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心に残るnote作品集

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エッセイや日記、写真、漫画など、出会えてよかった、素敵なnoteを集めてみました。さまざまなジャンルのクリエイターの皆さんに感謝をこめて。マガジンをつくる前に読んだ素敵な作品もた…
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#コラム

ゆめはいまもめぐりて。

年末年始、地元に帰った。高校卒業までを過ごした街。 新幹線で北へ向かうその車窓からは、トンネルをくぐるたび、視界に白の面積が増えていくのが分かる。雪が、枯れ木に花を咲かせているのだった。 駅のホームに降り立つと、お馴染みの凛と冷えた空気が身体を包むのがわかった。春夏秋冬をどれも等しくこの街で過ごしたはずなのに、この街を思い出すとき真っ先に浮かぶのは冬の記憶だ。 最高気温すら氷点下を記録することも珍しくないこの街で、寒さに奥歯を震わせながら足早に歩いた通学路。夜寝る前、凍

夢は叶うより実るほうがいい。

イラストレーターになりたいと思っていた。イラストに言葉を添えて、本を出したいと思っていた。 高校の頃の私の夢だ。 高校を卒業する頃、私はイラストの専門学校に行きたいと両親に言ったけれど、猛烈に反対されて大学受験することになった。でも第一志望の大学には受からず、すべり止めの大学に何とか受かり、その大学に入学したけど、結局のところ中退した。 私の夢は何一つ叶うことはなかった。 今思えば、その道はいくらでもあったはずなのに、私は何の努力もせずに、無気力なまま職安に通う日々が

最適解を求め急がない

「あなたの弱点はね、まず自分に都合のいいような答えを先に見つけて、それに引っ張られるところかな」 ほんの少しだけ躊躇いの色を見せながらも、先生は私の目をまっすぐ見てそう言った。自宅から車で20分程度の閑静な街。その一画にあるおうちで私は英会話の個人レッスンを受けている。 終わりのない英語学習。これまで現地の語学学校に通ったり、アメリカ人のチューターに英語を教わったりしてきた。今さら日本人の先生に指導を受けようと思ったのは、英語を習得した先に「翻訳」というスキルを身につけた