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個人の「強み」を発掘できる組織は強い

会社にとって、人は重要な経営資源であり、その活用のためには「強み」に着目することはとても大切なことです。一個人の立場で考えても、自分の「強み」を活かして結果につながると、仕事のやりがい、楽しさ、ワクワクを感じることができるでしょう。

マネジメントは「強み」を発揮させること

マネジメントについて多くの著書を残したピーター・ドラッカー。
出版から長い年月を経ているものの、今読み直しても多くの学びがあります。

ドラッカーの著書の中で繰り返し使われる言葉の一つに「強み」があります。

「強み」に言及した代表的な言葉をいくつか挙げてみましょう。

人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
(出典:マネジメント【エッセンシャル版】)
成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない。
(出典:経営者の条件)
自らの強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。
(出典:明日を支配するもの)

この他にも「強み」について、ドラッカーは多く言及しています。組織も個人も成果を上げるためには、「強み」を伸ばして発揮することが大切であると言っています。

個人の「強み」が戦略を変え、会社を変えた

「強み」を見つけ、発揮した事例を紹介しましょう。

静岡県下に14店舗を構える中古車買取・販売会社のオートベルという会社が個人の「強み」にフォーカスして、会社を変革する「一人一芸プロジェクト」に取り組みました。

社長からCMづくりの依頼を受けた株式会社電通の武藤新二氏は、CMづくりだけではない提案をしたいと考え営業現場の方々から話を聞く機会を持ちました。

自らの特技や趣味を生かして、お客さまとの距離を縮め、信頼関係をつくっているエピソードを引き出し、ここに大きな可能性を見出しました。

そこから生まれた発想が「一人一芸プロジェクト」です。
営業全員が一芸をもつ会社になるため、一芸習得のサポートをする「一芸手当」や一芸を習得した社員が、それを社内に弟子をつくり広める「社内師弟制度」と言った仕組みを導入しました。

さらに、この一連の活動をコンテンツ化し、テレビCMや様々な媒体でに発信し、売上や社員の働きがいの向上、新卒人材の獲得など、でメリットを上げています。

そして、この「一人一芸プロジェクト」を基盤に、中長期的な成長戦略「生涯取引(お客さまのカーライフ全般を継続サポートする)」が策定されたそうです。

「強み」を発掘することから始めよう

ドラッカーの言葉に頼らずとも、「強み」を伸ばすことが大切であることは当たり前のように思うのではないでしょうか。「強み」を伸ばすためには、「強み」を見つけることが不可欠です。しかしながら、「強み」を見つけることは難しく、反対に「弱み」は容易に目につきます。

ドラッカーも著書の中ではこのように述べています。

知っている仕事はやさしい。そのため、自らの知識や能力には特別の意味はなく、誰もがもっているに違いないと錯覚する。
逆に、自らに難しいもの、不得手なものが大きく見える。
(出典:創造する経営者)

このように「強み」を見つけることは難しいため、あの手この手を使って「発掘」することが大切です。

そこで、「強み」を発掘するための方法をいくつかご紹介しましょう。

①社内で「強み」を共有する

まずは、本人自らができたこと、強みと考えることを他人(上司やチームメンバー)に共有する機会を作りましょう。

メンバーに対し自ら積極的に「強み」を共有する事例共有会やウィンセッション、上司が部下から「強み」を引き出す1on1ミーティングなどの機会を活かすと良いでしょう。

②社外と触れて「強み」に気づく

一方で自分含め社内で「強み」と認識しても、競合に比べ優位性のないものであれば、「強み」ではないでしょう。

そこで、積極的に社外に出る機会を持ち、自社と他社の違いに気づくことで「強み」を認識することができます。

マネジメント層は特に社外と社内の違いに目を配り、「強み」に対する嗅覚を鍛える必要があります。

③社外の目で「強み」を引き出す

また、社外の人間に自社の「強み」を引き出してもらうことも重要でしょう。社内のバイアスに縛られず、社外と社内を比較することができるため、「強み」を引き出すことができます。

今回の「一人一芸プロジェクト」は、まさにその例かと思います。コンサルティングの現場でも、社内のメンバーにヒアリングすることは多いです。

まとめ

自社で発掘されず未だに地底の奥底に眠る「強み」はないでしょうか。
「強み」があると信じることで「強み」を発掘することが可能になります

また、社内の人の「強み」を他社がマネすることは簡単ではありません。同時に、もともと社内にあるものですので、簡単ではありませんが必ず見つかるものです。

そして、発掘した「強み」をメンバーが発揮し続けられるマネジメントこそが、今の組織に求められているのではないでしょうか?