[帰函者セレナーデ]

再開の目途は立たず
吹雪はホワイトノイズ
それは長旅の合図
まいどおおきに 梅田は
苦手な夜行ターミナル

膝小僧が軋んでる
乗り継いだ予定外のロング・ウェイ
それも悪くはないさ
過ごした雪のない冬
指折りながら

Back to Hometown
Back to Hometown
僕らは街を出た
くすんだ歴史の轍はたちまち消えた
Back to Hometown
Back to White Noiz Town
僕を覚えているか？
啄木の浜に照らされたチャリと愚か者を

懐郷 抜ける隧道
野山を統べるトドマツ
色鮮やか モノクロは
遥か昔 切り取る Bay Shore Line

「ふるさとってどんななの？」
都会の彼女が訊いた
酷いもんだよ 嘘の言葉を
潮風が攫ってく
Hakodate White Noiz Town!

しわしわの土産袋
疲れを撫づる揺り籠
ああ 変わりないみたいだ なんて
見え透いた強がりを重ねたら

「ふるさとってどんななの？」
都会生まれの君に答えよう
口をついて出た嘘の言葉を
聞いてくれと頼むころ もうどこにも…

セメント街 斜陽を煙に巻く
本町 スピーカーが管を巻く
テトラポッドだらけの湯川ゆのかわ
もう青春を生み出すこともないんだろ

Back to Hometown
Back to Hometown
季節は繰り返すものじゃない
ナナカマド並木が教えてくれた
Back to Hometown
Back to the White Noiz Town
僕をまた抱きとめてくれるかい？
錦を飾るからと嘯うそぶいたこの僕を

いい報せ 悪い報せ
結局同じことだね
この街にはない幸せを
信じて背を向けた吹雪と
今日も同じ向きの西北西

今更の未練 垂れたって
綺麗な記憶さえもフィクションなのだろう

雪玉を作った御城跡とは
別の景色に今 足がすくんでしまう

Back to Hometown
Back to Hometown
明け方の桃色の空を見た
街は凍こおるミストから目を背けた
Back to Hometown
Back to Hometown
鯨汁くじらじるは余ってるかい？
油臭いなんて水臭いじゃないか
Back to Hometown
Back to White Noiz Town
時は今も流れているかい？
トラムと汽笛だけが刻んでた

「ふるさとってどんななの？」
都会の彼女が訊いた
酷いもんだよ 嘘の言葉を
潮風が攫ってく

Back to Hometown
Back to Hakodate, Oh White Noiz Town
僕をまた抱きとめてくれやしないか
僕のことを覚えていないか
啄木の浜辺で押したチャリと愚か者を