「雲海の見える村、ナガルコットへ」
世界一周235日目(2/18)
インドビザへの第一関門は突破した。
5営業日後の金曜日(提出したのは月曜日)に行って今度はパスポートの提出をするわけなんだけれどー…
カトマンズでのインドビザ取得はその面倒くささでちょっと有名だ。最短で8日かかる。一度目はオンライン・フォームなどの書類提出とビザ代の支払い。2回目はパスポートの提出。その翌日にやっとこさビザ取得という流れなのだ。3回もインド大使館まで足を運ばなくちゃいけないなんてね。
ここで言いたいのはビザ申請のタイミングだ。
この「5営業日後」ってのがポイントでね、土日は大使館がお休みなもんだから、火曜日以降に出した場合は2回目は翌週になるわけだ。
だけど、僕が申請した日は月曜日。フリーに動ける日数3日間(火/水/木)。せめて…、火曜日以降に申請してたら...、もしかしたらトレッキングもできたかもしれない。だいたいカトマンズから行くトレッキングは4~5日かかるものばかりらしい。
「う〜〜〜〜!日程調整めんどくさい!」
そんな僕の頭の中にひとつの言葉が浮かんだ。
「よしっ!ナガルコットへ行こう!」
(鉄道会社の旅行広告みたいなノリで)
インドのジョードプルで出会ったネパール人は別にガイドなんてつけなくても行けるよと言っていたし、昨日お会いした現職の雑貨屋のお兄さんは
「ナガルコットね。あんなの「散歩」だよ。ハイキングですらないよ。」と言っていた。さ、さんぽっすか!!?安い日本人宿もあるみたいだし、景色もよくてのんびりできるとか。
荷物を軽量化し、「2~3日で戻るから」とPenny Boardやポカラで仕入れた雑貨屋や漫画の原稿用紙は置いて行くことに。念のためテスコのバックに入れ、さらにその上からパックセーフでくるんで錠をかけた。
タメル地区から徒歩10分くらいの距離にあるバス停でバクタプル行きのバスに乗った。
カトマンズから直通で行けるわけではなく、途中にあるバクタプルでナガルコット行きに乗り換えるそうだ。
まだ歩いたことのないカトマンズの街を抜け、どんどんバスは街から遠ざかって行く。
自分の知らない場所へ行くのはワクワクする。慣れ親しんだ場所を離れるのは最初は不安だけど、次第にそれがまだ見ぬ土地への期待へと変わっていくの。やっぱり移動するということが旅の本質なのかもしれない。
一時間半でバスはバクタプルのターミナルに到着した。
朝早かったので途中からウトウトしていた僕は集金係にここで降りるんだぞと声をかけられた。
ターミナルの近くで腹ごしらえし、ナガルコット行きのバスを探したのだが、ここからナガルコット行きのバスは出ていないと言う。あれ?話が違うぞ?
近くにいた別のバスの集金係たちに聞いてまわっているうちに、ナガルコット行きのバスが出るターミナルまで行くバスに乗せられた。25ルピー(26yen)。まぁ、一度くらい乗り継ぎが増えたからってなんてこたぁない。マイルドに行こう♪
そして僕が乗りこんだ3本目のバスは山道を走った。
昼過ぎにはナガルコットに到着していた。朝早くに出て正解だった。
シャワーも浴びれないくらい寒かったカトマンズに比べ、ナガルコットは暑さを感じるくらいポカポカしていた。
売店の前でとりあえずチャイで一服。
にしてもネパールの犬は本当に人懐っこい。ネパールの人たちが優しいからだろう。
「ホテルどこ?安いヨ?」
「雲海リゾートかな?」
しつこすぎない客引きに爽やかスマイルでやんわり応える。ナガルコットには日本人宿があるらしいのだ。
軽量化したバックパックを背負いずんずん進んでいく。もちろん途中何度も人に道を尋ねながら。
ターミナルからやや離れた場所にある「UNKAI RESORT」はあった。ドミトリーで330ルピー(340yen)。
去年の夏にここを訪れた人のブログには275ルピーと書かれていたため、最初は少し高く感じたが、インドなんかに比べると全然安い。案内されたドミトリーにはベッドが4つ。この部屋には僕一人♪そして2階のオープン・フロアからはヒマラヤ山脈が見えた。
サブバッグだけ持って近くを散策した。
「ネパール=トレッキング」というイメージに捕われていた僕は、ネパールを旅するからにはトレッキングをしなければいけないのだと考えていたが、全然そんなことはない。ナガルコットで散歩。それでも十分満足だ。
一時間ほど山を下った途中にある村まで行って、僕は引き返す事にした。山をぐるっと一周する様なルートはないようだ。じゃあ違う道を通って帰るか…。
途中まではよかった。
『ショートカットだ!』と言って細い道を行く。だんだん険しくなる道。
「はぁ…はぁ…」
「これってもしかしてトレッキングなんじゃねえか?」
狭義の意味では4000m以上、6000m以下の山を登ることがトレッキングらしい。でも今はレジャー目的とした簡単な山登りをトレッキングと言う場合もある。
「ナガルコットでトレッキング」の気分でいいじゃないか!誰がなんと言おうとこれはトレッキングに違いない!
すっ転んだら「三年峠」どころじゃなくて即死。そんな山道をフル装備のサブバッグ(7kg)を背負って歩いた。
17時前になると風が吹き始め、汗をかいた体が寒さを感じたほどった。やはり山岳部も夜は寒くなるのだ。
やっとこさ雲海リゾートに戻り、シャワーを浴びてベッドにダウン。もう1ミリも動きたくなかったけど、「月が凄い綺麗ですよぉ~...」という後から来た宿泊者たちの声を聞いてムクリと起き上がった。
ベッドから這い出て見た月はヒマラヤの彼方に浮かぶ歪んだ形のにごった黄色だった。それでいて幻想的だった。同じ月でもどこで見るかによって全然違う。
鼻水をすすりながら月をしばらく見ていた。
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