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note49: ヨハネスブルグ(2011.8.7)

【連載小説 49/100】

4日前、干ばつや内戦による食糧危機で飢餓が深刻化するソマリアに対して国連が緊急支援を国際社会に要請した。
過去90日間に5歳未満の乳幼児が3万人近く餓死し、今も64万人の子供が深刻な栄養失調状態にあるという。

ソマリアはケニアの隣国で7月末まで僕が滞在していたナイロビから「飢餓地域」に認定されたソマリアの首都モガディシオまでは1,000kmほどしか離れていないので少なからず驚いた。

ケニアと南アフリカ共和国というアフリカ大陸における豊かな国を旅してきたために、僕のレポートが「飢餓」や「内戦」などの“負”の要素が既に過去のものになっているかのような印象を与えたかもしれないが、それは一面的なものでありアフリカにはまだまだ解決すべき課題が山積みである。

人類社会はつまるところ全てがピラミッド構造をなしている。
知恵や技術や財産は常に頂点に近い一部の層に集中し、それを支える多くの底辺層には行き渡らない。

先日のセミナー資料のGDPデータを見ると南アフリカ共和国1国でサハラ砂漠以南全体の約40%を占めていることがわかる。アフリカ大陸内には先行する国家とその他の間に大きな格差があるのだ。

つまり「成長する大陸」の実態とは急速に高く積み上げられながらも極めて底辺が広いピラミッド構造社会で、頂点にある富の共有には程遠い段階にあるということだ。

その意味では、アフリカ大陸の頂点のみを旅した16日間の経験をもって「アフリカとは何か?」を総括することなど今の僕には出来ないしその資格もないわけだが、それでも個人的には今回の旅はこれで充分だったと満足している。

なぜなら“旅人”としての僕とこの大陸との付き合いはここからスタートするのであり、プロローグとしては充分な体験をすることができたからだ。

何年先になるかはわからないが、僕は必ずこの大陸に戻ってくるだろう。
それはナイロビやヨハネスブルグへの再訪になるかもしれないし、その先に広がる様々な国家群へのダイレクトアプローチになるのかもしれない。

いずれの旅になるとしても「成長する大陸」のピラミッド構造変化をしっかり観察し続けることにしよう。


さて、ヨーロッパ大陸へ移動する「SUGO6」の旅は「DICE ROLL」デーで「2」の目が出て以下のメールが届いた。

>>>>> Dice Roll ⑪/2011.8.1-20:00<<<<<

Johannesburg → Lisbon
【リスボン Lisbon】

ヨーロッパ大陸最初の訪問地は最西端の国ポルトガルの首都リスボン。
リスボンに4日滞在の後、ポルトガルとスペインの国鉄を無制限で利用できる鉄道パス「ユーレイル スペイン&ポルトガルパス」を利用して次なる都市バルセロナへ10日以内で移動する。

リスボンへは8/8イベリア航空IB6050便(20:20)でヨハネスブルグ→マドリッド、翌朝接続便でリスボンへ。

>>>>>SUGO6 Support Desk<<<<<

つまり「2」の目が出て進んだ升に「1つ進む」の指示があったことになる。
マニラからコタキナバルを経てシンガポールへと進んだ4/1の「DICE ROLL」も同様だったが、今回は国境を接する隣国へエアラインを使わず鉄道の旅で向かうところが面白い。

ポルトガルのリスボンとスペインのマドリッドはかつて訪れたことがあり、お気に入りの街である。
今回はそれら2都市への再訪を楽しんだ後、初訪問となるバルセロナへ向かおうと思う。

進路をヨーロッパ大陸へ向け、「SUGO6」の旅は新たなステージへと続く。


>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年8月7日にアップされたものです。

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