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おっさんはメンツが8割/ロジックで勝てると思ってるやつは0点〜【これからの会社員の教科書から抜粋】

ロジックで勝てると思ってるやつは0点

「自分は頭がいい」と思っている意識の高い新入社員が、会議でやらかしがちなことがひとつあります。


それは、先輩が言ったことに対してマウントを取って、否定ばかりすることです。


「なんとなくあの先輩はダメそうだから、論破すれば上に行けるんじゃないか」「出世レースに乗れるんじゃないか」と思うのでしょう。結局、それでは「論破」はできても「対話」になりません。


何度も言うように、学生ならいいのです。たとえば学会の発表であれば「科学的にそれは間違いだ」ということにも、意味があります。論破すること自体が価値になる。ただ、ビジネスの場面でのそういう行為は価値が0です。ただ恨みを買っただけ。いろんな意味で、そのあと仕事が進めにくくなるだけなのです。

否定するのであれば、せめて代案を示すことです。論破したとして、「じゃあきみは、どうすればいいと思うの?」と上司や先輩から聞かれて、代案を出せるならいい。でも「いや、それはわかりません」とか「先輩の意見が間違っていると思ったから言いました」と言われると、その瞬間、その場にいる全員が「こいつないわ!」という印象を抱くでしょう。しかも本人は「俺、今いいこと言ったぞ」と思うからタチが悪いのです。


新入社員の発言は「ロジカル」なのかもしれません。誰かが「間違っている」ということをロジカルに証明したわけです。もちろんロジックは大事です。でも、結局ビジネスというものは人間がやっていること。ロジックはあくまで材料のひとつでしかありません。


ビジネスの世界で「ロジックが正しければ勝てる」と思っていたとしたら甘いです。大甘です。0点!

それが学校の世界と、ビジネスの世界との違いです。


代替案なしに、他人の揚げ足取りだけするような、無駄に意識の高い新入社員は、それが考え方のクセ、基本スタンスになってしまっているので、早めに治さないとどんどん「ただのめんどくさいやつ」になってしまいます。

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おっさんはメンツが8割

決裁をとり、目の前の案件を成功させることに夢中になりすぎて陥ってしまう罠があります。

たとえば、こんなケースです。

ある会社に営業をかけようとしたら、決裁者が自分の大学のゼミで10年以上、年長の先輩だとわかりました。現場や窓口の人ではなく直接話をしたほうが早そうです。普通に営業をかけてもカウンターを食らうだけなので、直接、決裁者である先輩に連絡することにしました。
こういう場合、一瞬はうまくいきます。決裁が通ることもあるでしょう。ただ、現場や窓口の人の「メンツ」をつぶすことになるので、結果的にうまくいかなくなることが多いのです。
もしそれがいい提案であったとしたら、現場や窓口の人は「なんでこんないい話があるのに言ってこなかったんだ」と社長やキーパーソンから怒られます。そうなると、現場の印象は悪くなるでしょう。提案は通っても、その後の実行段階でうまくいかなくなるのです。


こういうときは、まずは「正門のルート」から当たっていくことが大切です。

正門から行ってどうも反応がよくないときは、窓口の人にこう伝えてみるといいでしょう。「実は御社の部長は、ゼミの先輩なんですよね。今度ゼミの同窓会がありまして、そこに部長さんもいらっしゃるそうなので、以前からご提案させていただいている件について話してみてもいいでしょうか」
そうなれば相手もサラリーマンなので、さすがに「言わないで」とはならないでしょう。このカードの切り方が大切です。


「俺はあんたらがモタモタしてたら、上に直接持ち込むカードがあるんだぞ」ということをいやらしくなく適切なタイミングでチラ見せするわけです。


もちろん使わないですむなら、それがいちばんいい。でも、たらい回しにされたり、のらりくらりとかわされるようなら「伝家の宝刀」を持っていることを伝えることが効果的です。急ぎすぎてもダメ、遅すぎてもダメなので、ここをうまくやることが大切なのです。


上層部に会いに行こうとする姿勢は悪くありません。ただ、きちんと段取りを踏みましょうという話です。


上昇志向の強い人は「さっさと結果を出して、どんどん出世してやろう」と、使えるものは何でも使います。だからといって直接、意思決定者にアプローチしてしまうと、現場や窓口の人のメンツをつぶしてしまう。このやり方は、あまりおすすめできません。それでどんどん出世して最後まで勝ち残る人がいないとは言いませんが、そういうタイプは大成しないのです。


提案が通っても、その後も付き合いは続きます。たとえば社内のシステムを入れ替えるような提案は、システムが入れ替わってからも仕事は続くわけです。仮にトップに直接営業をして提案が通ったとしても、そのシステムを運用するのは現場の人だったりします。そのときに現場に気に入られていない営業マンや商品は、やはりうまくいかないでしょう。長く商売したい人ほど、中間管理職なサラリーマンのメンツを軽視してはいけません。


メンツは超大事です。35歳過ぎの男性は、8割がメンツでできています。


社内でよくあるのが、隣の部長に直接相談して、自分の部署の部長のメンツをつぶしてしまうパターンです。そもそもレポートラインの形態が崩れてしまうので基本はおすすめしません。ただこれは悩ましい話でもあります。
特に新入社員であれば「いろんな部署の方とコミュニケーションをとりたいんです」というように無邪気に行くこともあっていいでしょう。それに対していちいち「おい、お前よその部署の人に話を勝手に聞きに行くんじゃない」と言うような部長は、器が小さい。そこで止めるほうが株を下げることになるでしょう。


ちなみにあくまでぼくの美学でいうと、上司としての自分が部下に対し「なんで俺に言わなかったんだ」と口にしたら、その時点で「ぼくの負け」だと思っています。それはよくも悪くも「言うだけの価値がない」と思われていただけのことだからです。


情報は、伝えても減るものではありません。だからこそ「誰に? いつ? どのように?」伝えるか、その「順序」と「文脈」が重要になってくるのです。デジタルネイティブな若手社員は「誰にどの順番で伝えても同じだろう」と思い、ついついメールの一斉同報やメッセンジャーのグループ機能で言いたくなるかもしれませんが、情報を伝える順番というのはときに、とてもシビアです。

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「礼儀」は巡り巡って自分を守る


仕事ができる人ほど、謙虚で偉そうにしないものです。


ぼくはツイッターなどで好き勝手に発言しているように見えるかもしれませんが、実際に対面した際に、人としてのマナーはかなり意識しているつもりです。意見自体は、自由に発言しながらも、その根底には他人への敬意を持っています。口が悪いのはいいですけど、態度が悪いのはダメです。
以前J ‒WAVEのビジネス系のラジオ番組に出演しました。1時間番組なのですが、その中のひとつのコーナーにベンチャー社長のプレゼンコンテストがありました。


CMのあいだにベンチャー社長の方がスタジオに入ってきます。先にスタジオにいたぼくはパッと立ち上がって「よろしくお願いします」とあいさつをしました。
番組が再開するとMCの川田十夢さんはこう言いました。「田端さんが、しばしばSNSで炎上するけど、それでもビジネスの世界で生き残り続けている理由がわかりました。ちゃんと、人が部屋に入ってきたときに立ってあいさつするような礼儀正しい人なんですよ、みなさん!」と。
ぼくからしたら、後から人が入ってきたら立ってあいさつすることはあたりまえです。むしろ条件反射で体が動くレベルで染み付いた行動です。それが「いい悪い」とか「立場が上か下か」といったことは関係なく、人として当然のマナーだと思うのです。


ビジネスうんぬん以前に、人間同士相手に対して最低限のマナーやリスペクトは、つねに持っておくべきです。それは結局、巡り巡って自分を守ることにもなるからです。長い目で見たら絶対に「因果応報」になります。
世の中にはいろいろな礼儀やマナーがあります。会食でどちらが上座か、タクシーでは誰を先に乗せるかなど、一度は聞いたことがあると思います。そういうものを「くだらない」などと思わずに、気にしている人がいる以上は知っておくべきなのです。


敬語も同じです。


気にしている人がいる以上は、きちんと使えておいたほうがいい。
「どうしても敬語を使いたくない」というポリシーがあるのであれば、別に敬語は使わなくていいでしょう。無理に使えとは言いません。
ただ、実力が同じなら敬語を使える人間のほうが明らかに上に行けます。敬語を使うだけで「お得」なのだから、使えばいいじゃんという話です。
もし圧倒的な才能があるならば、敬語は不要でしょう。タメ口だろうが無礼な態度だろうが、どうでもよくなるくらいの才能です。モーツァルトは同時代を生きる人間からしたらすごく感じが悪かったそうです。めちゃくちゃだった。ただ、それは「モーツァルトだから」許されたのです。
でも、99%は凡人です。溢れ出るような才能のない普通の人にとっては、「敬語」はサラリーマン生活を生き抜く「術」だと思って身につけておくべきでしょう。

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