鳩の楽園と鳩はとハト
「鳩の楽園って知ってる?」
公園で本を読んでいるときふと女の子の声が聞こえてきた。
鳩の楽園?私は知らない。
顔を上げると、小学校低学年くらいの女の子が、おじいちゃんと手を繋いで歩いていた。
「知ってるよ。」と答えるおじいちゃん。
え?おじいちゃんもご存知でいらっしゃる?私は知らない。
「あそこのことやろ?」と指さすおじいちゃん。
「そうそう!」と答える女の子。
おじいちゃんの指さす先を見るわたし。
なるほど、わたしの知らない鳩の楽園があそこにあるのか。
ふたりは、鳩の楽園に向かって歩いて行った。
季節は巡り、夏の暑さも通り過ぎたため、先日久しぶりに公園で読書をした。
鳩の楽園のある公園で。
鳩の楽園のことを思い出し、わたしもそこへ足を運んでみることにした。
そこには、たしかにあった。「鳩の楽園」が。
木が茂り、心地のよさそうな木陰。
そこには、鳩、はと、ハト。兎にも角にも、鳩が大勢いらっしゃる。
鳩笛みたいに足をしまって丸くなっている鳩たち。
そこにいる鳩たちはこれがもうなんとも心地よさそうに、完全にリラックスしている。餌を求めて近づいてくるあの雰囲気は全くといっていいほど感じられない。だらっとしている。
そうか、これが鳩の楽園かぁ。
ふむふむふむと納得し、心地の良さそうな鳩たちの邪魔をしないよう、わたしは「鳩の楽園」をそっと去った。
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