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(part 3)調査〈戦争〉をどう捉えていますか 20代に聞く実感、教育、アクション(仕事文脈vol.24・特集1「反戦」と仕事)

〈part 1, 2 からの続き〉

終戦から80年近くが経ち当時を知る人が少なくなる中、戦争の記憶の継承が課題と言われる。戦争が遠いもののように扱われる一方で、SNSを開けばウクライナ侵攻やパレスチナでの占領、虐殺の情報がリアルタイムで流れてくる。そして日本が戦時中に行った植民地支配や加害行為の構造は、まだなくなってはいない。

現在20代の世代は「戦争」にどんなイメージを抱いているのか。学校教育で学んだことや、行っている具体的な行動などを聞いた。(編集部)

(アンケート)
1)「戦争」と聞いた時、何を思い浮かべますか。
2)高校までに学んだ「戦争」について、印象に残っていること、記憶していることを教えてください。
3)「戦争」や「虐殺」などに対して、具体的に行動したことがあれば教えてください。

09 生きている場所で認識は異なる
自分を健全に疑いたい

名前:まこと
職業:コンサルタント
年齢・性別:26歳、男性
現在住んでいる地域:東京都

1)ウクライナ・ガザ侵攻。自分を疑うこと。ウクライナの友達から支援を希望する連絡が届く一方で、ロシアの友達は普段通りSNSを更新し、話を聞くとウクライナが虐殺をしたと話していた。パレスチナで働く知人が厳しい現状やこの侵攻以前から始まっていた虐殺の話をする一方、自分はイスラエルに資金提供しているかもしれない企業で普通に買い物をしていた。生きている場所によって認識も行動も異なるから、自分を健全に疑いたい。

2)2015年ごろアメリカ・オハイオ州に高校留学していた際、戦争の価値を認める描かれ方と、人権を重視する考えが併存していたのが印象に残った。現地で歴史の授業を受けてアメリカでは第一次・第二次世界大戦は惨禍であると同時に輝かしい勝利や英雄の記録として、アメリカ人のアイデンティティになっていると感じた。空を飛び回るパイロットや勇敢に戦った兵士のハイライトや、重要な契機となったDデイや原爆投下など、悪の枢軸国を倒した軌跡が描かれる。一方でカリフォルニアの日系人強制収容問題や原爆投下の是非などの議論も行われ、フェアだと感じた。日本では、戦争反対・平和大切以上の議論になりにくいので、むしろ勉強になった。 

3)ウクライナ・ガザ侵攻を受けて、赤十字国際委員会や、紛争予防・難民支援に関するNPOに定期的な寄付をはじめた。外務省に行動を促すオンライン署名も行った。ロシアで事業を行う企業やイスラエルに資金提供していることが疑われる企業の情報収集や、戦地における事業継続の是非について調べたりもした。コンサルタントとして働いているため、自分が中心となってビジネスと人権に関する企業のコンサルティングサービスを立ち上げ、関連するWeb記事を書いたり、実際にサービス提供も始めた。仕事の一環で民間企業が戦争にどう対応するのか事例を調べ、海外危機管理の仕組み構築や、台湾有事を想定し、いかに命を守るか企業の準備も支援している。


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