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再建術後6日目:忠実に再現されている左胸

乳房再建の手術では、ドレーンという管が身体に入っています。その管から体外へ、血やら浸出液やらを排出します。そんなドレーンが私の身体には、4本くっついていました。このドレーンが非常に煩わしい。さらに、ドレーンが抜けるまでシャワー禁止というのも辛い。

ドレーンが抜けるまでは、看護師さんに身体を拭いてもらったり、洗髪をしてもらたりしていました。早くシャワーを自分で浴びられるようになりたいと思いながら、毎日毎日を過ごしていました。

◆術後はじめてのシャワー

再建術後6日目。やっと最後の1本のドレーンを抜いてもらうことができました。これでやっと、シャワーを浴びることができます。

乳房全摘の手術後は、シャワーを浴びたい気持ちとシャワーを浴びたくない気持ちが行ったり来たりしていました。

約6ヶ月前の乳房全摘の後、はじめて看護師さんに付き添ってもらい浴びたシャワーは、とてもドキドキしたことを今でも鮮明に覚えています。この時のドキドキは、見るのが怖いというドキドキです。

今回は、違います。

同じドキドキでもワクワク感に近い。どんな風に左胸が出来上がっているのかが気になるのです。

◆テープだらけの体

鏡に映った自分の姿を見てみると、左胸には15㎝ほどの長さのシリコンテープ。お腹には横30㎝ほどのシリコーンテープ、おへその位置らしき箇所に2㎝角のシリコーンテープ。予想はしていましたが、身体の全面が創を保護するためのテープだからけでした。

身体に張られたテープを見て、やはり今回の手術は大がかりなものだったのだと改めて感じました。

◆再現力すごい

体の前面に張られたテープの次に、目が行くのは、やはり再建した左胸です。

鏡に移る私の左胸は、右胸の形とそっくり。

再建手術の前、形成外科の先生から幾度となく「左胸を元の形にすることはできないし、右胸そっくりに作る事もできないことは、理解してね。多少、胸の形は変わるということを頭に入れていおいてね。」と言われていました。

ですから、私自身、右胸そっくりそのままの胸を手に入れることに期待はしていませんせでした。失った左胸の箇所に、膨らみができればそれでいい。それなりにあれば上出来だと思って再建の手術に臨みました。

ところが、実際に出来上がった胸は、ほぼ右胸そっくりそのまま。大きさ、形、胸のたわみ加減までが再現されているのです。

◆”創造の神”に出会ったかも

手術の前日、生まれてはじめて身体にマジックでお絵描きされました。あの印だけで乳房が忠実に再現されるなんて信じられませんでした。

同じ形を粘土で作れといわれても、私ならそれする出来ません。

生身の人間の体にメスを入れ、脂肪を取ってきて、その脂肪で患者本来が持っていた乳房に限りなく近い形を作る担当医の先生は、私にとっては神の手です。

◆先生のセンスに感謝

私は、エキスパンダーで左胸を拡張している際、膨らみがないことと、もうひとつ気になっていたことがありました。

それは、左胸のデコルテ部分のえぐれ感です。なんとなく、肋骨が浮いて見えるのが気になっていました。しかし、このことは担当医には伝えていませんでした。なぜなら、診察時に「乳房再建でできることは、失った乳腺を取り戻すということだけなので。」といわれていたからです。

エキスパンダーによって、最大限に左胸が拡張され、洋服を着れば胸の喪失感はありませんでした。ただ、Vネックの洋服やクルーネックでも首元が開き気味のものは避けていました。それは、左胸のデコルテ部分が陥没気味のため、首元から胸にかけてのラインに違和感があったためです。

ところが、鏡に移る私の左胸のデコルテは、右胸と同様になっているのです。

どうやら、担当医の先生が、小技を使ってデコルテ部分を修正してくれたようです。その小技について、詳しく説明してくれました。が、先生独自のテクニックとおしゃっていたので、もしかしたら企業(?)秘密かもしれないので、ここでは割愛することにします。

乳腺外科の主治医先生が、とてもキレイに乳房を作ってくれる先生だと薦めてくれたのは、こういうセンスと高度な技術を合わせ持っている先生だからなのかなぁと深く思いました。

そんな先生に巡り合えて良かったです。


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