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機能解剖・運動学から捉える三角骨障害に対する治療戦略(前編)

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こんにちは、だいじろう(@idoco_daijiro)です!


私は、臨床で経験する現象について機能解剖・運動学から考察していき、評価やアプローチに活用しています。


その一例として今回は『機能解剖・運動学から捉える三角骨障害に対する治療戦略(前編)』をテーマに解説していきたいと思います!


本記事はこんな方にオススメです!

●三角骨障害の病態・治療について学びたい!
●足部疾患に対する治療戦略について学びたい!
●機能解剖・運動学の臨床への活用方法を学びたい!


「三角骨障害」はかなりの確率でリハでの改善が期待できるので、セラピスト・トレーナーの腕の見せどころではないでしょうか?


つまりセラピスト・トレーナー次第で、早期復帰も可能となりますし、オペを回避することもできるようになります。


本記事では三角骨の基本的な病態の理解と、機能解剖・運動学を踏まえた評価の流れについて解説していきますので、参考にしてみてください!




▶ 三角骨障害とは?

—病態の定義

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まず三角骨とは、足関節後方の余剰骨で、距骨と線維性の結合を形成しており、通常は無症状の組織です。


足関節の底屈動作の繰り返しや過度な底屈強制、足関節内反捻挫を機転に線維性の結合が破綻し、疼痛が誘発されることが多く、サッカーやバレエなど、底屈動作の多い競技で好発します。


診断の基準としては「底屈時の足関節後方の疼痛」「足関節後方(アキレス腱の深部)の圧痛」「X-pでの三角骨の存在」があり、三角骨障害、有痛性三角骨、足関節後方インピンジメント症候群といった診断名がつけられます。


治療の基本は保存療法ですが、経過不良群に限って観血的治療が検討されることもあります。


—受傷機転・発生機転

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サッカーでインステップキックするときの足関節底屈動作や、バレリーナで足関節底屈動作の反復によって、足関節過度な底屈が強制されたとき。


足関節内反捻挫によって、足関節底屈・内反が強制されたとき。

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以上のようなときに、脛骨後面と踵骨上部との間で三角骨がインピンジされ、線維性の結合が破綻し、発症することになります。


—疼痛発生メカニズム

私は臨床上、疼痛発生メカニズムは以下の3つに分けて捉えています。

※他のメカニズムがあればご教授ください。


①距腿関節の過度な底屈動作

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足関節底屈運動では距腿関節の運動が着目されますが、実際には足部の底屈も生じてきます。


足部アーチが低下し、足底の筋の硬度が高くなっている、いわゆる足が硬くなっている場合、足関節を底屈した際に足部の底屈が起こりづらくなります。


その足部の底屈を代償するために距腿関節の過度な底屈が起こってきます。


また、前脛骨筋の機能が低下し、長母趾伸筋・長趾伸筋の過剰収縮が強いられている場合は、同筋群の柔軟性が低下し、足部・足関節の底屈制限につながります。


これも距腿関節の過度な底屈を引き起こします。


その結果、距骨後方に位置する三角骨のインピンジが生じてしまいます。


この現象は荷重時・非荷重時のどちらでも起こりやすい現象になります。


②底屈運動軸の前方偏位

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荷重時に足関節底屈をする際に、補助筋である長母趾屈筋が過剰に収縮すると、距骨を前方に押し出すよう力を発揮します。


その結果、距腿関節の底屈運動軸が前方に偏位してしまい、三角骨のインピンジが生じてしまいます。


この現象は主に荷重時にみられる現象です。


③底屈+内反動作

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とくに足関節内反捻挫を機転に三角骨障害を発症したケースでは、底屈・内反の動きで疼痛が誘発されます。


これは、三角骨自体は足関節後方の中央に位置しますが、踵骨隆起がやや外側に位置するために、底屈・内反位で脛骨と踵骨との間でインピンジされやすくなると考えられます。


この現象は荷重時・非荷重時のどちらでも起こりやすい現象になります。




▶ 三角骨障害に対する治療法

—リハビリテーション

三角骨障害に対する治療の第一選択はリハビリテーションになります。


合併損傷などがなければ、とくに足関節の固定や免荷などもなく、早期から積極的にリハビリを進めていきます。


基本的には徒手療法・運動療法での対応になりますが、必要に応じて物理療法・テーピングなどを活用します。

※この部分は『後編』にて解説します!


—手術療法

リハビリで症状の改善が見込めない場合は骨片摘出術を選択することもあります。


手術は、関節鏡下で行われることがほとんどですが、三角骨の大きさによってはオープンで行なうこともあります。


単純な骨片摘出術であれば、術後の制限もとくに設けられないことが多いです。


炎症所見に留意しながら、積極的にリハビリを進めていくことになります。




▶ 三角骨障害に対する評価

—問診

問診では、受傷機転について聴取していきます。


受傷機転としては、捻挫などを機転に疼痛が発生してきた外傷なのか、底屈運動の繰り返しによって徐々に疼痛が発生してきた障害なのかを判断します。


外傷の場合は、靭帯損傷などの合併損傷の有無を確認する必要があります。


障害の場合は、機能的な破綻が要因になるので、リハビリである程度即時的な回復(症状消失)が期待できます。


—疼痛誘発動作の確認・分析

実際の疼痛誘発動作を確認・分析していきます。

iOS の画像

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競技にもよりますが、サッカーの場合は蹴動作(インステップorアウトフロント)で、それ以外の競技では走動作(蹴り出し時)で疼痛が誘発されることが多いかと思います。


実際の動作を確認し、疼痛が誘発されるときのアライメントを分析しておくことはとても大切です。


この疼痛誘発動作をふまえて、機能評価を進めていきます。


ここまでが無料で読める内容となります。
以下では「機能解剖運動学から捉える三角骨障害に対する治療戦略」について詳しく解説していきます。
詳しく知りたい方はぜひ"実践!ゼロから学べる足の臨床"マガジンの購読をお願いします!


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