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「同期の連帯感はキモい」:同期というのは「よーい、ドン」のスタートラインを設けることで、小さい差を過剰に意識させる「人事による仕組み」 【これからの会社員の教科書から 抜粋を無料で公開】

同期というだけで過剰に連帯感を持ってしまうのは、すごく気持ち悪いです。そんなもの「たまたま同じタイミングで入社した」というだけのことです。

もちろん「人と人」としての仕事を通じた連帯感が生まれることはあります。

たとえばライブドアの社員は、ライブドア事件が起こったから、あのタイミングに会社にいた人にはすごい「戦友」意識があります。年が上とか下とかは関係ありません。「一緒に体験をシェアした仲間」ということです。

同期なんて、たまたま「研修」という儀式をシェアしただけ。それを根拠に線を引いて「ぼくら同期とそれ以外」としてしまうことに気味悪さを感じます。同期=友人ではないのです。

入社して最初のうちは「同期飲み」が月1くらいで開催されたりします。それは別にいいと思います。ただ、いつまで経っても同期とだけしか飲んでいない人間はダメです。類似性が高い、同質性が高い人とばかり飲んでいても何も生まれません。もっと異質な人と関わり合わないと、創造的なプロフェッショナルにはなれません。

もちろん、同期もひとつの「縁」です。縁があったのだから、その関係を大切にすることは悪くないでしょう。ぼくがイヤなのは、その箱から出ようとすると「抜け駆けだ」と言われることです。転職が決まったときに「あいつは裏切った」などと言う。それがバカバカしいのです。

そういうときは、半分嫉妬なので気にする必要はありません。

「知らんがな」と思っておきましょう。

同期というのは「よーい、ドン」のスタートラインを設けることで、小さい差を過剰に意識させる「人事による仕組み」です。はじめての査定で同期と給料を見せ合ったときに「俺は給料が上がってない」「あいつは上がった」といって気にするのは経営者の思うつぼです。たかだか2000円ほどの差で、競争意識を高めさせ、やる気を引き出すことができます。

でも、考えてみてください。月で2000円の差、1日で70円です。たいして変わらない。そんなことで一喜一憂し、飲み会でネタにする暇があったら、もっと長期的な視点を持ってTOEICの勉強でもしていたほうがよっぽどいいのです。

新人時代にがんばると20代後半で楽になる

新入社員時代から、正しい負荷で正しい努力をしていると、4、5年たったあたりの27〜28歳くらいからすっと仕事が楽になり、おもしろくなってくるはずです。

ただ、今の20代は大変だなと思います。がんばりたいと思っても、なかなかがんばらせてもらえないからです。

長時間労働がダメなのは正しい。パワハラもいけません。ただ、自分の業務負荷とストレス耐性の限界を試したような経験が

20代のうちにまったくないと、逆に40代や50代で、のちのち苦労するのではないかと。そこにモヤモヤするのです。

上司や先輩からの指示と指導で正式に苦労できないのであれば、自発的にやるしかありません。自分で勝手に求められている以上のこと、苦しいことを進んでやれる人は、今の時代にものすごく抜け駆けできます。

新卒で入ったら特に最初の2年が勝負です。最初の2年で思い切り力を発揮する。

失敗してもまったく構いません。そのあいだはマリオのスター状態で何をやっても許されます。ただ、2年経ったら「新人だからしょうがない」とはなりません。後輩も入ってきて、一人前の先輩という目で見られるようになるからです。

新入社員に向けて言いたいのは「26歳までは『若さ切符』が使えるぞ」ということ。

26歳までは「若い」というだけで企業にとっても価値なのです。よって「この仕事向いてないな」「ここにいても成長がないな」と思ったら、さっさと仕事を変えたほうがいい。
27〜28歳くらいまでに「自分はここで勝負する」という場所を見つけられればいいでしょう。遅くて30歳までです。

26歳くらいまでは、いわゆる「ポテンシャル採用」なのです。若くて、やる気があり、素直であれば大丈夫。「こいつはいけるな」と思われれば、違う業界から来た人材でも「活躍するんじゃないか」と思ってもらえます。

ところが、27〜28歳くらいになってくると、ポテンシャルだけでは採りにくくなってきます。逆に30歳を過ぎたら、何らかの結果を出していないと厳しい。名刺代わりになるような成功案件がないと、転職もなかなか難しくなってくるのです。


心身が病むくらいならすぐに辞めたほうがいい

「会社に何年勤めるべきか」というのは、一般論で言うのは難しいものです。

上司や先輩が「3年くらい我慢してやってみろ」という気持ちもわかります。

ただ、「石の上にも3年」といっても、イマイチな上司の下に3年いても何も変わらないことも多いのです。パワハラが横行していたり、ブラック企業でとにかく寝れない。それで心身が病みそうな場合は、一刻も早く辞めたほうがいいでしょう。

きみの健康に万が一のことがあっても、絶対に会社は責任を取ってくれません。せいぜいお金を払うくらいです。そういう場面では、世間体を気にせず、絶対に逃げたほうがいい。

そうではなく「仕事がイヤだから辞めたい」という場合はどうでしょうか?

そこで考えるべきは、あたりまえですが「そのままいた場合に会社で過ごす時間」と「辞めたあとに新しい場所で過ごす時間」の価値の比較です。

「今の会社はすごくいいんだけど、ものすごくいい会社からオファーが来た」ということであれば転職してもいいでしょう。

もし入社した瞬間に「間違ったな」と思ったのなら、1秒でも早く辞めたほうがいい。ただ、迷うくらいだったら、半年か1年くらいはいたほうがいいでしょう。

特に新卒での入社であれば、まだ会社や業界というものの全体像も見えていないはずです。よって、様子を探る意味でも半年くらいは会社に残ることをおすすめします。

歯切れが悪くなるのですが、キャリアに関しては「これが唯一にして絶対の正解」というものはありません。

ノンフィクション作家の沢木耕太郎は、大手銀行に就職が決まっていたけれど、入社式の日に雨が降っていて「雨の中、スーツを着ている自分が嫌だ」という理由だけで就職をやめ、入社式に行かずに途中で帰ったといいます。

おそらく沢木耕太郎は、辞めた後の目処はたっていなかったでしょう。ただ、入社式の日に辞めていなければ、ノンフィクション作家としての沢木耕太郎はいなかったかもしれない。だから、辞めるという選択をしたのは大正解です。ただ、辞めるときはそんなことはわかりません。結果論でしかない。

結局、自分の人生に責任が取れるのは自分だけなのです。

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