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note48: ヨハネスブルグ(2011.8.4)

【連載小説 48/100】

「アフリカ大陸における日本と中国の勝負はある意味ですでに決着がついているのかもしれませんね…」

SK君が呟いた言葉が妙に切なく心に残った。

彼は将来アフリカを舞台に国際的なビジネスをしたいと希望しているが、その厳しさを痛感しているのだろう。

前回、中国がアフリカにおける最大投資国となっていることを紹介したが20世紀後半に“成長から取り残された”アフリカのその後と中国との関係についてレポートしよう。

実は日本人のほとんどはノーマークだろうが2002年からアフリカ経済は急成長に転じ、その後5年でGDPが倍増している。
経済成長率も5%以上で推移し「成長する大陸」と呼ばれているのだ。

では何がアフリカの高度成長を支えているのか?
それは資源開発への投資である。

石油といえば中東のイメージが強いが、アフリカ大陸には産油国が多く巨額のオイルマネーが流れ込んでいる。
さらにアフリカが蔵する資源は石油だけでなく、金、ダイヤモンド、プラチナなど様々な鉱物資源に及ぶから、まさに“資源の宝庫”なのである。

そしてこれらの開発投資におけるメインプレーヤーが中国なのである。
原油価格の高騰で中東への依存比率の見直しを余儀なくされている日本にとってもアフリカ大陸への開発投資は注力すべき分野であるが、競争相手が中国となっては明らかに分が悪い。

そういえば、気付けば「世界第2の経済大国」という肩書きは日本から中国に移行してしまった。
一人当たりGDPではまだ中国の10倍の豊かさを誇る日本ではあるが、相手は人口数が10倍強の13億人だから“量”のパワーで追い抜かれた。
おまけにこちらが人口減少&低成長時代に突入したのに対して向こうは右肩上がりの経済成長期。2位奪還は不可能だろう。

むしろ1位の米国も元気のない今、中国がいつ「世界一の経済大国」になるかを論じるほうが現実的なのである。

人間の成長を養うのが食料であれば、経済界の発展を養うのは化石燃料である。
世界最大の人口を擁する国家の資源需要は史上最大級にして、それを独自でまかなえないとなれば当然のごとく供給パートナーが必要となる。
そう、ここに「成長する大陸」にして「強力な資源供給地」たるアフリカが登場するのである。

ここでSK君の語る“勝負”に話を戻そう。

国際社会を舞台に展開されるビジネスは国家間の需供のバランスの中に“量”の差異をもって勝負が決まる。

資源を求める国家は世界中に存在するが、その資源を有するアフリカにとってより魅力的なパートナーはどこの国か?

答えはシンプルだ。
より多く投資してくれる国であり、より多く買ってくれる国であり、そのためにより積極的にアプローチしてくれる国、中国である。

アフリカ大陸に自らの将来をかけるつもりでやってきSK君が悶々とするのも無理はない。
彼が調べたところ、現在アフリカ大陸に暮らす日本人が8000人程度なのに対して中国人は80万人に及ぶという。なんと100倍である。

それでもSK君はポジティブである。
「アフリカ大陸における日本のプレゼンスは“量”が勝負の市場ではなく、日本の技術力やアイデアを活かせる“質”の分野で高めればいいですよね」
との覚悟も決めているのだ。

「成長する大陸」ゆえにアフリカ大陸には今後様々なビジネスチャンスが生まれてくに違いない。

次代を担う日本の若者がこの先アフリカ大陸にどんな夢を追うのか楽しみである。

ところで、次なる訪問地がポルトガルのリスボンに決まった。
ヨーロッパ大陸にステージを移す「SUGO6」の旅が面白い新展開となったので次回に報告しよう。


>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年8月4日にアップされたものです。

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