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「この商品が欲しい」ではなく「あなたから買いたい」が必要な世界

通販の発達による流通革命によって、販売店は「配送元」としての価値しか無い世界が着実に訪れようとしている。
その時、生き残るには「あなたから買いたい」と言われるショップになる事では無いか。

オウンドメディアや、コンテンツマーケティングは、どうしても集客やSEOの観点から論じられる事が多く、その結果として上手く運用できない会社が多いのでは無いか。

もっと、単純に思考を変えてみてはどうか?例えば、私が昔担当した店舗には40代後半の笑顔が素敵な店長がいた。ブランドとしては、20代〜30代をメインターゲットにしている店なので、明らかに店長は歳を取りすぎている。しかし、その店舗で一番お客さんを持っているのは、その店長だった。

その店長は、お店に訪れた常連さん(それこそ80歳の方まで)と頻繁に言葉を交し、常連さんの話を聞き、共感し、一緒に笑い、悲しむ。そんな店長であった。そうなると、常連さんは「このブランドのアイテムが欲しい」ではなく、「あなたが売る商品を買いたい」そう思うのだ。

コンテンツマーケティングであれ、オウンドメディアであれ、最終ゴールは、お客様に「あなたから買いたい」と思っていただく事だ。

だからコンテンツも、「そう思ってもらうためのコンテンツ」でしか無い。例えばコーディネート、例えば豆知識でも。目的はただ一つ。

自転車の通販サイトで、「ワールドサイクル」と言うサイトがある。
リアル店舗は1店舗だけである。そして、お世辞にも発想が速い訳でも、安い訳でもない。
でも、自転車界隈では有名である。それは、このサイトが「積極的に楽しみ方」をネットで提案しているからだ。

例えば、「輪行」と言う、自転車を電車で運ぶための方法を、スタッフが「輪行マイスター」として積極的に様々な場所で啓蒙している。
それは、「商品を売る」以前の「自転車を楽しむ方法」をユーザーにしっかり知ってもらい、「乗り続けてもらう」ための活動である。

私たちは、お客様を「物を買ってくれる人」と定義づけるが、それ以前に「同じ事柄を楽しめる同志」であると言う視点を忘れていないだろうか?

服を売るために、その服のコーディネートや作り方を提案するのはいいが、それだけで、ユーザーは私たちを「同志」とみてくれるだろうか?

きっとそうじゃ無い。例えば、80年代の服がリバイバルしたら、その時の音楽や文化を共に語ったり、ナイキのスニーカーの新作が出たら、過去のスニーカーと比較しながら、あーだこーだーと語り合いたいのでは無いか。

実店舗では当たり前のようになされている「お客様との会話」
それを、ネットで行い「あなたから買いたいのよ」と言われる。それが大切じゃ無いのだろうか。


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