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「バンコクはデモの真っ最中」

世界一周154日目(11/29)

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最初にここに来た時のことを思い出す。

カンボジアからバスで入ってきてカオサンロードの観光地っぷりに引くぐらい驚いたんだっけ?『ここ欧米人の遊び場じゃん!』って。それでも2回目にここに訪れると懐かしさを感じずにはいられなかった。

前回も泊まったPC guest houseに朝6時にチェックインするとそこはちょっとした日本人宿になっていた。

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僕よりふたまわりも歳が離れた方々が休日の縁側にいるみたいにまったりくつろいでいる。僕の父親くらいの年齢の方は「日本の冬から逃げてきたんだよ」と冗談めかして言った。かれこれ10年以上、冬になるとタイとカンボジアを行ったり来たりする生活を送っているらしい。こうして日本で働いて貯めたお金を海外のスローライフに当てるのも生き方のひとつなんだね。12月を目前にしたタイの気温はまだまだ夏のようだった。

ちなみに、次の僕の目的地はインドだ。大学二年の時に初めての海外旅行にインドを旅して以来だ。楽しみでしょうがない!インドへのフライトは12月5日のバンコクからなのだが、「準備期間」ということで一週間前にタイに戻ってきたのだ。



さて、バンコク一日目。
僕が向かった先は日本大使館

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パスポートの増補(増刷)のためにここにやって来たのだ。ちょっと前まではミャンマーやアフリカのどこかで安く増刷ができたようだが、今は闇レートがなくなってしまい、どの国でやっても同じくらいの金額のようだ。それなら、快適なタイでやってしまおうと。

僕のパスポートには今まで訪れた国の出入国のスタンプやページを丸ごと使うビザで段々とページが埋まってきた。3年前に行ったインドのビザもちゃんと残っている。ビビリな僕は時々、『パスポートがスタンプでいっぱいになっちゃったらどうしよう?』とソワソワしてしまう。

前回のバンコクはミャンマービザの申請と有名なお寺を見に行く観光だったが、こうして別の目的を持ってバンコク市内を動き回るのもまた違った面白さがある。

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Googleマップで目的地にピンを刺し、乗るべき市バスのナンバー確認して、2重チェックということでオフラインで見られるマップアプリにも目的地にピンを刺せば完璧だ。

なんのデモかは分からなかったが、独立記念塔のあるメインの通りは人で溢れかえり、どっかの誰かが演説をしていた。

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バスはデモの影響で走らないかもしれないと聞いていたが、市バスはルートをちょっと変更して僕を日本大使館の近くへと運んでくれた。


日本大使館の入り口の前に立った時、
僕は一瞬入るのをためらった。

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コンクリートでできたゴツいゲート。

写真を撮ろうとするとアーミー柄の制服を着た警備員が僕を手で制す。

「えっと、パスポート!パスポートの増補!」
英語が通じないのかパスポートが日本のものであると確認すると警備員のおっちゃんは笑顔で通してくれた。

中に入ると持ち物検査の機械がある。ミャンマー大使館に比べたらかなり厳重だ。荷物のチェックを済ませて中に入るとそこは歯医者さんのような静かな雰囲気の場所だった。「4番窓口、〇〇さーん」とブース越しにマイクを伝って音声が聞こえてくる。

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大使館のおじいちゃん的な人に「パスポートの増刷がしたいのですが」と訊くと丁寧に教えてくれた。おもわず「あ、ありがとうございます」と軽く頭を下げた。ここには日本の空気が流れている。

増刷の費用は920バーツ(2,940yen)。増刷する人が僕しかいなかったため、わずか10分でパスポートが返ってきた。テープで貼ってあっただけだけど新たに40ページが追加され、僕のパスポートがちょっとパワーアップした感じがした。

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持て余した時間で僕が向かった先はMBKなど大型ショッピングモールの集まるパトゥムワン区へ行ってみることにした。タイ人、外国人問わず、多くの人がこの場所へショッピングに訪れる。稼げないわけがない!

と思った僕が甘かった...

車の流れは途切れることはなく、建物の外は道幅が狭く路上には向いていない。いいスペースがあっても同じフレーズしか吹かないサックス吹くのおっちゃんがいたり、微妙なパフォーマーたちがポジショニングをしているため僕の様な新参者が入るスペースはない。MBKの歩道橋に狙いを定めて歌い始めたが、30分でストップがかかった。

ちょっとは稼げたのになぁ...。
お金を入れてくれた人たちには感謝です。

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他にもスカイラインの改札前やスカイラインの線路の下でバスキングを試みたが逆に人が多過ぎて音はかきけされてしまう。

「お前はなにも悪くないよ。お前にはお前の活躍するフィールドがある」

そうトラベルギター、Martin BackPackerに声をかけたが僕は敗北感をたっぷり味わった。知ってたけど僕ってこんなもんなのか...


カオサンに戻って来た僕はフェスのようなデモで無料のごはんをほおばりながらぼっと眺めていた。

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気づいたら10時をまわっていた。

シャワーを浴びた後、Wi-Fiと電源を求めて外で作業していると。

(ここの宿にはWi-Fiがあるけど、場所に寄っては届かないんだ。しかも電源も部屋の外っていう...まぁそれにも慣れちゃえば快適なんだけどね)

中国人の男の子が僕と同じように電源を求めてフラフラとよってきた。

僕は延長コードとマルチプラグを持っていたので彼に使っていない差し込み口を貸してあげた。

「Thank you!」流暢な英語が彼の口から聞こえた。

「ニュースで中国の領空に日本が侵入してきた見たけどあれってどういうことだ?」
「日本海の領土のことだけどあれって中国のものだと思うんだけど?」

なんていう「さも中国」的なトピックスがちょいちょい彼から投げかけられた。

領空だか領海だか知らないけど旅に出ている僕はそんなニュースこれっぽちも知らない。彼の投げかけ対して僕は言う。

「君たちってFacebook使えないだろ?情報をコントロールされていることを知った方が良いよ。ニュースも"One Way"じゃなくて"Two Way"で知るべきだ。今海外にいる内にググってご覧よ。また違った見方ができるから。
なんでおれらは0か100でしか物事を見れないんだろう?おれはね、やっぱり「シェア」することが大事だと思うんだ。」

まぁ、お茶を濁していると言えばそうなってしまうのですが、中立的な僕の意見に彼も肩すかしをくらったような感じになっていた。

「えっ!バイトでひと月20万ももらってたのかよ!」
「まぁ、毎日働いてたけどね」
「こっちでは飲食店なんて給料の低い仕事だぜ?」
「こっちではサービスが求められるんだ。言ってしまえば「演技」みたいなものかもね。誰でもできるわけじゃないしそれに対してのお給料だったのさ」

なんて話しているうちに意外と盛り上がってしまい、ついには他の宿の宿泊客からドアを思いっきり叩いて「うるせえぞ!馬鹿野郎!」アピールが聞こえてきたので僕は彼に「どっか飲み行く?」と訊いてみた。

「わおッ!それ最高!」
と彼は言った。


その後僕たちはデモでタダメシをもらい彼は振られる国旗を見て「愛国心だ!」と妙に食い付いてた。

何を言っているのかわからない演説をしばらく二人で見て、カオサンロードの重低音が響き渡るバーでラオビールを飲んだ。斜め前に座っているタイ人のお姉さんがアホみたいにセクシーだった。しょっちゅう席から立ち上がってはセクシーダンスしてるんだもん。このフロアは完全に彼女のものだったね! 

来たときはちょっとした拒否反応を起こしていたカオサンロードでまさか中国人の男の子とビール飲むなんてね。旅にはこういう面白いことがあるもんだ。

そんなバンコク一日目。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。