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コロナ禍のベートーヴェンイヤー

2020年のクラシック音楽界は、ベートーヴェンの生誕250年という大きな年です。

しかし新型コロナウィルスの影響でコンサートやイベントは中止せざるを得なくなり、今は少しずつ再開しているコンサートも不安要素は拭い切れません。

演奏の様々な実験や研究報告が上がっていますが、特に影響を受けているのがオペラや合唱などの声楽界。飛沫による集団感染のリスクが高いため、本格的な活動の再開はなかなか進みません。

今年の日本の冬に第九は響くのか

日本の名物となっている年末の第九。元々は合唱パートに市民の参加者を募り夏休みから練習を始め、参加費や参加者の家族にチケットを売って集客して演奏会を行うことで、オーケストラ奏者の年末年始の収入源としたのが始まりとされています。

しかし今年はこれまでのような演奏はおそらくできません。

第九の演奏には人数も必要です。私が過去に演奏した時はオーケストラと合唱にそれぞれ約50名の方々が参加して下さいました。

今年の演奏には奏者間の距離を取り、オーケストラだけでなく合唱団の飛沫対策も必要です。100名以上が距離を取ってホールのステージに乗ることは難しいですし、合唱団の飛沫がオーケストラに降りかかります。飛沫対策として合唱団とオーケストラの間にアクリル板などを立てると観客に歌声が綺麗に届かないことは予想できます。演奏会だけでなく練習の時から対策が必要ですので、第九の演奏はとても困難なものとなります。

すでに市民合唱団の中には今年の第九を断念している団体もありますが、生演奏は実際に可能なのでしょうか。


はい、可能です。

密を回避して第九を演奏する

まず、今年の年末に第九演奏会を成立させるために必要なことを考えてみましょう。大前提となるのはもちろん密の回避です。その中でポイントとなるのが会場の広さ、換気、人数の最適化でしょう。

スタジアムやドーム、展示場など密にならない広さの会場において少ない人数で広がって演奏します。

屋内がダメなら屋外です!

コロナ禍での第九演奏の鍵を握るのはズバリ、音響

演奏者を少なくすれば音量は出ませんし、広い会場では奥まで音が届きません。今年は今まで通りマイクを通さずに生音を観客へ届けるのは難しいのではないでしょうか。

私自身屋外での演奏は何度も経験がありますが、冬の屋外でやる場合にはストーブなどの暖房器具も対策として必要ですね。

演奏は経験者のみ、練習日程も最低限にして、合唱については各パート数名ならば練習場での距離も保つことができて飛沫対策もできるでしょう。

リスクとの戦い

何事にもリスクは伴います。ここで述べることは簡単ですが、実際に演奏するとなると練習場の確保からスケジュールや金銭管理、関係各所との調整など一つの演奏会を作るのはやはりとても困難であることに変わりはありません。

早く安全安心で音楽が奏でられ、お客様に聴いて頂ける環境になることを心から祈っております。


今回は私が主宰した野外第九全曲演奏の動画をお届けします。

https://www.youtube.com/watch?v=lFRTttdSv78&t=4s

最後までご覧いただきありがとうございました。


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田畑 仁愛(指揮者、ピアニスト)
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