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旅をしながら働く

僕は20年ほど前に柔道整復師という国家資格を取り、主にこれを使って仕事をしてきた。

柔道整復師というのは要するに接骨院ができる資格のこと。若いうちは無条件にこの資格を取ったからどこかの接骨院かもしくは自分で開業して施術を続けることになるのだろう、と思っていた。別に決め付ける必要はなかったのだけど、他の選択肢が思いつかなかった。当時は常に心のどこかに不満やあきらめといったネガティブな感情があった事は否定できない。



20代の頃から修行していた接骨院はものすごく忙しく、毎日朝早くから夜遅くまで働き、休日も勉強会に参加したりなどで自分の時間は全くと言っていいほどなかった。もともと旅が好きだったのだが、とてもそんな状況ではなく、諦めの気持ちもあったけど、いつかこのサイクルから抜け出したいとの気持ちもあって、仕事ばかりに追いかけられる生活へのささやかな抵抗として、英語の勉強をしたりしていた。海外に出かけるなんて夢のまた夢のような状況だったけど、そうでもしておかないと旅に出かけたいという気持ちのやり場がなかったからかもしれない。




でもこの生活を続けている限り海外はおろか国内旅行も満足にできないまま人生を終えることになりそうな気がしてきて恐ろしくなった。

やりたいことに無理矢理フタをして過ごすのはどう考えてもおかしいと思うので。


その後、紆余曲折はあったけど、幸運にして今はフリーランスをメインの活動として割と自由に仕事ができている。

旅好きとしては旅を仕事に絡める事は無意識のうちに絶対条件となり、今は旅先で講習会をしたり、オンラインの講座をしたりとして行きたいところに出かけて自分のペースで仕事をしている。

旅が好きと言っても別に観光をするわけではなくて、訪れた土地の空気を吸って、気持ちよく運動できる場所を探したり、快適に作業ができるカフェを訪れたり、地元のお酒やご飯を頂いたり、ささやかな楽しみを享受することに喜びを覚えている。

しかしそれも柔道整復師として徹底的に専門性を高めた時期があったから可能になったのだと思う。そう考えると苦しんだ時間も無駄ではなかったと言える。

今は自分が取り組んできた仕事を通して得たスキルや知識を発信することにシフトしていて、インストラクターやセラピストの方々への指導や一般の方に対して健康情報をオンラインで発信したりする活動をメインにしているが、もう40代なので指導する立場になるのも自然な流れかと思う。

オンラインが発達した時代だからこそ可能な働き方だとも思うけど、せっかくこの時代に生きているのでメリットは最大限に享受しておきたい。


なので今までを振り返ると、個人的にはやはり一時期徹底的に専門性を高める期間は必要だと思う。いつまでも苦しい働き方を続ける必要はないと思うけども、期限を決めて集中してやるのが良いのではないだろうか。

自分の場合はたまたま行きたい方向に流れ着いたけども、意識しておけばもっと若い時も精神的に楽に過ごせたのではないかなと今では思う。


そして最近は次のステップとして旅そのものを仕事にする活動も始めている。

これからは柔道整復師として得た専門性のみでなく、旅を通して身につけることのできる力や、各地の歴史、風土などをテーマにコンテンツ化して発信していく活動をしていきたいと思い、昨年国内旅行業務取扱管理者の国家資格も取得して合同会社も立ち上げた。今後はもっと直接的に旅を仕事につなげる活動をしていきたい。

その試行錯誤の過程を発信することで自分の活動の振り返りや、誰かのヒントになれば、という思いでここに記事を書いていきたい。

旅を仕事にする、というのは自分の人生の大きな目標でもあるので、これから益々しっかりと向き合っていきたいと考えている。

Tabinova:ダイスケ

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