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「車でお遍路」第52番札所 太山寺(国宝「一夜建立の御堂」)

こんにちは、旅いこかです。

四国八十八箇所巡礼、弘法大師との「同行二人」の旅、52番目のお寺は、

瀧雲山りゅううんざん 護持院ごじいん 太山寺たいさんじ


51番札所の石手寺から約12.0㎞、車で約40分の場所、

石手寺から松山市中心部を離れ伊予灘の海の方へ向かって車を走らせると、高浜港や松山観光港にほど近い小高い山の麓に太山寺は静かに佇んでいる。

この太山寺の本堂は国宝、美しく堂々とした名工の作品で稀に見る傑作と称される愛媛県下で最大級。嬉しいことに51番札所の石手寺の山門(仁王門)につづいて国宝を見ることが出来る。

「一夜建立の御堂」と呼ばれる本堂内陣からは嘉元3年(1305年)と書かれた墨書銘が、そして鋳銅製の梵鐘には永徳3年(1383年)の刻銘があり、鎌倉時代末期にかけて建立した時代に想いを馳せることが出来る。

では、松山市内七番目の札所「太山寺」へ参りましょう。

杉の木が鬱蒼と茂る参道 十三仏像やお地蔵さんをはじめとして多くの石像に出逢う
本堂(国宝) 鎌倉時代に建てられた愛媛県下最大の建物で十一面観世音菩薩を祀っている 


ご詠歌

たいさんへ のぼれば汗のいでけれど のちの世おもえば なんの苦もなし


お参りする前に知っておいた方が良い知識

歴史

  • 用明2年(587年)、豊後国(現在の大分県)の富豪であった真野長者が、高浜港の沖で嵐に襲われた際、観世音菩薩に祈願すると無事難を逃れたことに感謝して一夜にして本堂を建立(※一夜建立の伝説の詳細は下記)

  • 天平11年(739年)、聖武天皇の勅願により、この地に巡錫した行基菩薩十一面観音を彫りご本尊として安置

  • 天平勝宝元年(749年)孝謙天皇(聖武天皇の娘)が七堂伽藍を整える

  • 天長年間(824-834年)、この地を巡錫中の弘法大師は、法相宗から真言宗改宗

  • 後に、後冷泉天皇(在位1045-1068年)、後三条天皇、堀河天皇、鳥羽天皇、崇徳天皇、近衛天皇(在位1142-1155年)、と6代にわたる天皇が十一面観世音菩薩を奉納

  • 後に、荒廃

  • 嘉永3年(1305年)、伊予の領主河野氏が再興

  • 江戸時代(1603-1868年)、松山城主加藤公の庇護を受けて繁栄、現在に至る


一夜建立の伝説

今から約1400年前、豊後国ぶんごのくに(現在の大分県)で炭焼をしていた小五郎のもとに奈良の都の三輪明神のお告げにより久我大臣の娘である玉津姫が嫁いできた。
小五郎は金鉱を見つけて大金持ちとなり、欽明天皇より長者の号を頂き「真野長者」と改名。

船で大阪難波に向かう途中で伊予高浜の沖で嵐に襲われた際、一心に「南無観世音菩薩」と唱えて祈ると、瀧雲山(経ヶ森)山頂から五色の御光が差して無事難を逃れた

そして長者が山に登ると、草深い小さなお堂に十一面観音像が安置されているのを見つけた。

ご利益を頂いたお礼にと、この場所に本堂を建てることを決心、すぐに豊後国に帰り大工を集めて高浜に戻ると、山の中腹に夜を徹して一夜のうちに本堂を建てたことから「一夜建立の御堂」と呼ばれているという。


寺号について

  • 寺号について
    ・・・寺号は太山寺であるが、仁王門の表記は「山寺」となっている


ご利益

  • 御本尊の十一面観世音菩薩
    ・・・10種の現世利益(十種勝利)4種の後世利益(四種果報)。(様々な災難、病気治癒、財福授与、勝利等の現世利益と延命、極楽浄土等への後世利益)


御本尊・ご真言

本尊:十一面観世音菩薩
真言:おん まか きゃろにきゃ そわか


見どころ

  • 【国宝】本堂
    ・・・嘉元3年(1305年)、鎌倉時代に建てられた愛媛県下最大の建物で十一面観世音菩薩を祀る また、堂内には日本最古といわれる木製納札(嘉吉3年、1443年)があるという

  • 【国指定の重要文化財】七躰の十一面観音像(秘仏)
    ・・・本堂内陣の厨子に安置されている、聖武天皇、後冷泉天皇、後三条天皇、堀河天皇、鳥羽天皇、崇徳天皇、近衛天皇、が奉納

  • 【国指定の重要文化財】仁王門
    ・・・
    柱はすべて円柱で礎盤を備えた唐様の手法で鎌倉時代の特徴を伝えている

  • 【県指定有形文化財】梵鐘
    ・・・鐘楼堂は1655年に再建、鐘楼堂内には天井画、壁に地獄絵図がある。鋳銅製の梵鐘(有形文化財)は永徳3年(1383年)の刻銘が残る室町時代初期(南北朝時代)の名作

  • 【県指定有形文化財】弘法大師像
    ・・・鎌倉時代中期以前の絹本著色画像として優秀な作品

  • 聖徳太子堂・・・本堂に向かって右手奥にあり聖徳太子を祀る

  • 長者堂・・・本堂と大師堂の左手奥にあり真野長者を祀る

参拝後に仁王門へ向かう
仁王門をくぐり一礼した後は、のどかな街の風景が待っている


写真


次は、第53番札所圓明寺えんみょうじへ参ります。

2022年6月16日投稿
2022年10月6日改訂

合掌

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