瀬戸内海行き当たりばったり旅~住職さんに会いたい~ 第9話
岩国の片隅でおじさんの特殊能力を目撃
この後は月空寺に戻り、地域のおじさんたちと一緒に地域の子供たちへ配る為の鈴虫とメダカの梱包(生き物に対してこう言っていいのか分からないけど)を手伝う。集合時間より前に寺に戻ったのに、すでにおじさんたちは大集合。沖縄ではありえない光景である。見習え沖縄のおじさんたち。
で、そのおじさんたちが採ってきた鈴虫がこちら。
一つの水槽に二、三十匹はあろうかという鈴虫。その水槽が4つ並ぶとなると・・・。どんだけ採れるんだ。山口のおじさんの特殊能力なんだろうか。
その中から数匹ぐらいの鈴虫をペットボトルに入れていく。おじさんたちが黙々と作業をする中、住職の長男坊もその様子を見学。
私もラップしたペットボトルに串で空気の穴を空けるお手伝い。しかし、穴を開けすぎてラップが貫通してしまった。長男坊、これは見なくていいんだぞ。
メダカはプレゼント当日に梱包をするとのことでこの日の作業は終了。縁側に座ってのんびりお茶会。
この中で住職さんに関する話を聞いた。住職さんがエレクトーンを弾いていることはオンラインサロンの中で知ってはいたものの、そのエレクトーンで地域の小学校で演奏会をしているそうだ。住職さんが自宅から持ってきた、演奏会の感想がまとめられた冊子。その冊子を手にした住職さんの顔は、なんだかうれしそうに見えた。
「田舎」だからこそ得られる経験とは
住職さんが住んでいる地域も、例に漏れず過疎化の波に飲まれているようで、学校の統廃合が進められているという。
さっき住職さんが小学校で演奏会をしたと書いたが、その小学校も児童数は数人。児童がいない学年もあるとなると、なかなか先行きは厳しい。
私も・・・。所謂「田舎」というものに18年住んでいたので、なんとなく分かっているつもりだが、やはり都会に比べて田舎は不便で生活にはどうしても制限が出てくる。私自身もそれが嫌になり都会に出てきたクチなので、人のこと言えるのか分からないが・・・。田舎は田舎なりの良さがあることをきょう1日で実感させられた。周りの自然と、人の温かさ。地域の子供たちに尽力する大人なんて、都会にはなかなか居ないではないだろうか。その地域のつながりが、都会にはない田舎の良さではないだろうか。
今住んでいる子供たち。そのうちどれぐらいの人が都会に行くのかは正直分からないが、自然豊かな土地で、人の温かさを感じながら育った子は、きっと大人になっても温かい人になっていくことに違いない。田舎の経験を、おぼろげでもいいから心にとどめていてほしいなと、三十のおじさんは願ってやまないのである。
最後に住職さんがお寺の紹介と、エレクトーンの機械を見せてくれた。なにか一曲弾く?と譜面をいくつか提示し、私が選んだのは生まれ故郷である沖縄の大スター・安室奈美恵さん。
エレクトーンを弾いている姿なんて見たことなかった私。ピアノ奏者のようにおしとやかに弾くと思ったら、結構ダイナミックでびっくり。全身を使いながらアクロバティックに安室奈美恵を弾いている姿。長男坊よ。これはずっと見とくんだぞ。
こうして岩国・月空寺突撃編は終了。これからまた仕事という、袈裟の恰好をしたエレクトーン奏者さんに駅まで送って行ってもらい、一路広島市内へ・・・。はまだ戻らないのである。
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