見出し画像

[雨上がり]

降りたバス撫で落ちる雨粒に
心で赤目を出し 傘を差し
一歩二歩しくじり水溜り
染みる靴にはため息

一人の帰路 雨足に蹴られて
雲の塊が心押しやる
歩みを早めて足音を立てて
少し泥はねて

濡れた裾の不気味に足から
引きずり込まれそうなんだ
無口な街 降りたままのシャッター
灰色の世界へと

絡むイヤホン 無理やり引き抜いて
耳に蓋をした

溢れ言みたいな着メロに
つかみ損ねた右手に慌てて
ひとつ触れたら平和の欠片が
季節外れのパステルカラー

にわか雨で洗濯物が台無しの
彼はやり直しだねと笑った
気づけば雨はやみ
遠くの雲間から幾筋の光

2番通の歩道の濡色は
うつむく頬を照らすライトに変わる
そうだ家についたら温かい
ココアでも入れようか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?