。もう3万円分、10,000バーツおろしておきたいところだ。
何やらAEONのATMでは150バーツの手数料がかからないと聞いた。
僕はその真相を確かめるべく2番のバスに乗り込み、日系のお店が入るデパートへと向かった。
赤と白のバスはバス代がかからない。エアコン付きでも8バーツだ。こんな安上がりな交通手段があるのになんでタイの人はスカイラインとか使うんだろう?
だが、そんな疑問もバスに乗るうちにだんだんと分かってきた。
デモの影響を考慮しても、タイの町の渋滞はひどい時がある。その上信号待ちなんかにひっかかっちゃうとちっとも前に進まない。バスだって待っても来ない時もあればいつ着くかも分からない。
『電車を使ってる人は時間を買っているんだ』
ちっとも進まないバス。窓の外、道路の上を走るスカイラインの高架下で僕はそんなことを思った。
AEONのATMのある日系のお店が入ったデパートで無事お金をおろし、
(150バーツの手数料はレシートに書いてなかったんだけど、取られてないよね...?)
インドに行く前にギターの弦もセットで購入した。
そして僕が向かった先はASOK駅前。
行きと同じ2番のバスに飛び乗り沢山の人が歩いているのを見て僕は『ここでやってみよう!』と途中下車を決めた。
大型デパートの前、警備員がまわりにいないことを確かめて唄いだす。ギターの音をかき消すような騒音はここまで届かない。自分の出す音を聞きながら気持ちよく歌い始めた開始10分でストップがかかる。
うむ...やぱっり難しいのかなぁ?
いやいや!まだ諦めないぞ!
ASOK地下鉄駅へ向かう階段の脇。今度はそこで唄った。目の前には大きな道路が走る。人通りはあるけど、さっきの場所に比べたらうるさく声届いているのか分からない。
唄いだしてすぐに『場所を間違えたかな』と思った。3曲ぐらい唄ってレスポンスがなかったら他へ行こう。だが、じわじわとレスポンスが入るのだ。
『そろそろやめようかな?』
『次の一曲で終わりにしようか?』
と思っていてもまるでアマチュア歌手がプロを目指す番組で審査員からパフォーマンスの時間延長を与えられるそんな感じだった。
一緒に写真を撮ってレスポンスをくれて去って行く人もいれば、ちょっと離れたところで聴いていて去り際に「グッド!」とか言ってレスポンスをくれる人もいた。切り上げようと思った頃に警備員からストップがかかった。いやいや、ここで楽しいひと時を過ごさせていただきありがとうございます。
ギターを抱えて帰ろうとするとASOKタワーの近くでバスカー?というかアーティスティックな集団にであった。
ギターやタンバリン、手を叩いたりお面をかぶって踊ったり、体中にメッセージカードを貼付けてカホンを叩くヤツ。思わずからんでしまう僕。
よくわからないけどラップファイトをした笑。
デモが一部過激化しているのもあってか彼らは「No Violence!」と書いた紙が置いてあった。
一応、レスポンスを入れる箱があったので僕は2バーツコインを入れて一緒にStand by meを唄った。この音楽の持つパワーはすごいよ。
メンバーの女のコが描いた絵を僕にくれた。僕もおかえしに即興でみんなの絵を描く。
人類共通のコミュニケーション。音楽と絵。
そんな楽しいひと時を終えた僕の一日はまだ終わらない。
前回もバスキングをやらせてもらったデモの歩行者天国的な場所で唄わせてもらった。
タイのデモはどこかお祭めいた雰囲気があり、多くの人々がニコニコしながらうちに帰っていく。この騒ぎに乗じて普段よりも出店が多かったりするのだ。
ステージ上で演説をしているメインストリートから離れればそこは絶好のパフォーマンス・スポットとなった。
ここでもいい感じの感触だ。
あぁ、カバーだけじゃなくてもっと自分の歌を増やしたいな。
そんなことを思う今日この頃だ。
昨日まで落ち込んでいたけど、誰かがちょっとだけ元気を分けてくれる。
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どうしても上がらない時もあるけど、
こうしてタイのみんなに
元気を分けてもらうこともあります。
タイなぁ...
いればいるほど好きになるよ♪
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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。