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理想について

息子には、なぜかずっと「お金持ちになって、結婚して、子どもを持つ」という理想があったようで、その理想に向かって生き急いでいたように思う。発達障害や精神疾患の影響もあるだろう。生き急いで、行かなくてもいい道に迷い込んでいた。曲がりくねった暗い迷路のような道。

そんな息子が、その理想を手放して、「少ないお金で、一人で暮らす」のも悪くない、という考えに変わって来ているのを感じる。少ない給料でも好きな仕事ができれば幸せ。一人ならそんなにお金もかからないし、心を乱されるような関係ならいらない。まさに、私が理想とするミニマルでシンプルな暮らし。私に似て、本来はミニマリスト気質の息子には、とても合っていると思う。迷いまくって遠回りしたけれど、だからこそたどり着けたんだろう。

結婚して子どももいる私が言うのもなんだけど、もともとは結婚するつもりもなかったし、別に結婚せずに一人でもいいと思う。もちろん、結婚してよかった、子ども達がいてよかった、とは思っているけど、結婚していなくても、子どもがいなくても、同じようによかったと思っている気がする。どちらにしても、いいことも悪いこともあるはずだから。

娘はもともと、結婚も子どもも望んでいないようだし、息子も一人で生きる方向にシフトしているので、夫と私が子ども達の結婚や孫を見る日は来ないかもしれない。それでいいと思う。息子も娘も、幸運にも心から信頼できる友達に囲まれているし、好きな仕事を見つけて、持ち物も人間関係も思考もミニマルにシンプルに暮らすのが一番だと思う。

これから、どうなるかは分からないけど、息子がずっと縛られていた理想を手放せたようでよかった。理想って、無駄な期待と一緒で、それに縛られると、振り回されてしまう厄介なもの。自分ではどうにもならないこともたくさんあるし、何かを手に入れることより、これからは手放して行けばいい。もうじゅうぶん余計なものを手に入れようと足掻いて、回り道して来たのだから。


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