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「なぜかアフメッドという名前で呼ばれる in トルコ」

世界一周354日目(6/17)

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最後まで寝ていたのは僕だけだった。

ここはトルコのシャンルウルファ。
その工事現場作業員仮眠スペース(屋外!)。

シラミの出るカーペットの上でずっと
痒みにずっと腕をさすっていた。顔まで刺してきやがる。

作業員のおっちゃんたちはミイラみたいに
顔まで毛布に包まって寝ていた。苦しくなかったのだろうか?

6時半くらいには太陽が照りつけてくるので
嫌でも起きなくちゃならない。

僕がのそのそと寝袋をしまい終わると、
最後まで残っていた作業員のおっちゃんのひとりが
そのシラミつきのカーペットを回収していった。
またここで寝る時に敷くのだろう。

天日干ししてればちったあ改善される…かな?


ここに来てから、観光的なことは

初日に聖なる池だかなんだかを観にいったくらい。

血尿が出てたせいもあって、
極力体に負荷をかけないようにどこにも行かなかった。

キャンプ生活では常にこのクソ重いバックパックと
行動を共にしなくちゃならない。
遠出できないのが悩みのひとつでもある。

血尿自体は最初の3回くらいで、あとは元に戻った。

長時間のヘヴィなバックパックを背負った移動の際に
腰のベルトが下腹部を締め付けたからだろう。きっとそうだ。

次に行こうとしている場所はもう決めているが、
どうしてもそこまで行く気にはなれなかった。

もう一日ここに滞在しよう。日記も書きたまってしまっているし。

僕がここに残った理由はそんなだ。

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ちょっと気になる場所もなくはない。

マップアプリを見ると、2kmくらい離れた所に
でっかいバザールがあるのを発見したのだ。

もしかしたら雑貨が手に入るかもしれないな!
あわよくばお小遣いが稼げるかも!

2kmくらいだったらフル装備で行けなくはない。

朝の涼しい空気の中、僕はバザールに向かってゆっくりと歩き出した。

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歩き出した…。

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あれ?なんもない…???

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確かにここはバザールだった。

や、これは現在進行形でバザールなのか?

無駄にデカい敷地は卸売り専門のようになっていて、
時間も時間だったせいか活気は感じられない。

僕みたいなお客さんの姿はほとんど見えない。

てか、人いねぇ~…。

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近くの売店でパンやお菓子で軽めの朝食をとった。
くやしかったのでジュース2本飲んでやった。

やれやれ。結局僕はあそこに行くしかないのか…。

肩を落としていつものカフェへと向かった。

くそう!かき氷を喰いにおれはここまで来たっていうのか!!??

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カフェのあるショッピングモール、
「Piazza」までの道のりでいい感じの水場を発見したので
髪を洗い、着ていたTシャツもゆすいでおいた。

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近くのガキんちょどもはそんな僕を面白おかしく見ている。

はぁ、はぁ、それにしても連日の短い睡眠時間、
ってか昨日のシラミのせいですっげえ眠い。眠すぎて気持ち悪いよ…。

狭い歩道でうっかり片足を踏み外して膝をつくように転んだ。


「はっっっっ….!!!!」


nudie jeansの右ひざ部分がぁああああっっっ!

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まぁ、かっこいいっちゃカッコいいけど、けどぉ….。

キャンプ生活になってから連日着っぱなし、
着た切り雀の僕の「第二の肌」と言ってもいい
nudie jeans・Regular Alf red selvage。

やー、ブランドもんなんすよ。日本で買って約3万円。

穿き始めて1年5ヶ月が経過。

もうポケットの右側の部分なんて
iPhoneの出し入れでかなりダメージを受けてるし、
他にも至る所が穴が空く寸前。
そうなる前に愛情を持って逐一手縫いしてきた。

そんな僕の愛用のジーンズ…。

どうすりゃいいんだ…?

ま、まぁ、このメーカーはリペアを推奨しているからね。
本社のあるスウェーデンでばっちし直してもらうことにしよう。
それまでなんとか自分で繕って耐えるしかない。

膝に穴が空いたジーンズもなんか旅人っぽいじゃん!
クラッシュ・デニムなんて初めて穿いたよ!あははは…。

はぁ…。

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その後の僕はいつものカフェにこもって、
カタカタとずっとパソコンに向かっていた。

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情報収集をしたり、日記を書いたり、ブログのアップをしたり。


いつものようにFacebookを覗く。

インドでお会いした日本人の方が
「ブログを辞めた」とFacebookに投稿していた。

別にこの方はランキングに参加しているとかじゃない。
だけど、すげー文章がうまくて面白いブログを書く人だった。

「今目の前にいる人たちと過ごす時間を大切にします」

他にもそう書いてあった。
一眼レフも日本に送り返してしまったらしい。


綺麗な写真ならプロに任せておけばいいんだとその人は言っていた。

旅の純度を上げるにはカメラもパソコンもいらないとつくづく思う。

こうして誰が読んでいるのかも分からない個人的な日記を
一日分書くのに1~2時間かかる。

「世界を旅する」という夢を叶えている中で、
旅とは関係ないように思える日記を書く時間が多い。

15分で書けるあっさりしたものをブログに残すこともできる。

てきとーに面白おかしく書いて写真貼っつけておしまい。

そうすりゃ一日そんな後ろめたさを感じることなんてない。

じゃあ、僕は一体誰のためにブログを書いているんだろう?



自分のためだろ。



誰のためなんて考えてるから、
自分の旅とのバランスがうまくいかないって悩むんだ。

いいじゃねえか。自分のためで。

書きたきゃ書けばいいし、やりたくなかったら辞めちまえばいい。
惰性でやったって仕方ねえんだ。

だけど、続けることで見えてくるものもあるだろ?
0.1でも前進していることを忘れるな。

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そう考えるとどこか気持ちが落ち着いて、
キーボードを叩くてもちょっとだけ早くなった。

今日もカフェのスタッフさんたちは僕によくしてくれる。

一体ここで何杯チャイをごちそうになっただろう?
マネージャーは僕のことを
「アフメッド!」
とよく分からないあだ名で呼ぶようになった。

「シミ」でいいじゃん?なんでアフメッドなんだよ?

マネージャーは時折、「アフメッド!」と僕を呼ぶ。
その度に僕は「はいっ!」と返事をする。

だいたい得に用事はないんだけど、
マネージャーは「How are you?」なんて声をかけてくれる。

僕はここでこれと言って特に何もしてない。
個人的な作業をしているだけだ。

だけど、このカフェでこういうコミュネケーションが
生まれることに対して、トルコのみんなにありがとうの
気持ちを抱かずにはいられないのだ。


ここで何枚か似顔絵を頼まれた。

やっぱり僕の似顔絵は似てないんだけど、みんなそれを喜んでくれた。

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「じゃあ明日アディヤマンに行くよ」

「じゃあね。おやすみ」


そんな風にごく自然な別れだった。

さよなら。もう二度と会わない人たち。

僕はそろそろ行くとするよ。

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さすがにシラミ入りのカーペットでは
眠りたくなかったので、僕は公園を移った。

別の公園のベンチで横になっていると
おせっかいなトルコ人がずっと僕に絡んできた。

用がないならほっといてくれよ…。


「Where are you from?
What's your name?」


ごくありふれた質問。

特にこれといってフレンドリーにしたいとか
汚い宿なしのアジア人を気遣ってだとか
そのような意図は感じられなかった。

こんなところにいる僕を物珍しがっての質問。
基本トルコ語なのでそのくらいしか会話が成立しない。



「で、何?もう寝たいんだけど」

「~~~~~。~~~~~~!」



僕にはその彼が睡眠を妨げる
うざったいものにしか見えなかった。

四六時中フレンドリーでいられても困る。

僕には休む時間だって必要だし、24時にもなってて
人目を避けて静かにベンチで寝ている人間を
叩き起こすようなマネをされても不快だ。

彼がその場から去る気配はなかった。

僕は諦めて荷物をまとめると
また別の公園へと移らざるえなかった。やれやれ。

シャンルウルファ最後のキャンプは蚊が多くて寝られなかった。

あぁ、なんでこういう時に蚊よけクリームがないんだろう?


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。