見出し画像

発酵道

発酵道      寺田啓佐     2007年

見えないものをイメージすることは、関心が無かったらできないことです。

昼間も夜と同じく空に星は輝いています。明るいから見えないだけです。
皮膚や口の中など身体のあちこちに常在菌がいて健康が保たれています。
発酵と腐敗は菌のバランスの違いであり、つまり、発酵すると腐らない。
地球は46億年続いていて、38億年前くらいには生物とよべるものが生まれていた。最初は単細胞生物であり、最初の多細胞生物は10億年前に誕生したとされている。
5億年前に海から陸にコケ植物が上がり、それから土が生まれた。
など。

この本では、発酵醸造を生業としている寺田氏が、微生物の世界では、互いに支え合って生きる、相互扶助の力が大きく作用していることに気づき、微生物の世界は、「愛と調和」で成り立っていたと気づいたと、「はじめに」に書かれています。

微生物の世界は30億年以上続いてるのですから、いのちの大先輩ですね。

以下、本文より引用します。
腸内環境というのは、ほどよく発酵菌優勢というのがいいのだそうだ。発酵菌によってもたらされる「腸内発酵」が、便秘を解消し、大腸ガンをも予防してくれる。そういう状態を持続できれば、免疫力は高まり、健康になっていくのだ。
逆に腐敗菌が優勢になれば。「腸内腐敗」がもたらされ、便秘や下痢が起こりやすくなって、発ガン物質も現れてくる。あげくは体全体の免疫力が下がり、不健康への道まっしぐらとなるのだ。
「発酵すると腐らない」。ぬかみそで気づいたことは、こういうからくりだったのか。いい発酵がいい発酵を呼び、腐敗など寄せ付けないのだ。
(中略)
発酵している意識というのは、本来の自分、本当の自分の意識をいうのだろう。一人一人の心の奥にある、純粋な意識のことを。
「自分の利益や欲を捨てたときに、人間は救われる」
これは、かつて父にいわれた言葉だ。自己中心的な姿勢を改めたとき、発酵という救われる道ができるということだったのかもしれない。

生命(いのち)の視点で酒を造ろう。昔ながらの酒造りに返ろう。人の役に立つ酒を造るのだ。そう考えて到達したところは、無農薬・無化学肥料で栽培された米を使った、自然酒造りだった。

麹米を作る際に蒸米(むしまい)にふりかける麹菌、次の段階の酒母(しゅぼ)造りで最初に登場する硝酸還元菌、その後自然発生してくる乳酸菌が乳酸を生成し、タンクの中を酸性にするわけだ。乳酸菌や酵母菌など、微生物たちのたくさんの生命(いのち)のおかげで酒は造られていく。
酵母菌のみによって作られるビールや容姿と違い日本酒はいろいろな金が代わる代わる働いて作られるところが面白い本来の日本酒の持つ深い味わいはだからこそできるのだろう。
その味わいの基になっているのが微生物が醸(かも)しだしたものなのだが、微生物の分泌物の中には色々なスグレモノがある。アミノ酸、有機酸、多糖類、ビタミンなどの生理活性物質である。この物質は体の細胞を甦らせるような働きをする、いわゆる抗酸化物質で、体の酸化を防ぐ、体をさびさせない物質である。なんとありがたいことだろうか!

#私のイチオシ

この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?