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「石鹸の町マルディン in トルコ」

世界一周349日目(6/13)

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「ハッ!」と目を覚ます瞬間がある。

外で寝ている時に限るけど。


パッと目を空けたら、気の弱そうな男が
僕のギターケースのジッパーに手を当ててる所だった。

ここは世界で二番目の長城があるトルコの
ディヤルバクルという町の公園のベンチの上。

「お、おお…?ハロー?」

戸惑いながらもフレンドリーに挨拶をしておく。

男は気まずそうに笑いながらすぐに去って行った。
もしかしたらギター盗まれてたかも??


僕の持っているギターはギターの形をしていない。

Martin Back Packerという
小ぶりの三味線みたいな形のギターで、
インドでひび割れの修理に出した時に
格安で買ったケースに入っている。

さすがメイドイン・インディアとでもいうかのように
そのケースは使っているうちにみるみる縫い目がほどけ、
今では中のスポンジが切れ目から露出している状態だ。

きっとさっきの男は中身が気になったんだろう。


まずバックパックは重た過ぎて僕が寝ている間には
まず盗まれることはない。
持ち上げたところですぐ頭の横に置いているから気づく。

サブバッグはそんな重たいバックパックを支えるように
下に置いているので、持ってくには
重たいバックパックからジェンガのブロックを抜くように
引き抜くしかない。

ちなみにサブバッグが一番盗まれたくない物だ。

中にはパスポートやパソコンなど旅を続けるための
必需品が入っているからね。


6時半には寝袋をたたんで動き出した。

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次の目的地はマルディンという町。

これもヒッチハイクで乗せてくれた方に
オススメしてもらった場所だ。

トルコ人がオススメするくらいだからね!
行って間違いはないはず!

今いるディヤルバクルからマルディンまでは
幹線道路がまっすぐ続いている。

これはヒッチハイクできるだろうと、
僕は町のはしっこまで行ってみることにした。


トルコでのヒッチハイクがいかに簡単であるかが分かってきた。

それはこのトルコのみんなの国民性とでも言うべき
オープン・マインドなフレンドリーさに由来するんだろう。

もちろん危険もあるだろう。特に女のコの場合。

だから僕は「トルコでのヒッチハイク楽勝~~~!!!」
なんては口が裂けても書けない。

てか、ヒッチハイクするまでが大変なんだ…。
ぜえ…。遠いし、重い…。

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マルディンまえの幹線道路に出ると
バックパックを背負いながら親指を立てて歩いた。

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すぐに止まってくれる車。

開始10分も経っていない。朝からいい出だしだ。

乗せてくれたのはエルトンさんというお医者さんの方だった。

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「マルディンで暮らしてるんですか?」

「いや、上からの命令でね。
本当はマルディンなんかに行きたくないんだよ。
500日働かなくちゃいけないんだ。
その後は好きにしていいことになっている」

トルコのお医者さんのシステムが
どんな風になっているかはよくは分からないが、
人事異動みたいなものなのかな?

エルトンさんは
「えっと、これは英語でどう言うんだったけな?」
とそこまで英語が堪能じゃなかったが、
それなりに会話を楽しむことができた。

僕がトルコに暮らすクルド人のことを訊いてみると
エルトンさんはこう言った。

「僕は別にクルド人が独立してもいいと思っている。
だって僕たちは同じ人間だろう?
あれは政府や無理矢理に括りを
作ってしまっていることが問題なんだと僕は思うよ」

と。

なんだかお医者さんらしい意見だなぁと思った。
どっちつかずと言えばそうなってしまうんだけど。

そうだよな~。同じ人間だもんな~。

「国」というひとつのまとまりは
どうやってできたんだろう?

日本だったら、戦国時代みたいな内戦が沢山あって、
外国からの脅威にさらされたりして、
日本という国ができあがってきたわけだけど、
その構成員に無理矢理組み込まれた人たちもいる。


「ふーむ…」

徐々に重たくなってくる瞼。

ヒッチハイクさせていただいて
ひじょ~に申し訳ないんだけど、
助手席に座って話のネタがなくなってくると
すぐに眠くなってくるんだよね…。

顔をゴシゴシしていると、エルトンさんは
「気にすることないんだよ」と優しく言ってくれたが
おれは寝ないぞ!日本男児の誇りにかけてぇ~…

眠い…。


そんなエルトンさんはカフェで
コーヒーをごちそうしてくれた。
僕も名刺をプレゼントさせてもらった。

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マルディンという町は
新市街と旧市街で別れているようだった。
観光地なのはオールド・マルディンの方。

「今日はホテルに泊まるのかい?」

「や~、キャンプかな?」

「それはちょっとよくないよ。
あのスイマセン、安いホテルは知りませんか?」

神がかった親切さでエルトンさんは
僕を旧市街まで送ってくれただけじゃなくて
安い宿まで僕を乗せて行ってくれた。
マジでありがとうございます。

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9日間キャンプしてきた。トルコで初めての宿だ。
35リラ(1673yen)。地味にWi-Fiがあった。

やるな。それに今日くらいは泊まってもいいだろう。

僕は迷うことなくチェックインして、
部屋にバックパックを置くと、
外までエルトンさんを見送りに出た。

僕がバイトしていた串焼き屋さんは
お客さんを外までしっかりとお見送りするお店だったから。


エルトンさんを見送ると僕は洗濯物を済ませ、シャワーを浴びた。

脱いだジーンズからは
ほんのりと公衆トイレの臭いがした。

これがレベルアップするとホームレスの
強烈な臭いになるんだろう。

やっぱ体を洗うって大事だなぁ~。

てか宿の安らぎようはんぱねぇぇえええ~~~~!

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体もさっぱりして、サブバッグだけも持って外に出る。

いつも町歩きはフル装備で
はぁはぁ言いながらだったけど、この身軽さはなんだ!


オールド・マルディンは山の上にある。

乾燥地帯にあるため、見下ろすと辺り一面、
地平線まで茶色い地面が続いていた。

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そして、この町はほどよく観光地化されており、
メインの通りにはお土産屋さんが沢山軒を連ねている。
それが僕をウキウキさせた。

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マルディンでよく見かけるのは天然素材の石けんだ。

これで頭も洗えるらしい。

値段はローカルな物からブランド物まで。
これで頭も洗えるらしい。

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この石けん、どこかで見たことある気がする…。

キャンプ生活を始めて毎日シャワーを浴びれなくなり、
果たして体を毎日洗うことが重要なのか
調べてみたことがあった。

実際、毎日お風呂に入らなくてもいいそうだ。

ここまで毎日欠かすこと無くお風呂に入るようになったのは
ここ最近の話らしい。

そして、洗い過ぎだと肌の必要な分の核質まで落としてしまらしい。

また市販されているケミカルなものは肌によくないそうだ。
アトピーなんかも石けんを変えるだけで改善するとかしないとか。

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まぁ話がまた長くなっちゃったんだけど、
そこで見かけたのが
シリアの「アレッポ石けん」
というものだった。

マルディンはシリアに近い。

だから影響を受けてるんだろう。
シリアは内戦で行けないけど、ここで石けんを買うしかない!

いくつか石けん屋さんをチェックして、僕は町歩きを続行した。

見晴らししのいい高台でギターを弾きながら
奥田民生の「さすらい」をシャウトしていると、
近所の大学生の男の子から彼の家に招待を受けた。

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なんだか今試験期間中だそうだ。

お父さんがアラブ語、英語、クルド語を話す通訳さんらしく、
お父さんと一緒に今度、イスタンブールに働きに行くんだって。

ここだとそんなに仕事がないんだ。
という彼からは何か日本に通ずるものを感じた。

なんかトルコのガキんちょはマセてるのかなぁ?
コイツらずっと「あっ!あっ!はぁはぁ」って喘いでたんだけど。
僕の後ろをついてきながらずっと。

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そして写真を撮ろうとすると逃げるっていう笑。

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町歩きを終えて、僕は目をつけていた
石けん屋さんに入った。

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ここでは「サブーン」と言う。
色とりどりの石けんが店内にディスプレイされている。

5種類、2個づつで買おうと思っていたのが、
12個になり、リクエストされて店内で一曲唄ったら
奥さんから1個石けんをおまけしてもらった。

そしてプレゼント様に麻袋を売ってもらい、

手持つと重量感…。

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あ~、今は考えないようにしよ!うんうん!

シリアに近い乾燥した岩山の上にある町、マルディン。

ここは僕のお気に入りに加えてもいいだろう。

久しぶりの宿の居心地のよさがたまらなかった。

外のライブバーからは夜遅くまで音楽が鳴り止まなかった。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。