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絵に描いた日曜日 ロシアワールドカップ旅日記4

6月24日(日)モスクワ→エカテリンブルク

目が覚めると、窓の外には、真っ昼間みたいに明るい青空が広がっていた。やばい、いきなり寝坊した……? と焦って時計を見ると、時刻はまだ5時。

どうやら、この季節のロシアでは、4時前に太陽が顔を出すらしい。ロシアの青空は、人を騙すのも上手いみたいだった。

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地下鉄と「アエロエクスプレス」を乗り継ぎ、ドモジェドヴォ空港へ向かう。今日からワールドカップの試合を観るため、ロシア各地を巡る旅が始まる。試合だけでなく、どんな街に出会えるかも楽しみで、胸が高鳴ってくる。

エカテリンブルク行きの飛行機は、定刻通りに空港を飛び立った。機内は日本のサポーターで満員。なんだかまるで、日本の国内線に乗っている気分だった。

機内は静かだったが、祭りの始まり特有のわくわく感が漂っていないこともない。今日は、日本の第2戦のセネガル戦。その現場に行くことができるのだ。

モスクワを出発したのが8時45分。エカテリンブルクに到着したのが13時5分。では4時間以上も空を飛んでいたのかといえば、そうではなく、モスクワとエカテリンブルクの間には「2時間」の時差があるせいなのだ。

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到着したエカテリンブルクにも、素晴らしい青空が広がっていた。何十、何百の美しい雲が連なって、劇的な光景だ。それはどこか、これから何かが起きることを予言している光景のように見えた。

ロシアワールドカップのマスコットキャラ「ザビワカ」が描かれたバスに乗り、街の中心部へ向かう。エカテリンブルクはウラル山脈の東に位置するため、地理的にはアジアに属する街らしい。そう言われてみると、街の風景にアジア的な雰囲気を感じないこともない。

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バスが到着したのは、レーニン像が立つ1905年広場だった。ここがエカテリンブルクの中心地らしく、すでに多くの日本サポーターが集まり、写真撮影などを楽しんでいた。

その近くでは、TBSの「スペシャルサポーター」をしているらしい俳優の竹内涼真くんを見かけた。ここが東京だったら群衆に囲まれるだろうが、エカテリンブルクなのでとくに人に囲まれることもない。青空の下、取材する竹内くんの姿は、とても気持ちよさそうだった。

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それにしても、エカテリンブルクは美しい街だった。中心部は車道ですら石畳で、そこをレトロな雰囲気のトラムが走り抜けていく。なんといっても、街の中心にある湖がいい。ボートを漕いで遊ぶ人、湖岸でのんびり風景を眺めるカップル、親子連れ……、モスクワにはないゆったりとした時間が流れていた。

今夜泊まるホテルで小休憩した後、遅い昼食をとりにいくことにした。朝からサンドイッチひとつしか食べていなかったのだ。

ワールドカップの現地観戦で1番困るのが「食事」である。観戦や移動に忙しくなり、食事をする時間がなくなるのだ。美味しい名物料理なんて食べる暇がないのはもちろん、何かしら食べられるだけでもいいくらいだ。だから、ワールドカップ観戦の鉄則は、「食べられるときに食べておけ」なのだ。

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ホテルの近くで、セルフ形式の食堂を見つけたので、ここで食べることにした。カツレツ、肉とトマトの串焼き、サラダ、ピロシキ……。どれも素朴だけど、美味しかった。

こうしたセルフ形式の食堂を、ロシアでは「スタローバヤ」と言うらしい。スタローバヤさえ見つければ、とりあえず食に飢えることはなさそうだ。

天気も良いので、スタジアムまで歩いて行くことにした。多くの日本サポーターやロシアの人々も、のんびり歩いてスタジアムへ向かっていた。

人波の中を歩いていると、今日の「祭り」を楽しもうという活気を、人々の間から感じる。日本vsセネガルというカードは、ロシアの人々にとってはさして興味のある試合ではなかったかもしれない。けれど、ロシアの人々もまた、この地方都市に舞い降りた「祭り」に胸を躍らせているのが伝わってくる。

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そういえば、今日は日曜日だった。この祝祭感は、日曜日だからこそなのかもしれない。

親子連れが、手を繋ぎながらスタジアムへ向かっている……。この日、エカテリンブルクにあったのは、絵に描いたみたいな美しい日曜日だった。

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