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きみの人生の「体験」や「資産」、そして「武器」が増える読書について、ぼくはこの本で伝えたい 〜『これからの会社員の課題図書』 田端信太郎著

==6月24日今日、SBクリエイティブから発売される田端の新著から「序文」の公開です。==

ぼくは、「読書の専門家」ではありません。
有名な文化人でもなければ、作家でもなく、評論家でもありません。
リクルートやLINE、ZOZOといった企業を渡り歩いてきた、一人の元サラリーマンです。

しかし、そんなぼくだからこそ語れる、読書についての話があります。
ぼくがこの本で伝えたいのは、ビジネスパーソンとしての「常識」= コモンセンス(common sense)を身につけるための読書です。

ぼくは、ビジネスパーソンとして曲がりなりにも20年以上のキャリアを積んで、それなりの成功者も間近に見てきました。

その経験からすると、読書で自分を鍛えている人とそうでない人の差は、すごく大きいものがあります。それはジムなどで体を鍛え続けている人と、何もしていない人との違いぐらい、明確に表れます。

説得力、発想力、論理的思考力、リーダーシップなど、ビジネスの世界で勝ち抜くために必要なスキルに差が出てくるのです。

食事には「必須栄養素」というものがあります。それを摂っていないと体の機能を維持できないような栄養素のことです。

ビジネスにも、同じようなものがあります。
それこそが、「常識」であるわけです。

たとえば、商法の知識。経済の知識。マーケティングの知識。
意思決定の方法についての知識。確率論や戦略的思考の知識。

こうした常識を身につけないままに仕事を続けていても、ビジネスの実力というのは伸びていきません。

そうした知識はどこから摂取できるのかと言えば、やっぱり読書がいちばん効率的な手段です。

たとえるなら、インターネットはおやつ。本がご飯です。


おやつがおいしいのもわかりますが、スナック菓子ばかり食べていたら戦える体はつくれません。同様に、インターネットだけを見ていても、ビジネスの戦場で、強敵とがっぷり四つ相撲は戦えないのです。

先ほど常識という言葉に添えて、「コモンセンス」と表記したのにも理由があります。
直訳すれば、「コモン」とは、〝社会一般〞、「センス」とは、〝感覚〞を意味します。

「常識/コモンセンス」という言葉には、「あたり前の知識」という意味だけでなく、社会で生きる上での「健全な肌感覚」ともいえる意味も含まれています。

ビジネスパーソンとしては、「健全な肌感覚」を身につけるのも、とても重要です。言ってみれば、
「上司は、これを望んでいるだろう」
「お客さんは、これを欲しがっているだろう」
「世の中の多数派は、こう感じるだろう」
ということについて、〝大外しをしない〞ということです。

結局、ビジネスとは、人間がやることです。
多くの人が現在進行形で感じている一般常識を理解し、把握していれば、仕事はうまくいくことが多いはずです。

しかし、意外にも、この感覚があるビジネスパーソンは少ないのです。
「教養があるのに、常識がない」
「勉強はできるのに、人の心がわかっていない」
「学歴があるのに、仕事ができない」
という人を多々見かけます。

なぜ、そうなってしまうかといえば、日頃のインプットとアウトプットの習慣が関係しているのではないかと思います。
本を読んでもそのまま。ニュースを見ても、誰かから話を聞いても、それをもとに行動しない。誰とも議論しない。世の中に働きかけない。

そのような習慣を続けていると、豆知識ばかり知っているが、現実の世の中を知らない人になります。しかも、本人は物知りであるという認識なのですから、そのことに気づきません。

ぼくは、社会人になってから、読書をする際には、自分が読んだだけで終わらせないようにしてきました。日常的なところでいえば、読んだ本から考察した内容をツイートするくらいのことは、意識せずとも呼吸するように、あたり前のこととしてやっています。

ライブドアの経営を立て直していた時代に、会社の役員を集めた合宿で、ぼくが1冊の課題図書を設定して、経営再建の方法を部長級以上のみんなで議論し、その後経営再建がうまくいったという印象的な実体験もありました。
それを原型として、ぼくが主宰する私塾である『田端大学』でも、課題図書をもとに参加メンバーで議論をしてもらい、そこから得られた気づきやアイデアなどを、月に一度、みんなの前でプレゼンテーションしてもらっています。

きみは、読んだ本の内容を、何らかの形で世の中にアウトプットしているでしょうか? または、実際の仕事に活かしているでしょうか?

きみがもしそうすれば、きみの発信に対して、世の中から反応が返ってきます。ときには、とても共感されるでしょう。あるいは、自分では思いつかなかったような興味深い意見を聞いたり、場合によっては大きな反感を買ったりするでしょう。
そうやって、周りの人や世の中の人が、いったいどのように物事を感じているのかを、肌で体感していく。すると、いつしかきみのなかに「コモンセンス」が身についているわけです。

本書の前半では、このような、ビジネスパーソンとしての「常識」を身につけるための本の読み方や選び方、使い方について紹介します。

そして、本書の後半では、ぼくが20年以上のキャリアのなかで読み、役立ててきた本について、内容のエッセンスと、ビジネスでの活かし方について解説していきます。

この本で紹介するのは、どれも骨太な名著ばかりです。


きみがどんな業種のビジネスパーソンであっても役立つように、仕事の本質や、世界への理解を助けるような、人を選ばずにおすすめできる普遍的な本をピックアップしています。

ジャンルもさまざまで、たとえばある投資家の波瀾万丈な自伝であったり、あるいはアメリカの大学生がみんな読んでいるようなオーソドックスな経済学書を挙げたりもしています。


中には10年前、20年前に刊行されたような本もありますが、インターネットなどで古本を探せばすぐ見つかるものを極力選んだつもりです。

読書は、「知識や教養を身につけるためのものだ」という文脈で捉えられることが多いと思います。もちろん、それは一側面として正しいと思います。

しかし、読書の価値は、それだけでは語れないはずです。読書を通じて、きみは、世界ともっと深く関わることができる。

きみの頭の中の「知識」が増えるだけではなく、きみの人生の「体験」や「資産」、そして「武器」が増える読書について、ぼくはこの本で伝えていこうと思います。


==6月24日にSBクリエイティブより発売の田端の新著==
『これからの会社員の課題図書』
https://www.amazon.co.jp/dp/4815608814/

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