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【東農大生視点】2023信州 食の未来フォーラム in Miyotaの参加レポ!「フォーラム編」

東京農業大学で農業を学ぶ、NIPPON TABERU TIMES(以下TABETAI)編集部のわっこです!

2023年10月29日、長野県御代田町にあるエコール御代田で開催された、「2023 信州 食の未来フォーラム in Miyota」に参加しました。

食の未来フォーラムの会場・御代田は、”東京24区”ともいわれる軽井沢エリアに近く、首都圏との交流が盛んに行われている地域。都市住民にとっては避暑地として涼みに行くほか、軽井沢ならではの食材を使った料理を自然を感じながら頂けるお店があることも人気の秘密なのだとか!

自然を近くに感じられる素敵な街並みがあり、美味しい食材の産地であるこの場所で、食業界に「アカデミックな学びの場」を作り”美食の町”として盛り上げたい。

そんな想いを持った軽井沢ガストロノミープロジェクトが主催のイベントです。

食業界に必要なアカデミックな学びとは-。
イベント内の講演会で学んだことを綴ったフォーラム編と、隣接する会場「MMoP(モップ)」で同時開催された「信州美食フィエスタ」の様子をまとめたフィエスタ編の2本にわけて、今回のイベントの全容を食を愛する大学生目線でレポートします!

 書き手:わっこ

紅葉をみながら軽井沢へ。

筆者はこれまで何度か長野県に行ったことはありますが、軽井沢は初めてでした。東京から高速バスを使うと片道3000円以内で行ける気軽さに驚き!
紅葉が始まっていてとても素敵な旅路でした。

【フォーラム編】
ー食を哲学的に捉えるー

フォーラムでは、軽井沢を起点に今後の食はどうなるか、を学術的な視点を取り入れてみんなで考えることを目的に、世界中から一流シェフや生産者が集まり、それぞれが持つ食に関するテーマについての講演が行われました。

私は普段、農業を学ぶ大学生なので、講演を受けて「食を起点とした”農”」について考える機会になりました。
講演の全てを理解できたわけではないのですが、食に対する新しい視点や考え方を知り、食と農との距離を縮めていくことができるのでは、と感じた講演会でした。

午前の部

午前の部は軽井沢ガストロノミープロジェクト主宰・渡辺万里さんの開会の挨拶からスタート。

右から渡辺万里さん、ルシア・フレイタスシェフ、通訳さん。

フードジャーナリストで元「料理通信」編集主幹である君島佐和子さん、里山料理の第一人者で佐久「職人館」館主の北沢正和さん、世界大会へ挑んだ軽井沢「Restauerant TOEDA」の戸枝忠孝シェフという錚々たる方々が登壇。午前の部最後には、食の世界の女性達の会「WIG」のメンバーたちからのご挨拶がありました。

「食」の哲学的な分野から、今求められている食への関心がより多様となってもいいのではないかという見解をされる方や、軽井沢という地で世界の食のコンテストに挑戦されたお話をうかがいました。

私自身は地方出身で大学を機に上京してきた身であり、農業を学びながらも1人暮らしをしていることから日々の「食事」について深く考えることはあまりありません。ですので、一つの「食事」という身近なものを通じて、世界に目を向けるという視点はとても新鮮でした。

午後の部

また、午後の部は生産現場にフォーカスをして、料理人・生産者両方からのそれぞれの食への向き合い方がテーマ。
アマゾンカカオを扱う、軽井沢「LA CASA DI Tetsuo Ota」の太田哲雄シェフ、スペイン・ガリシア「A TAFONA」のルシア・フレイタスシェフの講演の他、女子シェフ対談と生産者座談会が行われました。特に感銘を受けた2つの講演をご紹介します。

女性シェフ対談「生産者がいるから、私たちがいる」
ー私たちができることはその農産物をどう魅せていくかということだけー

右から道野裕子シェフ、川副藍シェフ、モデレーターの柴田泉さん

私自身、「食」から深く考えることはないにしても、普段は農業経済を大学で学び、生産者の下で農業のお手伝いをしています。「農」という視点から「食」を考えることを日々行っている一方、シェフを筆頭に「食」から「農」をどう考えて料理をしているのか、お話をうかがうことができたのが大変嬉しかったです。

特に印象に残ったのが、パティシエで大阪「ミチノ・ル・トゥールビヨン」の道野シェフの講演内での言葉。

「これまでは自分の中から出てくるアイデアをもとに料理をしていたけれど、全国の生産者と交流することで”一つひとつの食材をどう魅せていくか”ということを考えるようになった」

このように考えが変わったきっかけは全国を旅している途中に出会った農家さんから、「都会に出た子たちが化粧をするように(作った農産物が)変わった姿をみてみたい」という声を頂いたからだそう。素材を意識し、元々の味を活かした料理を作るようになったそうです。

「農産物が一番おいしいのは採りたてを生で食べること、そしてそれを私が手を加えることは恐れ多いという気持ちでしかない」

この農産物のおいしさが、調理前が一番だとシェフが考えていることにとても驚きました。

というのもつい先日、山梨県南アルプス市で観光農園をされている方にお手伝いをさせて頂いたときに食べた、もぎたての完熟の柿が甘くて衝撃を受けました。とれたての美味しさをしることを実際に体験して、かつ感じている方なのだ、ととても親近感が湧きました。

筆者が柿にかぶりついている様子

どうしてこの道野シェフのエピソードが印象的だったかというと、「農」から「食」を考えたときに、あまりにも距離がかけ離れていると思っていたからです。

それは物理的に農産物を作る場所と消費する場所が遠いだけでなく、事務的に数量や見た目重視の取引が「農」と「食」のやりとりの中心であると感じていたためです。

一般的には道野シェフの当初の考え方が主流であると思います。ですが、半年間お店をお休みし、全国の生産者を回るというバイタリティーのある方で、実際に生産者の想いを聞いたからこそ、そのように考え方が変わったのではと思いました。
そして、そのような考えを持たれる方がもっと増えて、私たちのような学生やいち消費者として一般的に「食と農」を近くに触れられる機会があればいいなと思いました。

生産者座談会「今、しなくてはならないこと」
ー現場に行くことで頭でっかちを無くす?ー

登壇した生産者は安曇野・藤原畜産の藤原喜代子さん、岩手・明神丸かき・ほたてきち船長の中村敏彦さん、和歌山・梅ボーイズの山本将志郎さんの3人でした。

共通して取り組まれていることは常に危機管理をしていること、またその地で農業をすることはその地域に住んでいることになるため、自然と周りの地域課題を解決しようとしているとのことでした。

左からモデレーター・NPO法人HUG代表理事の本間勇輝さん、山本さん、藤原さん、中村さん

地域課題は例えば、耕作放棄地といった農業をする人が高齢でかつ少なくなっていくことで農地を管理できず、荒れ地となってしまうこと。こうした課題を、山本さんは農業を魅力ある職業にすることで解決しようと取り組まれています。

この座談会で最も印象に残ったのは藤原畜産・藤原さんの言葉です。

「現場に行かないと人は頭でっかちになる」

情報の多い社会で、消費者が気になることは数値やデータを重視したものが多いそう。ですが、農業の在り方は三者三様であり、こだわっている部分は数字に反映されないこともあるといいます。ですので、実際に現場に来てもらうことで、一番ダイレクトに伝えられるのではないかと仰っていたことが印象的でした。

この記事では、講演会を中心としたフォーラムについてレポートしました。

同時開催されていた「信州美食フィエスタ」の様子と、イベント参加者の様子などはフィエスタ編にまとめてあります!

フィエスタ編へつづく。

2023 信州 食の未来フォーラム in Miyotaについて
詳しく知りたい方はこちら


軽井沢ガストロノミープロジェクトについて
詳しく知りたい方はこちらをチェック!

公式ホームページ https://karuizawa-gastronomy.com/
公式Instagram https://www.instagram.com/karuizawa.gastro/
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