旅人はいま、何をすればいいのか。
いま、旅人にとってつらい日々が訪れている。
新型コロナウイルスの影響で、世界中の国々が入国制限を始め、いままでのように海外旅行ができなくなっているからだ。
いや、海外旅行だけでなく、日本各地で感染者が相次いでいるいま、国内旅行ですら行きにくくなっている。
ふらりと気軽に海外へ行けていた頃が遠い昔に思えるほど、前例のない事態が起きている。
旅に出たくとも、出られない。
この状況で、旅人はいま、何をすればいいのだろうか?
いま、旅人ができることは3つある、と僕は思う。
1つめは、「過去の旅を思い起こす」こと。
過去の旅の記憶は、いまの自分の心を、そっと優しく温めてくれる。
旅で見た風景、出会った人、感じた思い……。
きらきらとした旅の思い出は、旅に出られない日々だからこそ、より一層輝きを増して見えてくる。
2つめは、「未来の旅を思い浮かべる」こと。
いまの深刻な状況にも、やがては終わりが訪れる。
世界に平穏が戻ったとき、どこの国へ旅に出ようか? そこで何をしようか?
未来の旅を想像することは、つらい日々を生きる活力になり、確かな希望となってくれるはずだ。
そして3つめは、「いま、小さな旅に出る」こと。
かつて作家の吉行淳之介さんは、「近所のたばこ屋へ行くのも旅だ」と語っていたという。
そうだとすれば、家の外へ1歩出るだけで、それは「旅」になるはずなのだ。
たとえば、最寄りの駅へ行く途中、いつもと違う道へ入り込んでみる。そこには、いつもの旅と同じように、見たことのない景色が広がって、感じたことのない感情が湧き出てくるかもしれない。
たとえば、ちょっと自転車を走らせて、行ったことのない公園へ出かけてみる。そこでは、思いがけない美しい景色を見られるかもしれないし、見知らぬ人とのささやかな出会いが待っているかもしれない。
遠くの国へ行くだけが、旅じゃない。
家の外へ1歩出れば、そこには旅が待っているのだ。
過去の旅を思い起こし、未来の旅を思い浮かべ、そしていま、小さな旅に出る。
それがいま、旅人にできることなのではないだろうか。
僕はこの状況でも、「旅」を諦めたくない。
「旅」があるおかげで、いまこうして生きているのだから。
「小さな旅」の向こう側に、夢見た「大きな旅」があることを信じて。
大丈夫。きっとまた、春は来る。
旅の素晴らしさを、これからも伝えていきたいと思っています。記事のシェアや、フォローもお待ちしております。スキを頂けるだけでも嬉しいです!