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留学強制終了となった私の話、デンマークとコロナ③(24h強制帰国~後編)

今日は、学校の閉鎖宣言が出されて、24時間以内に帰国することになった、怒涛の1日のお話の後編です。前編はこちらから。


さて、普通に生活していたある日の晩、デンマーク政府が、全国の教育機関を閉鎖することを発表しました。私の通う、フォルケホイスコーレは、全寮制なので学校閉鎖と同時に、生徒も実家に帰ることに。政府の緊急会見から数時間後には、8割以上の生徒は学校を去るという異常さ。

この奇妙なシチュエーションに、戸惑いながらも、次の日を向かえます。



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2020/03/12(デンマーク国内 コロナ感染者数:674人)


8:15 起床☀️

こんな緊急事態の日でも朝は弱い。いつも通りの日常が始まったりしないかな、、と願いつつも、目は腫れてるし、泣きすぎたせいか頭は痛いし、部屋には昨晩飲んだビールの缶が転がってるし、、ルームメイトの荷物もないし、、ああ、夢ではなさそうやなと、最悪な気分で朝が始まる。と言いつつも感傷に浸っている余裕もないので、急いで準備して、8時30分、ギリギリDinig hall へ。朝食を食べる。


8:45 Morning assembly

Big hallに行くと20-30個ほど椅子が並べられていた。いつもは120個ほど敷き詰められてるので、だいぶ寂しい。

校長が生徒の名簿を読み上げていくけど、ほとんどの生徒はここにいなくて、ああ、みんな帰ったんだなぁ。と実感する。

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今日も歌を歌う。私にとったら、これが最後のMorning Assemblyになる。途中でだれかが立ってそれに続いて全員立って歌った。泣いてる子もいる。



9:30 留学生と先生が集まる

それぞれ今後をどうするかを聞かれる。日本以外からきた留学生はみんな、帰りのチケットを購入したそうだ。アメリカから来てる子は、トランプが欧州とアメリカ間の渡航制限を設けたので、帰国できるか本当にギリギリのタイミングらしい。

先生に、少なくとも明日までには学校を出なければならないと言われる。ん?昨日と話が違うくない??

わたし達はみんなフライトをまだ購入していなかったので、日本人でまとめて今日中のフライトを購入することになった。今日の18:00発のフライトが見つかった。約4万円。安い。購入。(イスタンブール経由、コペンハーゲン発、成田着)

ということで、今から9時間後には、デンマークを出国していることが決定した。怒涛。

学校は13:30に出発する。あと4時間。


10:00 荷造り

とりあえず、日本に住む家族に、今日デンマークを去ることを連絡し、それから急いで荷造りを済ませる。

半年分の荷物を秒でまとめないといけない。

わたし達のフロアには、連続して3人の日本人生徒が住んでいるので、たまに彼女たちと、やばいやばい。終わらん。など言いながら、パッキングをする。今月頭に、Spotifyでaikoの楽曲が公開されたので、私はaikoの曲をガンガンかけながらパッキングした。

悲しみに浸ってる時間はない、とりあえず急ぐ。


12:00 ランチ

もうこの時点で学校に残っているのは、留学生と、数人のデンマーク人生徒たちだけ。

留学生のコースの先生からWhats Appにメッセージがきて、最後にランチを一緒に食べることになった。

キッチンのメインシェフのおじちゃんに別れを告げる。本当にKrogerupのご飯は美味しかったなぁ。ありがとう。



12:30 部屋に戻る

パッキングと掃除を終わらせる。

急いで、ルームメイトと、Dane-mate(留学生のサポートをしてくれる有志の生徒)に置き手紙を書く。ルームメイトへの手紙はこの部屋のテーブルに、Dane-mateへの手紙は彼女の部屋のドアに貼り付けておいた。いつ学校が再開するか分からないけど、その時に読んでもらおう。

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校内を歩いて写真を撮る。人気のない校舎はすごい寂しい。

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メインエントランスには、もうすぐ出発する生徒たちが荷物を置いて、集まっていた。

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13:30 学校出発

ルームキーをエントランスに置いて学校を去る。

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ここにいる留学生たちで同じ時間の電車にのるから、最後にみんなで森を抜けて歩く。意味分からんくらい風がつよかった。



14:00 クラスの最後のCHECK-OUT

わたし達の留学生のメインコースでは、毎回、授業の最後に、Check outと呼ばれるものやっていて。それをHumlbækの駅のホームでやった。

この3ヶ月Krogerup 学んだもの。これから自分の中で大切にしたいものは?を一言で。

いつも通りみんなで円になって、1人ずつ答えていく。私は【host myselfの精神】と答えたと思う。

Do what I wanna do と答えたてた子もいたなぁ、確か。この学校にきて本当に良かったなぁとつくづく思う。

いつもは意味分からんくらい明るい、太陽のようなClara(担任の先生)が、号泣しだして、私も泣いた。


14:06 Humlebæk st.出発

途中から、すごい雨が降ってきたなと思っていたら、まさかの雹が降ってきた。しばらくしたら、ど晴天になった。まるで、わたし達の今の状況みたいに変化する。これ、国語の小説のテストやったら絶対、情景描写として問われるところやん。とか思う。

いつもだったらこの電車でそのまま、スウェーデンにも入れるのだけど、コロナの影響で入国制限を設けてあり、この電車も、コペンハーゲン空港から先は運休するそう。何度もアナウンスが流れていた。このグローバル化の時代にそんなことがあるんか。


15:00 空港着

フライトチェックインを済ませる。別行動をしていた、ベルギーと南アフリカ出身の留学生とも空港で偶然再会。最後にちゃんと会えてよかった。

それぞれのゲートに向かう。

南アフリカ出身の彼女は、私たちとイスタンブールまで同じフライトやった、席も偶然同じブロック。彼女はいつも通り、コーラを買っていた。


18:00 デンマーク出国

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ほんとにバタバタしながら、デンマークを出国。一日前のこの時間は、学校で、いつも通り夕ご飯を食べていて、まさか今頃デンマークを出国しているなんて誰も想像すらしていなかったな。

本当に怒涛の一日だった。

皮肉なことに空は意味わからんくらい綺麗。


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ということで、首相の学校閉鎖宣言から24hも経たないうちに、本当にデンマークから出国してしまった。正直この時、まだ実感は湧いてなかったと思う。深く考える隙すら無かったので。

トランジットで、トルコのイスタンブール空港へ。Wifiがケチだったけど、大きくて綺麗な空港だった。ここで何時間か過ごす。

途中で、南アフリカ出身の子とお別れし、私たちも、成田へ行きのゲートに向かう。そこは、9割が日本人の乗客だったから、もうすでに、日本に帰ってきたかのような感覚だった。至るとことから日本語が聞こえてくる。久々の感覚。ほとんどの人がマスクをしていた。みんな、急な帰国なのだろうか、お疲れ様です。


2020/03/13 (デンマーク国内 コロナ感染者数:804人)

11:00(日本時間 19:00)

日本に帰国。信じられないけど本当に帰ってきたらしい。政府から帰国者に対して何も指示されていないタイミングだったとは言え、空港ではびっくりするほど普通に入国できるもんやから、拍子抜けだった。なんの問診もない。水際対策とは、、?


そして、一緒に帰ってきた日本人のみんなともお別れをする。

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デンマークのフォルケホイスコーレ、という教育機関を、留学先に選んだ私たちは、正直、”変わった”人なのかも知れないけど、それぞれの考えがにホントに賢くて、かなりインスパイアされたなと、改めて思う。今はみんな辛い時期だけど、これから各々のやりたいことをやって、最終的に全部繋がったらいいな。というか多分そうなる。

強制帰国という、奇妙でかなり心細いイベントを、みんなと一緒に帰ってこれて最後まで楽しかったのは、不幸中の幸いではあるけれど、良かったなと思う。もしこれを読んでいたら、どうもありがとう。



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ということで、怒涛の24h 強制帰国編 が終了しました。

もう早いことに、これは3週間前の出来事になるのだけど、思い出せるうちに文章に残しておこう、と思って書き残しました。人生でこんなこと、滅多にない衝撃的な出来事なので。っていうか、こんなん、もう二度とおこらんといてほしいわ。と願うばかり。

それと、

不本意な帰国から3週間、基本的に精神は沈んでいて、どこかやる気の出ない、やるせない感じが続いているのだけど、、そろそろ元気になりたい。こんな世の中やし、外出もできず、息苦しい日々であることは変わりないけど、、少しづつ、自分の今できることを動きだしたい。そう思ったから、成仏のような思いもこめて、この長文記録をしたためました。読んでいただきありがとうございます。


世界中で皆様、無事でありますように。BIG HUG💛

いつもありがとうございます! いただいたサポート費は、この自粛生活を生きる自分へのちょっとしたご褒美にまわしたいと思います。☕️🍨❤️