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一生つきあっていくこと

先日放送のMBCラジオ番組「乳がんと少年隊」( 22:00台 と 23:00台 があります。4月12日までradikoにて聴取可能です)の中でも話題にした「リンパ浮腫」。

「切ってしまえば終わり」そう思っていた乳がん手術でしたが、それはぜんぜん違いました。

“大きな怪我を自分から受けにいく”
そんな感覚で挑んだ手術。事前に知人看護師さんから「重いものとか持てなくなりますよ」と言われていたけれど、全くピンと来ていませんでした。

ネット情報やなんかで「キャンサーフィットネス」みたいなのを読んでいて、ほら、運動してもいいよね?って勝手に自分都合で情報を受け取っていたし、 “人間の身体が持つ適応力” をもともと信じてることも相まって、手術したってキズが治ればなんにも変わらないよ、とほんと勝手に思っていました。

2022年1月7日午前中の手術。全身麻酔明けのその日の夕方には、立ち上がって歩いて。普通に座って夕飯を食べる、、、気満々でした。というのも「そういう方もいらっしゃいますよ」と聞いていたから。でも私は違った。。!笑 立ち上がるどころか起き上がれなくて。右利きなのに右腕が動かないから、食事も不便。携帯も触れませんでした。思うように動かせない身体を動かすたびに走る激痛に「おおお、、そうくるかあ」って、自分で突っ込みながら、もう逆に笑えてきまして。

そしてとても情けなくなってました。

夜もなかなか寝付けないし「胸の切除なのに、腕もこんなに痛いものなんですか?」と夜勤の看護師さんに訊きましたら

「脇の下のリンパ取ってますからねえ」と。

ああ、甘く考えてたなあ、私。でもその時の甘さはあくまでも「キズ」に対してだけだったんですよね。。。「本当に」甘く考えてたなってことがわかるのはさらにソコから後のことでした。

リンパ浮腫とは、がんの治療部位に近い腕や脚などの皮膚の下に、リンパ管内に回収されなかった、リンパ液がたまってむくんだ状態のことをいいます。 この症状は発症すると治りづらく、進行しやすいため、むくんだところが重くなる、関節が曲げづらくなるなど、生活にも影響することがあります。(2019年)

論より証拠。「リンパ浮腫」と、ネット画像検索してみてください。すごい写真がわんさか出てきます。脚のリンパが滞って、凄いことになってる写真は、正直自分とは無関係なつもりでいました。よっぽど、取ったリンパの個数が多い人なんだろうと。というかもはや、脚の浮腫は乳がん患者の写真ではないと思ってたんですよね。

そしたらなんと、気をつけないと脚に浮腫も出ます、と。でも私、リンパそんな取ってないわけだし、気にしなくていいですよね?。。。そして作業療法士さんに言われたのが「数個だけでもリンパ浮腫発症しますし、何十個も取ってたとしても発症しない人もいます」。ほっほお。。!

がん経験者の友人にも言われました。「私、リンパ浮腫発症してね、脚がゾウみたいになったのよ。リンパ液の逃げ場が足りずに、それですごく浮腫んだんだよ」と。その友人が手術したの10年以上前で、ステージも高かった。でも今はバリバリ動き回ってる人で。だから、そんなことがあったんだ。。!と、本当にびっくりしました。

そんなリンパ浮腫のトリガー(引き金)となり得る原因は

※怪我
※ヤケド
※火傷
※日焼け
※虫刺され
※腕肩脇の圧迫(買い物袋やリュックや下着など
※寝返りで手術側を下にして寝る
※注射や献血や血圧を手術側の手でしてしまう
※指圧やマッサージ
※ゆびのささくれ   等等

とにかくリンパ液を発動させたらNG。

「自然治癒力」がこんなカタチで悪い方へ向くなんて、身体の中で働く細胞たちもまさかまさかですよね。

私は重くて大きな荷物を背負って、自転車で動き回るタイプでしたが、まずソレが出来なくなりました。退院から2ヶ月経って自転車は乗り始めてますが、転倒に対して今までと種類の違う恐怖感もあります。

乳がんというと、抗がん剤治療の影響によるウィッグや乳房の模造品などイメージありますが、人の目が気にならないような「自然な」商品だと決して安い買い物ではありません。

けどリンパ浮腫に気をつけることで180度生活が変わると、日常的に使用するものでも相当な買い替え、買い足しがありました。「お金使わなくてもどうにかなる」こともあるかもしれないけれど、患者さんたちの「心の安定」を考えたら、目を向けることって本当に多いんだな、と実感しています。

さらにその向こう側を見ようとすると、当たり前ですが病気は乳がんだけにあらず。世の中はQOLだSDGsだって声高に言うけれど、本気で目を向ける必要性が高いテーマをうわべだけ撫で回して欲しくないな、と。思います。

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