君の名は
動物が好きなのだけれど、バードウォッチングだけはどうも苦手だった。
子どものときからの近視で、わたしは眼鏡をかけても遠目がきかない。鳥は、かさこそと木の葉が動く気配で振り向いても、姿を探せないうちに飛び立ってしまうので、鳴き声以外に手がかりがないことが多かった。
「逃げないで。もう少しだけそこにいて」
花や木は動かないから、根気さえあれば植物図鑑にあたってどれかは見当がつけられるのだけれど、野生動物は人の気配に敏感で、動きも早い。
ことに野鳥は高い樹の上の、葉の陰にいたりするものだから、目がなかなか追い付かない。
一度タイで、野鳥に詳しい人にバードウォッチングに連れて行ってもらったことがある。ボートを借りて川を下りながら、岸辺の鳥を見る趣向なのだけれど、やたらな方向に双眼鏡を向けているうちに鳥が飛んで行き、せっかくの機会を逃してしまった。
インターネット時代の図鑑は進化していた
親切に教えてくれる人がいて、最近、インターネット上に鳥類図鑑があることを知った。特徴や鳴き声から、鳥の名前を調べることができる。
たとえば、サントリーのウェブサイトには「日本の鳥百科」というコーナーがある。野鳥の保護活動をしている団体を、同社が支援しているからだ。
名前から調べることはもちろん、鳴き声や、外見の特徴から調べることもできる。外見からの場合は、鳥の大きさや特徴的な色、季節、見かける環境を入力すると、候補の鳥が出てくる仕組みだ。
どれかを選ぶと、鳥の説明が読めて、なんと鳴き声まで聞ける。紙の図鑑ではできないことで、便利な時代になったものだ。ひとつひとつに絵も添えられているので、名前がわからない鳥も探しやすい。博物画が好きなわたしは、見ているだけで十分に楽しいサイトだ。
うちの近所でよく見かける、長い尾を振り振りして歩く小型の鳥は、どうもセキレイらしい。名前がわかれば、鳥の生態や活動時間も調べることができる。なんだか新しい楽しみができた。気長に観察してみることにしよう。
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