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【仕事文脈コラム】生きていることそのものが「抵抗」になる住まい/丹野未雪(vol.23)

 先日、住まいのポストに一通の封書が投函されていた。「団地の生活と住まいアンケート」。全国公団住宅自治会協議会・団地自治会によるアンケートで、3年に一度実施され、この結果は要望として、政府、国会議員、独立行政法人都市再生機構(国土交通省が所管)に提出されるのだという。居住者の生活実態と要求を明らかにする重要なデータとして、国会審議などでたびたび取り上げられるそうで、団地の各世帯に配布される「自治会ニュース」でも力を入れて呼びかけている。「『アンケート』はお済みですか」。公団住宅に住み始めて間もない新参者なので、自治会ニュース歴も長くないが、ここまで大きなサイズのフォント、かつ太字で組まれた記事は初めてだ。

 このアンケート活動の主な成果をいくつか挙げてみる。「公団住宅廃止・民営化を止めさせた」「家賃値上げを抑えてきた」「高齢者等には家賃据置措置を設けた」「消費税の家賃課税を中止させた」「修繕費の居住者負担を81項目から11項目にした」ーーこのサクセスの実績、すごくないですか。特に「消費税の家賃課税を中止させた」功績はとても大きい。消費税法が施行された当初(1989年)、家賃も課税対象にされた。だが、自治会は黙っていなかった。「家賃課税は世界に類のない課税」だと知っていたからだ。大蔵省を相手にした運動は翌々年に結果を出す。1991年から非課税にさせ、かつ、すでに支払った課税分を返納させたのだ。つよいよ、自治会! この成果は民間の賃貸住宅にも及んだわけで、一見、巷の賃貸マンションとは無関係に見える団地の問題はばっちり地続きなのだ。

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