コロナ禍で気づいた、忘れちゃいけない欲とは?
コロナ禍で気づいた、忘れちゃいけない欲とは?
今回は、熊本の天草、牛深でブリの養殖をしている小豆屋水産株式会社、平山千一さんにコロナ禍での水産業についてお話を聞いた。魚の美味しさをつくるためには与えるエサが大切なことに気付き、「一番美味しい魚を作れている!!」と自分で言える、品質にこだわることを始めた。現在は、イトーヨーカドーさんで、“平山さんのブリ”という名前のプライベートブランドを出せるほど、味に評価が高い。
書き手:佐藤友希
〇コロナでの水産業への影響はどうでしたか?
まず、1番お金がかかるのはエサなんだ。
ひよこがニワトリになるのに約45日。
豚が赤ちゃんから大きくなるまで、約180日。
牛が赤ちゃんから大きくなるまで、約1年。
それに対して、ブリはもじゃこという3gくらいの状態からブリと呼べる大きさになるまで2年かかる。
エサ代ってすごく高くて、魚を育てるには、そのエサがたくさん必要。スーパー、飲食店、ホテルが休業、学校給食もない今、大量消費がない。これまで使う予定だったものが、行き場を失ってしまう。
魚は待ってくれない。
月日が経つとともに大きくなる。生かすも、殺すも、エサを与えるか、与えないかで決まる。魚が成長したはいいが、売れなかったらどうしようか、経営を圧迫する状況が続いていた。
世界的にみると……
日本は輸出にウェイトを持っていこうとしていた。しかし、物流を含め、うまくいっていない。世界恐慌的に問題が起こっている。日本の消費は日本の生産者が作っているもので賄えるが、今の水産物の量がどれだけあり、何がどこへ流通しているのかなどをちゃんと見極めなければならない。ロスを出さない、作ったものを無駄にしないように、考えていく必要がある。
〇養殖ではなく、養食
コロナによって、人の命って大切なんだ、ってことに色んな人が気付かされている。
考える時間がたくさんある。
自分のことを振り返ってみることってすごく大事。
今まではできていたかもしれない。けど、これからもできることを考える。
どうしたら、自分が人の役に立てるか、これがすごく大事。
意欲。これを忘れたらいかん。
先代が言ってた。経営者は自分との戦いに負けるな!と。
人との戦いじゃない。
自分がまいった…ってなった時が終わりなんだ。
自分が人のために何かできる時はできる限りやりたい。
人にはそれぞれ役割があると思う。
「私の役割は、この天草で水産業を営む人達とともに手をたずさえて、水産で生きぬいていく」ってこと。
コロナっていうのが、終わった時に経済はガタガタかもしれないけど、これを立て直すにも食が大切。食べるものがなかったら、力はでない。これを水産の立ち位置として、増殖という意味の養殖ではなく、人に良いと書いて”食”である、養食をして、ほんとうに美味しいブリのたべ方を伝えていきたい。
コロナで世界的に色んな人が色んな立場で気づかされている事がたくさんあると思う。大切なものってなんだろう。どんなに文明が栄えたって、そこに人がいなくなれば意味はない。
人にとって大切なのは命。それを、守るためには、生きるためには、食べることが必要だ。農業も、水産も、畜産も大事。
今回取材させてもらったのは、2年前のコロナ禍、真っ只中であった。人生の中で色々な試練を乗り越えてきた平山さんだからこそ、厳しい状況でも、語れることばがあるのだと思った。今回、記事をあげるにあたって、ずっと行きたいと思っていた平山さんのいる天草市牛深へ、2年越しに写真を撮りに行った。牛深の海はきれいで透き通っていた。牛深の人達は、あたたかかった。取材をオンラインですることはできるが、会って、見て、訪れるからこそ、感じれるものがあった。
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