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【青森県弘前市】(3/4)春待つ弘前。まん防だったまちだけど人情厚く、酒も肴も絶品だった。2022年3月11日(金)-3月13日(日)

まん防の弘前市の旅3/4になります。


◾️太宰も通った東北最古の喫茶店へ

太宰も通った東北最古の喫茶店

二日目。朝5時に起き出してホテルの温泉で長風呂します。
「ドーミーイン弘前」は天然温泉の大浴場があっていいですね。展望露天風呂からは、雄大な岩木山も見ることができました。

朝食をコンビニのおにぎりやらサンドウィッチで済ませ、かくみ小路から土手町方面へ向かったところにある「土手の珈琲屋 万茶ン」へ到着です。

昭和4年創業で東北最古、日本で四番目に古い喫茶店で、お隣の五所川原市(合併前の金木町)出身の文豪・太宰治も通ったそうです。
何代目になるのでしょうか、若いマスターが「太宰はですね、珈琲が好きっていうより、喫茶店で珈琲を飲むことでカッコつけてたというのがホントのところらしいです」と茶目っ気たっぷりの笑顔で教えてくれました。

東北最古の喫茶店は敷居が高いということもなく、一見客のわれわれであっても、店の一番奥の特等席だと思われるボックス席を使わせてくれました。「席は早い者勝ちですから、遠慮せずにどうぞどうぞ。ゆっくり寛いでください」と、津軽弁特有のイントネーションをまとった言葉でもてなしてくれました。

常連らしい客たちが入ってくると「おはようございました」とユーモアたっぷりに大きな声であいさつをするマスター。それに対して常連客も、「新聞ある?」とか「よ、久しぶり」とか「あっだがぐなっできたねぇ(あたたかくなってきたねぇ)」などと返しています。
観光客にも地元にも愛される良い店、道理で長く続くわけです。

店内

わたしは「太宰ブレンド」を、妻は「スペシャルブレンド弘前」とアップルパイ、ムスメはカフェオレとアップルパイを注文しました。

「太宰ブレンド」はバランスの取れた穏やかな味わい、「スペシャルブレンド弘前」は林檎のイメージなのか綺麗な酸味が効いた味わい(サイフォンのコーヒーが、カップ二杯分入っているので、妻と交換して飲んでみました)。

落ち着いた雰囲気の中、『偽書「東日流外三郡誌」事件』を読みます。若かりし頃の太宰も、この店でコーヒーを飲みながら本のページをめくっていたのでしょうか。

🔳弘前中央食品市場で食べ歩き

昭和が残る味わいのある建築群

「万茶ン」を後にし、どこかで昼食をとろうかと土手町をぶらぶらします。通り沿い、趣のある一角に差し掛かると「弘前中央食品市場」という建物が目に入ります。

おお、と思い足を踏み入れると中は閑散としています。貼り紙があって、それを見てみると、令和4年3月31日をもって閉鎖してしまうといいます。
建物の老朽化が進み、改修や建て替えを検討してきたが組合員が4人しかおらず、コロナの影響で観光客が減ったこともあり閉鎖に至ることになった模様です。

名物の大学いも

芋に目がない妻は早速大学いもを買い求めます。大学いもを売る「山田商店」は、この市場の顔のような存在のようで、市場閉鎖後は、この近くに移転するようでした。

この後、次々と大学いもを求める人々が列をなし、40分待ちとなっていました。地元に愛されてきた市場であり、大学いものようでした。

山田商店のやきとり

ムスメとわたしは同じく山田商店のやきとり(一本130円)を購入。大ぶりのもも肉は香ばしく焼き上がり、ジューシーで鶏の旨味に溢れます。仮に一本300円といわれても納得の味わいでした。

◾️津軽そばとデギュスタ

津軽そば

弘前駅前まで足を伸ばし、「虹のマート」を訪れます。こちらも「弘前中央食品市場」と並び、弘前の人々の食卓を支えてきた市場で、午前8時から開いているようです。

お目当ては明治21年創業の「めんの店 アキモト」の津軽そば。わたしは、津軽そばの中でも、特に最高級のそば粉を使っているという「幻のそば(440円)」をいただきました。

津軽そばも津軽地方独特の食文化の一つであり、非常に手間暇かかる製法でそばを作っているそうです。

さて、初めてとなる津軽そば。つるりとした喉越しというより、むっちりとした食感です。そば粉の香りも上品に漂い、あっさりした煮干し出汁のつゆとよく絡み、優しい味わいです。時間が経つとぷつりぷつりと切れてくるのは、つなぎに呉汁を使っているからでしょうか。

なんにせよ、津軽弁の女性店員さんたちも優しく、そして飛び交う津軽弁が耳に心地良く、人中心の空間が広がる市場でした。

またまたデギュスタ
実はなみなみでした

「虹のマート」で昼食を済ませた後は、各自自由行動としました。妻はホテルに戻るといい、ムスメは「まわりみち文庫」を再訪するといい、わたしは「デギュスタ」の姉妹店「酒の柳田」などを見て回りました。

夕方前、再び、その「デギュスタ」を訪れると、立ち呑みスペースには、津軽弁の若い女性客が二人グラスを傾けています。だいぶ酔っているようで、声も大きくなっていますが、わたし自身が津軽弁に馴染んできたのか、聞いているだけで、どこか心が落ち着くような気がしました。いい気分でした。

わたしはカヴァをもらい、夕飯はどこでとろうかとスマートフォンを使い、良さそうな居酒屋がないかネット検索をしました。
そして、カヴァを呑み干すと、弘前の地酒「豊盃」とタムラファームのシードルを買い求め、いったんホテルへ戻りました。

(4/4につづきます。)

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