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[柏並木]

柏並木と なじみ深き人
ある日の若葉に手を伸ばした
まずはあなたが そしてすぐ追いついて
比べて見せたっけ

泣き笑いのあなたを追いかけてたら
木を見て思い出を知った
あやまって 手を取って
そのまま惹かれたなら
幻はどっちかな

かすかな便りもない二人を
カモメの飛ぶお空が
しつこく照らすので
沈みやがれ
いのちも辛々からがら
落ち延びたように
名残は今でも惜しんで余りある
だからもう ひとり歩き

柏並木と なじみ深き人
あなたが吐いた言葉を聞いた
塗り変わらずに 落書きのようで
身体をいたぶった

背中の温もりの巡る気配がした
ただ春の終わりだった
重なって 波立って
橋の喧噪けんそうに立てば
時代もわかるだろうけど

地球儀上を 指でなぞれば
いつか出会えると浮かべたくなるが
その実 大きな世界と 街なので
どこに行ったの?

柏並木と 憂鬱な人
若葉のさざめきをべる夏人なつびと
浮かび沈むのは何も
あなただけじゃないのに

かこちな頭を
撫でくりまわした
あの日の二人が大嘘だらけでも
いいぜ
ついには叶わず手元に
残した夢の数々を誰かと
持ち寄りましょう
切なくて倒れ込みそうだよ

柏並木と なじみ深き人
あまたに響く言葉を聞いている
大きな世界は凌駕りょうがしてくれるようで
越えてゆくことなど____無い

柏並木と なじみ深き人
ある日の若葉に手が届いてた
変わらない景色 そして地にすまでは
覚えているんだな

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