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世界最強「インフルエンサー」おばあちゃんの知恵
インフルエンサーとは、「影響力」のある人のことであるが、皆さんは「権力」と「影響力」の違いについて考えたことはあるだろうか?
権力とは、それに従わない場合、罰を与える事も含めて、他人を自分の命令に従わせる力のことである。それに比べて、影響力とは、他人が、その人の行動や発言に対して、自発的に従いたくなってしまう魅力のことである。
そして、現代の「PR」(Public Relations)や、国際的な世論を巡る「外交」においては、物理的な暴力に裏打ちされ強制される「権力」や、金銭を媒介とした経済力よりも、受け手が自発的に従いたくなる魅力のことである「影響力」のほうが、ずっと洗練され効果的な手段とされている。
さて昨晩、世界最強の「インフルエンサーおばあちゃん」であり、PRと影響力の持ち主がお亡くなりになった。皆さんご存知、英国のエリザベス女王のことである。
彼女こそ、本来的な意味で世界最強の「インフルエンサー」であり、「PR」パーソンだったのではないだろうか、と今朝、気づいたので、今日はそのことについて語りたい。
エリザベス女王の恐ろしいまでの「影響力」、インフルエンスの証拠を今朝の報道からお見せしよう。
今や、ヒトラー以来の人類共通のパブリック・エネミーになろうとしているロシアのプーチン大統領までもが、エリザベス女王の死去にあたっては、その功績を称え、哀悼のメッセージを発表したのだ!
ロシア プーチン大統領「イギリスの王室と国民にお悔やみ」
ロシア大統領府は8日、プーチン大統領の哀悼のメッセージを発表しました。
この中で、プーチン大統領は「女王陛下の名前は、イギリスの現代史の最も重要な出来事と切っても切れない関係にある。何十年にもわたり、人々から愛と尊敬を集め、世界の舞台でも尊敬されてきた。取り返しのつかない大きな損失に直面する中、勇気と不屈の精神を発揮されることを祈っている。イギリスの王室と国民にお悔やみを伝えたい」としています。
背景を説明すると、今年2月からのウクライナ戦争を巡り、当自国であるウクライナ以外では世界で最もロシアに対して強硬かつ険悪で、交渉の余地すらない!という外交姿勢を取っているのは、他ならぬエリザベス女王を元首とする英国である。
ジョンソン英首相は、ウクライナを巡る和平交渉について、ロシアのプーチン大統領との協議は「ワニに足をかまれた」状態で話し合うようなものだとし、失敗に終わる可能性が高いとの見方を示した。
つまり、プーチンは英国からは、ボロクソのカスに言われてきた。
そんなプーチンが、なぜ、エリザベス女王の死去には哀悼のコメントを出したのであろうか。
このプーチンからの英王室へのメッセージを見て、私が、なぜ、エリザベス女王には世界最強レベルのインフルエンサーといえる凄まじい「影響力」があると思ったのか、その論理構造がおわかりだろうか?
あのコメントは、エリザベス女王の「権力」が、プーチンに出させたコメントではない。エリザベス女王の「影響力」こそが、このコメントを、いま現存する世界各国の政治指導者の中でも、最悪レベルでの嫌われもの、プーチンに出させたのである。
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