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【仙台】(2/2)秋の仙台は人で溢れ帰り、それを避けながら隠れ家的酒場で呑んだ夜 2022年10月15日(土)-16日(日)

2022年の秋、ムスメが仙台で実施されているイベントに参加したいというので、2人で一泊二日旅をした記事の2/2となります。
それにしても、宿泊させてもらった「旅館つかさ」の朝御飯が最高に美味しかったです。
注)2022年10月の記事になります。


◾️時間調整のため、スナックで歌う

酒肆 番

さて、いまやすっかり、仙台横丁における定番にしたくなった「お菜晩酌 志ほ」を後にしたわたしは、「スタバでフラペチーノ買って帰る」というムスメにフラペチーノを買ってやろうかとスターバックスを目指しましたが、店の前まで来て「やっぱいいや」と言い出したので、この日の宿「旅館 つかさ」へ送り届け、再びひとり仙台の夜の街へ出ました。

前々から気になっていたにごり酒専門の酒場「酒肆 番」が、宿からそう遠くなかったので、そちらを訪ねてみましたが、席が一杯ということで店に入れず、仕方なく仙台駅前あたりの酒場を探してうろうろしてみました。少し時間を潰し、再度「酒肆 番」に行ってみようという作戦です。

久々スナック

時間は夜の7時少し前。まだまだ街に人が溢れています。そして、歩いて歩いて「ハピナ名掛丁」のアーケード付近にある雑居ビルにあるスナックへ辿りつきました。
たまには、地元に詳しいスナックのママや常連客から、面白い話を聞くのも楽しそうだと考えたところです。

スナックのドアを押し開けるとボックス席に先客が一人。マイクを握りしめ、古い歌謡曲を歌っています。

「こちらへどうぞ。ごめんなさい、今日はママが休みなので、わたし一人なんだけど」と、女性店員が、カウンター席に座ろうとしたわたしを、先客が座るボックス席の隣のボックス席へ促し、そしてお絞りを手渡してきました。

ハイボールを作ってもらい、その女性店員にも瓶ビールを勧め、ボックス席のソファへ身を預けます。 

「こっちのおじいちゃんは“ヤマちゃん”ていう常連さんなんだけど、今日はカラオケの練習で早くから来て呑んでるの。たくさん歌うと思うけど、気にしないでお客さんも歌ってくださいね」と特に尋ねてもいないのに教えてくれながら、デンモクとマイクをすいっと目の前に出してきました。

「ヤマちゃんはね、市内でも離れたところに一人で住んでる90歳になるおじいちゃんなんだけど、奥さんを亡くしてから、寂しさを紛らわすためにうちのママ、あ、ママも80歳なんだけど、ママに毎週会いにきて、そんでママに毎回カラオケを歌わされるんです(笑) だから今日はママのリクエストに答えるために夕方から来て、呑みながら練習してるんですよ」

60過ぎぐらいの女性店員は、さらにさらに、そんなことを教えてくれました。90過ぎのヤマちゃんは可愛らしい小さなお爺さんで、にこにこしながら焼酎の水割りをちびちび呑って、ときどき思いついたように古い歌を熱唱していました。

元気でいいですね、とわたしが女性店員にいうと、「ホントにねー。ちょっと耳は遠くなったけど、通ってくれるから有り難くって。ずっと元気でいて欲しいんですよねー」と、その女性店員は目を細めて笑みを浮かべながらヤマちゃんを見て言いました。

ハイボールを何杯か呑み、少しだけわたしも歌わせてもらい、20時過ぎに店を出ました。階段を降りる後ろの方から「ほら、ヤマちゃんも帰る時間よ。バスがなくなっちゃうよ」という女性店員の声が届きました。

こういう旅先の店やスナック、たぶんもう一度は来ることはなく、店の印象や細かいやりとりは徐々に薄れてしまうんでしょうけど、だけどなんだか、どこか心に残るひと時としてひっそりと記憶の片隅には仕舞われていくんだろうと感じました。
一期一会、というのかどうかわからないほどの出会いでありますが、これも旅の愉しみのひとつではありますね。

◾️「にごり酒専門店 酒肆 番」へ

再度挑戦です
にごり酒専門店「酒肆 番」

再び訪れた「酒肆 番」。カウンター席に空きがあって座ることができましたが、酒肴はすべて切らしてしまっているということでした。まあ、先ほどのスナックでおでんやら煮物やら漬物を食べていたので、腹は満たされてたので、「あ、ぜんぜん大丈夫でーーす」と言いながら、通された席に腰を下ろします。

さてさて、福島は曙酒造のにごり三酒呑み比べを注文し、酒をじっくり利いてみます。にごりと言えば「どぶろく」のイメージも強いですが、醪を荒く濾せば酒は濁ったままで、いわゆる“清酒”ではなく、“濁酒”に分類される酒になりまして、米の旨味が乗った濃いめの味わいとなります。

ゆえに、甘すぎると感じたり、もったりしていると感じたり、舌触り喉越しがあまり良くないと感じたり、ネガティブなイメージを持つ方も多いですが、個人的にはたっぷりジューシーで必須アミノ酸を多く含んだにごり酒は大好き派です。

曙酒造のにごり酒
お通しを出していただきました

福島は曙酒造のにごり酒三種は、「一生青春 おりがらみ 生」「央 特別純米」「天明 亀の尾 純米」。

「右側のお酒がいちばん軽くて、徐々に旨味が濃くなります」とのことで、たしかに「一生青春」がもっともすっきりしていて、「央」「天明」と徐々に厚みのある味わいとなりました。

好みはどれかと訊かれれば、真ん中「央 特別純米」が、もっともバランスが取れていて口に合う気がしました。

酒メニュー

カウンター席の先客三人組は常連らしく、店主らしき男性とマニアックな酒の話をしていました。聞き耳を立てて、日本酒談義に花を咲かせている様子を伺わせてもらいます。こちらの酒場には根っからの日本酒好きが集まりそうな雰囲気で、わたしも大好きになりそうです。

そしてこの店も、仙台銀座にある「お菜晩酌 志ほ」同様に国分町から少し離れたところにひっそりとある隠れ家的酒場で、街に人は溢れかえっていますが、静かに呑める大人の酒場の雰囲気を醸し出していました。

◾️「旅館つかさ」の絶品朝食に悶絶す

最高の旅館朝食

翌朝、旅館つかさで朝6時半に朝食をいただきます。
昭和そのままの雰囲気が残るこちらの旅館の朝食がとても美味しく、ムスメもわたしもご飯(地元産ひとめぼれ)をおかわりして、満腹になるまで楽しみました。

ホテルのビュッフェ朝食に慣れたムスメからすると、配膳形式の朝食すらも新鮮らしく、「こういうのって、なんか楽しいね」と喜んで食べています。
仙台の街中ど真ん中にある立地において、この古き良き昭和が残る「旅館つかさ」は、なんとも愛すべきお宿だと感じます。最高に朝食も美味しかったです。

もう宿の雰囲気最高です

朝食を終え、シャワーを浴びたら身支度をし、宿をチェックアウトして再び仙台の街に出ました。

少しぶらぶらして、どこかで鮨でもつまんでから盛岡に帰ろうか、という算段で、残りわずかとなった仙台の時間を愉しむことにしたのでした。

(おわり)

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