のとよう

あなたの旅行事業は「余暇」というスケールで、組み立てられているか。


from:ほぼ戯言。

あなたの旅行会社、あるいは、旅行事業は今、どの市場に対して、何を提供する準備を進めていますか?

最近、旅行業の方とお話しすると、決まってこんなセリフを耳にします。

「ユーザーが求める旅の形が変わってきている」

つまり、既存事業がこれまで通りでは上手く行かなくなってきた事に対する見解だと思います。しかしながら、変わりつつあるユーザーのニーズを、体系的に掴み取ることができないため、次の一手を決めかねていると言う印象です。

今回は、「ユーザーが求める旅の形が変わってきている」と感じながら対策を考えている旅行業の方に、先ずは把握しておくべきマクロなトレンドを紹介いたします。


有給休暇の取得義務化がもたらすもの

今年度から、有給休暇を5日以上取得することが義務化されました。
これは、国が一昨年に打ち立てた、「有給休暇取得率7割」という目標を達成するための一つの手段です。

現状はどうなのか、Expediaさんの調べで見てみます。

2018年における、日本人の有給休暇取得率は50%、無事に3年連続最下位を取得いたしました。皆さまお疲れ様でございました。



それ以前はと言うと、過去10年間に置いても、徹底して有給休暇の取得率最下位に拘ってきた実績があります。すごいことです。


どのくらいすごいのか?と言うのは、V9時代の巨人軍雰囲気と比較してご覧いただくと、よく理解いただけるはずです。


さて置き、総務省が行っている「労働力調査」によると、2019年2月時点における正規社員の雇用人数3,486万人となっています。

有給休暇取得の義務化によって、国が目指す有給休暇取得率は7割ですので、もし目標を達すると、平均4日/人あたりのお休みが、この日本で生まれるわけです。


そうすると。

正規雇用者数3,486万人 × 4日 = 13,944万日

つまり、約1.4億日もの余暇が、突如この日本に産み落とされます。


ここで認識すべきことは、「旅行市場」の広義な存在として「余暇市場」が存在していると言うことです。

「旅行市場」とは「旅行いくぞ!」と、ある種顕在化された市場とも言えますので、そもそも「余暇市場」を「旅行市場」に割いてもらう働きかけが必要になります。

よって、この1.4億日の余暇に対して、何を提供するのかという視点は、必ず持っておいた方が良いと思うのです。


「働き方」と「休み方」の区別が薄まる理由

先ほど1.4億日の余暇が増えると言いましたが、1.4億日すべてが、「休み」になるわけではありません。

先日、知人が試しに参加したUbereatsの説明会には、多くの若者志望者がごった返していたと聞きました。

その場でこぞってドライバー登録をし、配達用のカバンを4,000円で購入していたと。

特に首都圏では、Ubereatsのドライバーとすれ違わない日はありませんが、ペットボトルの水を買って飲みながら、シェアサイクルで配達している人がいるのです。

生産と消費の共存する世界が生まれつつあります。

画像:よーつけさん


何が言いたいかと言うと、「余暇市場」が、かなり合理的な消費(生産)へと多様化している、と言うことです。

いま余っている時間を、好きな時に好きな分だけ使って、ちょっと稼ぐ。と言ったように「働き方」や「稼ぎ方」さえも、余暇市場に浸透してきています。


この極めて合理的な余暇市場の消費形態が、「働く」「休む」区別を薄めています。今後も進むと思います。

さて、旅行事業者は、どう太刀打ちすればいいか。
僕は案外、相性が良いと思っていますが。


おまけ:2020年の「東京オリンピック」がもたらす効果は?

2020年の東京オリンピックが、日本の観光業、引いては日経市場に対して、大きな影響をもたらすのではないか、という淡い期待があります。

現実的で申し訳ありません。
効果はあるかもしれませんが、ほぼ重要ではありません。


オリンピックが開催された過去の開催国たちを引き合いに、その後観光市場がどうなったのかをまとめたのがこちらです。

※出展:著者調べ

開催したタイミングと、その後の出国・入国者の伸びをみていますが、オリンピックの寄与が明確な国は、なさそうに見えます。

規模が大きいので、どう感じるかにバラツキはありそうですが、「思ったほど効果ないじゃん」と、感じませんか。

シドニーと北京なんて、翌年には一旦沈んでしまっています。どちらも、いろんな意味で行きにくい国ではありますが。


最大瞬間的な経済効果を得やすい商品の準備はしておいた方が良さそうですが、その商品でゲットしたユーザーを、いかにストックすることができるか、の方が、より重要かもしれません。

リクエストと一緒にお待ちしております。