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[あまごい]

「昔々のことでした
里を見守る女神様
答えを知らしめたはずでした
言葉を知らずに村人は

村人は」

季節は折々の布を重ね
見透かして見惚れて見えなくなって
愚かなやるせなさを未来と呼ぶなら
時を千切ってそのあとで

隣り合う破片を持ち寄り
数えたあとでまた始めよう

(One cloud ago
I'm proud of that time)

虹色の街の
二人に思い思いを
今の僕らは
手を振り合うだけ
探り当てた先に
柔らかな香り
触れたひとひら
あなたの手のひら

季節は折々の布を重ね
見透かして見惚れて見えなくなって
鬼火に惑わされて焦土を築いた
時を契れば赦されますか

「里を憐れむ女神様は
神秘を陰り舌を噛む
にえと捧げたつもりでした
雨雲は皆、村を避けてゆく」

(異形のたうつ 捕え給え
異形が笑う 射抜き給え
御堂を創ると雫音しずくねが響く
そなた"譲れないもの"を捧げ給え)

染みついた三ツ子の
咎めは重い重い、壊せ
死出のつぼみ
雨の予感を抱け
探り当てる夜に
柔らかな痛み
夢の人牛くだん
あなたを拒んだ

季節は折々の布を重ね
見透かして見惚れて見えなくなって
愚かなやるせなさを未来と呼ぶこと
時を千切れど消えないもの

虹色の街の
二人に思い思いを馳せ
今の僕らは
手を砕いたの
探り当てる術も
柔らかな香りはされど
とうに失った指先を
饒舌に語る

(Gone cloud away
I'm proud of empty
Once upon a time
I'm proud of you)

「昔々のことでした
里を憶える者は誰もいない
里に捧げる花は一輪でいい」

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