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あきらめという新しい視点、前篇

コロナ以前から、少しづつ心境の変化はありました。私の場合「人生、点火」の時期が遅すぎたのもあり「地元鹿児島での音楽活動」を人によっては「あきらめの悪いおばさん」的な目で見られていたとしても不思議ではないと思ってきました。

それでも「あきらめず」動き続けてきたことで生まれたものもあるし、見えてきたものもある。格好いい言葉にも聞こえるでしょうが、本音です。もっと若い頃にそれに気づくことができたら、もっと世界は違っていたのかも?とも思うけれど、結局その「行動」が必要な時にしか動けないんだから、私の人生はそれが一つの「タイミング」だったわけです。

不注意による事故

私は、一時期、人の3倍は動いてきた自負があります。疲れていても、調子が悪くても「今行かねば、何かを見落としてしまう」「今、ここへ行かなければ、出会いをひとつも三つも逃してしまう」そういう気持ちで動いていました。

ある時、私は全面ガラス張りのお店に頭から突っ込んでしまいました。やらかしてしまったわけです。今振り返ると、ちょっとした精神分離でも起こしていたのでしょう。目では扉の位置がわかっているのに、意識がその横のガラス部分にずれていたわけです。ハッと気がついた時には、夕方の大渋滞中の車の列に向かって四つん這いに倒れていました。粉々になったガラスの上についた、ヒザや手のひらは血だらけ。かぶっていた帽子と着けていたメガネはフッとび、四つん這いになった私の胴体はお店と道路のちょうど中間にありました。

その店のオーナーの声が遠くから聞こえてきました「さくらさん!!!大丈夫ですか?!!!」。遠くからと思った声は、私の顔の横にあって、私は逆に訊き返しました。「ねえ、顔から血出てる?」そして訊きました。「ガラスって胴体に刺さってる?」

「刺さってます!!!」と応えたオーナーの方が焦ってたと思います。「救急車呼びましょう!」と言われて断り、大変わがままで申し訳ないんだけれど近所の皮膚科に連れてってくれませんか?とお願いして、お店の雑巾で手をぐるぐる巻きにして、そのまんま病院へ行きました。救急車呼ばれると、どこかの救急病院へ運ばれてしまうので、通院が面倒臭いな、と思ったんです。異常に冷静でしたし、痛いけど笑ってたのだけはよく覚えています。あと、あの血だらけの空間を片付けてくださったご近所会の皆様。感謝しています。

視野の拡がり

とてもざっくりと説明しましたが、あの時のことは私にとってとても大きなターニングポイントでした。音楽活動を続けて来られた今だからこそ思えるんでしょうが、あの時の「やらかし」がなければ、今の私は無いと断言できます。もしかしたら今回の「ガン宣告」に動揺しまくってたかもしれない、とも思います。

とても寒い3月のある日。ぐるぐる巻きに巻いたマフラーに助けられ、厚手の生地のジャケットの下に着たダウンに助けられた、私の首と腰。もしソレが夏だったらと思うとかなりゾッとします。今でもゾッとします。死んでたかもしれない。

怪我で急に「出来てたことが出来なくなった」。そして知ったのは「出かけなければ、出かけなかった場所にも出会いがある」ということでした。あれ以降、頭の切り替えスイッチオンのスピードが速まった気がしています。カメラを何台も利用してスイッチングで視点が変わっていくテレビ等のカメラワークのように、ひとつのものを見るだけなのに角度や方向で違うものにも見える客観性の幅が増えたような感じです。「まだまだその視野は増やせる、見えてないものは多い」それをさらに実感したのが、乳がん発覚でした。

あきらめないことは大切

「あきらめないこと」はある時期には必要なことです。どうにも出来ない環境というのもあるかもしれません。でももし少しでも出来る環境があるのなら「最初からあきらめている」というのは論外だと思っています。やりたいなら、やれるなら、やることはやる。やった上で見えてくるそこから先の向こう側で初めて感じられるのが「あきらめるということ」の価値だと思います。

最近、かなりの確率で「A型ですか?」と訊かれます。その正反対とも言われているB型の人間なんですが笑 でも環境もあるのでしょうが"気が付くとそばにはA型さん"てことは多いですね。結局、血液型って関係ないんだとは思うんですけど、自分の身に起こっていくモノコトにその都度向き合っていくと、性格って変わっていくような気もしています。顕在意識が変わるというか。潜在意識は変わらないのかもしれませんけど。

価値観が変わっていくというのは「何に対してあきらめないで動けるか?」ってことで変わっていける部分のことなのかも?

先日鹿児島読売テレビさんに取材していただいた時に「好きなことを続けていくコツって何ですか?」と質問されました。その時、考えてもみなかったコタエがぽろっと出ました。自分でもそのコタエに驚いて、取材の後に「さっきの質問、何でしたっけ?」って訊いちゃったくらいで笑

ちょっと長くなったので、後篇はまた次回。


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