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「黄熱病の注射を打ちにいこう! in トルコ」

世界一周375日目(7/8)

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半日時間のずれた一日が始まる。

ここはトルコ、イスタンブール。
僕はクルド人のバスカー、サジューク
(と彼の元ガールフレンド、ペリンと)と一緒に
彼の友達の家を泊まり歩いている。

もしかしたら今日も
ビギンの家に泊まるかもしれないな。

バーのマスターのビギンは初対面の僕たちに、
歳の差を感じさせないフレンドリーさで
接してくれている。

今日くらい、お礼の気持ちも込めて
ビールでも買っていこうかな?
僕は全然飲めないけどね。

バックパックをビギンの家に置かせてもらい外に出た。

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今日、僕はやるべきことがある。


黄熱病の予防接種だ。


や、マジで打ってもらえるんだろうか?

昨日情報収集したらヨーロッパだとスイス、
アフリカの手前だとモロッコやエジプトでも、
予防接種が打てるらしい。

モロッコに至っては
20ドルもしないという驚きの安さだ。

「予防接種が打てない」ということはなくなった。



ビギンの家から出るとペリンはタクシーを止めた。

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「えっ?どこに行くの?」

「ペリンは大学のテストがあるんだよ」


えっ?大学生だったの?

この二人が特殊なのかもしれないけど、
彼の友達を見ていても日本のように
大学3年生から就職活動を始め、
4年生には内定をもらい、
新卒が有利だからと就職がうまくいかなかった者は
自主的に留年するという「お決まり感」がない。

勉強したいから大学に行く。
勉学に対して自由な感じがした。

ちなみにペリンは社会学を学んでいるんだとか。
意外…笑。

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ペリンの大学へはその大学の生徒以外
入ることは出来なかった。

イズミルにあるサジュークの大学は
誰でも気軽に入れることができたのに、
やっぱり大学によってそのカラーはことなるようだ。

近くのレストランで軽めのブランチを済ませ、
テストが終わるまで校門の外でペリンが終わるのを待った。

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「やっぱり、僕はここが嫌いだな。
人は羊の様に見えるし。
道路にはひっきりなしに車が走っている。
なぁ知ってるかい?
ここでお金を稼いだ人が時々言うセリフが
「退職したことだし、村で暮らそう」なんだぜ?

笑っちゃうよ。なんで自然に近い生活をしたいのに、
わざわざ人生の長い年月を
ここで費やす必要があるんだい?」

とサジュークは言う。

のんびりスローに
生きているように見えるサジュークには
ちゃんとしたプランがあった。

彼は今後も大学に通い、
教員免許の資格を取るようだ。
大学で働きお金をため、その後
自分の故郷で教員として仕事をしながら、
村の生活に戻っていくというものだった。

彼はバスカーで、ガットギター
をめちゃくちゃ上手く弾くが、
プロのミュージシャンになろうとは
思ていないようだった。

音楽理論を勉強している彼なら
きっといい教授になれるだろう。
その人生観に生徒も惹き付けられるはずだ。

それに僕も移住には興味を持っている。

夜型の彼は朝は静かだったが、
自分の将来像を語る時には熱を感じた。

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テストから戻って来たペリンは
「財布がない!」と慌てていたが、
さっき乗ったタクシーの運転手が
財布のIDカードから彼女の携帯に電話をかけてくれた。

ラッキーだ。
トルコの人柄の良さを感じる。

よし、僕は予防接種を受けにいくとしよう。


歩いてバザールを抜け、ガラタ橋を渡った。

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って、あれ?これって他の旅人でのブログでも
ちょいちょい出てくる有名な予防接種受けられる
場所じゃあないですか。

院内は薄暗く、営業している様子はない。

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あー、無理っぽいかも。

サジュークに予防接種を受けられるか訊いてもらうと
どうやら大丈夫なようだ。

ただし、131リラ。6300円。

それなら予算内だ!よし!

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隣りの銀行でお金を振り込んで、証書をもらう。

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そして緊張の一瞬だ。

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くっ…


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いった~~~~…

って、あれ?

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もう終わったんですか?

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「痛くな〜〜い♪」

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黄熱病の抗体ができるのは10日後。
その後10年間は大丈夫なようだ。




最近ずっとサジュークと一緒に行動していたので、
自分の時間を持てていなかった。

待ち合わせの時間と場所を決めて
僕は歩いてガラタ橋を渡った。


「何かあったら電話してくれよ?いいかい?」
「オーケー」



久しぶりの一人行動。自分だけの時間。

4時間後に待ち合わせをすることにしたのだが、
頭にやりたいことがどんどん出て来る。

うわぁ~時間足りねえよ!


まず向かった先はカメラの修理だ。

グルジアでついに壊れてしまった
中古のCanon kiss X3。

保険で修理代がまかなえるらしい。
一体どのくらいかかるだろうか?

カメラ屋はガラタ橋からトラムの線路を辿るようにして
Orhaniye Caddesiという通りに密集しているらしい。

とりあえず見つけたSONYと
書かれたカメラ屋に入ってみる。

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「こんな感じでエラーが出るんですけど、
修理できます?いくらですか?」

「ん~、ああこれね。
80リラ(3,820yen)だな」


眼鏡をかけたおっちゃんが言う。

安い!もっとかかるもんだと思ってたよ!
てかグルジアで直さなくて正解だった!

サブバッグの底から汚れたカメラを取り出す。
これでコイツもようやく復活する時がきたんだ。

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カメラを預けたあとは
オールド・イスタンブールの街をぶらついた。

ホテルはもちろんのこと、
ゲストハウスやホステルはアファソフィアや
ブルーモスクなどの観光名所のあるこちら側に集中している。

モスクの近くには「Ask Me!」と書かれた
青いTシャツを来たスタッフの姿が見えた。
ボランティアなのかなぁ?

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アヤソフィアの入場料は15ドルほどもした。

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宿代かそれ以上じゃねえか。やめやめ。

美術館になっているのが理由だ。

反対にブルーモスクは入場料が無料。

行く手は無い!

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ただし、入場できる時間が定められているので、
僕は入れなかった。



まだまだ見たい場所はある!

そう!

グランド・バザ~~~ルッッッ!!!

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雑貨好きの僕がきたかった場所のひとつだ・

カッパドキアで抑えておくものは仕入れておいたが、
もしかしたら思わぬ掘り出し物にめぐり会えるかもしれない!

ワクワクしながらグランドバザールに向かった。


観光地なので行き先の書かれた看板があり、
迷わずに行くことができる。

たどりついたグランドバザール。

そこはもう宝の山と言ってもいいくらい雑貨が溢れていた。

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メインの通りにはジュエリーショップがずらりと並び、
そこから脇道に逸れると、
おなじみのモザイクランプから
小物などを扱うお店がごっそりある!

うわぁ~~~~っっっ…!!!

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雑貨があり過ぎて何買ったらいいのかわからね~!

見るだけでお腹一杯だわ。

中を探索するだけで時間が過ぎていった。
なかはまるで迷路のようだ。
ここでかくれんぼか
ドロケーやったら絶対終わらない笑。




サジュークとの

待ち合わせ時間よりも少し早く
早歩きでイスティカル通りを目指す。

修理に出したカメラを回収することを忘れない。

お礼を言って修理費を支払い、
久しぶりの一眼カメラを触る。


「カシュゥーーーッッッ…
「カメラとレンズの接合部が接触不良です。清掃してください」


スタスタスタスタ。

笑顔でスタッフに言う。

それもとびっきり爽やかな笑みで。

「からかわないで
いただけます?
直ってませんよね?ニコッ」

結局、カメラは明日引き取ることになった。
修理費はとりあえず戻って来た。やれやれ。



歩いてイスティカル通りを目指すと泣きそうになった。

トラム乗れば一発だけど、
たかだか2kmちょっとに無駄遣いはしたくない。

汗がTシャツを濡らす。
火照った体を少し覚ましてギターを構えた。

バスキングのタイミングとしてはばっちし。
人通りも申し分ない。
この観光地で僕一人でどれだけ稼げるんだ?

小降りのトラベルギターにめいいっぱいシャウトした。

何曲か唄ってここが観光地だということを思い知らされる。

目の前のレストランのおっちゃんが
苦情を申し立てて来た。ははは。

人垣なんてできやしねえ。
みんなバスカーを見慣れている。

時々、ニコっと小銭が入るくらい。
まぁそんなもんですわ。

ウクライナ出身のスレンダーな美人さんが
体を揺らして数曲聴いてくれたのが嬉しかった。

彼女はまるで映画のヒロインのように
トラムの一番後ろに捕まって颯爽と去っていった。
なんかウクライナのツーリストってクールだよなぁ。





時間になり、やって来ない
サジュークに電話をし(彼はマイペースなのだ)、
合流した僕たちはバスに乗って、
今晩の宿へと向かった。

一旦オールド・イスタンブール側で降りて
バスカー友達のユサフと会う。

ラマザン明けで日の沈んだ
オールド・イスタンブールの観光地は
地元の人たちで溢れていた。

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みんなベンチや芝生の上で楽しそうに食べ物を広げる。

そんな中でユサフはバスキングを
していたわけなんだけど、
警察にとめられ軽いもめ合いになっている。

「シミ!荷物見といてくれよ!」

と立ちながら警察と言い合うユサフと
助け舟に入ったサジューク。

ふーん。

トルコのバスカーでも警官ともめるんだなぁ。

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「ったく、コイツらはほんとシットなヤツらさ!」

警察が去ったあと、
大音量でスピーカーから音楽が流れた。
ユサフがここでやらなくても、お祭りの音はなるのだ。


「じゃあな。シミ。良い旅を」

バイクに二台のアンプと乗せ、
伝統弦楽器のマドラバを背負う。
ユサフは今度ドイツにライブしに行くらしい。
かっこいいな。


「なあシミ、訊きたかったんだけどさ」
去り際にユサフが僕に尋ねる。

「なに?」

「なんで日本の女の子は
アソコの毛を剃らないんだ?
トルコの女はみんな剃ってるぜ?」

知らんがな

「うん。きっと日本ではメジャーじゃないんだよ」

笑いながらユサフは去っていった。ファニーなヤツだ。




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今晩の宿はサジュークのおじさんの家だ。

バスで1時間。

お互い今日は色々活動したのか口数も少なく、
僕は椅子に座るとウトウトしてしまった。

おじさんの家はクルドの人たちが集まる場所のようだった。

「これは『クルド独立万歳』って書いてあるんだ」と
シャッターにスプレーで落書きされた文字が
なんて書いてあるのか説明してくれる。

クタクタでたどりついたサジュークのおじさんの家。

ここでもおじさんと
その家族は僕を温かく迎えてくれた。

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軽食を頂いた後、簡単に体を洗う。

どうやら明日も昼過ぎに起きることになりそうだ。

ソファをベッドの形にして僕は横になった。

そんなイスタンブールの生活3日目。

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ナイス顔!


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。