自家製鶏ハムのラヴィゴット
今回は僕がまだ料理人として駆け出しだった頃に尊敬するフレンチのシェフから教わった基礎フランス料理を今の僕なりにイタリア料理目線でアレンジしたレシピでご紹介しようと思います。
ちなみにラヴィゴットとはフランス料理で使われる定番ソースの一つで仏語で『元気づける』、『元気を出させる』といった意味をもつ言葉が語源となっています。
酢と油とマスタードに野菜のみじん切りを合わせた『さっぱり具だくさん野菜ソース』ですので、このソースそのものがドレッシングであえた野菜サラダといった感じです。
基本的に混ぜ合わせるだけで作れるため、覚えておくと他の料理にも幅広く使えて便利です。
自家製鶏ハムは、鶏むね肉とハーブソルトを使って作るしっとりした手づくりハムで、いわゆるコンビニなどで売られているサラダチキンのようなものです。
面倒でしたらラヴィゴットソースだけを作ってサラダチキンにかけて食べても良いのですが自家製鶏ハムは意外とかんたんに作れます上、比較するのが馬鹿らしくなるほど圧倒的に美味しいので是非とも手づくりに挑戦してみていただきたいところです。
この料理自体は年中美味しく食べられますが特に暑い季節におすすめの爽やかな味わいです。夏バテしそうな休日の午後に、よく冷えたそうめんなんかと一緒に食べても元気の出る一品だと思います。
① 基本の材料
[自家製鶏ハム] ※1~2人前
・ 鶏むね肉(大きめ) … 1枚
・ クレイジーソルト … 適量
・ ローズマリー … 1枝
・ エキストラバージンオリーブオイル … 大さじ2
・ お湯 … 大きめの深鍋にたっぷり
[ラヴィゴットソース] ※作りやすい量
・ 粒マスタード … 小さじ1
・ バルサミコ酢 … 大さじ1
・ 白ワインビネガー … 大さじ1
・ 塩 … 1つまみ
・ あらびきブラックペッパー … 少々
・ おろしニンニク … 小さじ1/2
・ サラダ油 … 大さじ6(3+3)
・ 赤タマネギ … 1/4個
・ ミニトマト … 5~6個
・ ケイパー … 大さじ1
・ キュウリ … 1/2本
・ 生パセリ … 適量(※細かく刻む)
[自家製鶏ハムのラヴィゴット] ※1~2人前
・ 自家製鶏ハム … 1枚(※レシピ参照)
・ ベビーリーフ … 適量(※飾り添え用)
・ ラヴィゴットソース … 適量(※レシピ参照)
・ エキストラバージンオリーブオイル … 適量
② 自家製鶏ハムの仕込み
1. 鶏むね肉の全面にクレイジーソルトをしっかりと多めにまぶし、手で刷り込む。
2. ローズマリーを半分に折り、その一方を鶏むね肉の皮の下に差し込んでおく。
3. 厚手のポリ袋に鶏むね肉と残り半分のローズマリーを一緒に入れ、分量のエキストラバージンオリーブオイルを注ぎ入れる。
4. 可能な限り袋の中の空気を抜いて口を固くしばる。
5. 大きめの深鍋で沸騰させた湯の中に鶏肉を入れた袋を静かに入れる。
6. 鍋に蓋をして火を止め、そのままの状態で1~2時間ほど放置しておく。
7. お湯に指をつけても熱いと感じないくらいにまで冷めたら、鶏肉の入った袋を取り出し、そのまま開封せずに常温で置いておく(その日中に食べない場合は、この袋のまま冷蔵庫で保管しておけば約1週間は問題なく食べられます)。
③ ラヴィゴットソースの仕込み
1. ボウルに粒マスタードからおろしニンニクまでの材料を入れ、泡立て器でかき混ぜて全体をなじませる。
2. サラダ油を大さじ3(レシピの半量)加え、泡立て器でしっかりとかき混ぜて油と調味料を一体化させる。
3. 残りのサラダ油も加え、さらに泡立て器で混ぜ合わせて液体と油をつなぐ。
4. 野菜などの具材を全て5㎜角にみじん切り(パセリは細かく刻む)してボウルに加え、スプーンなどで全体をやさしく混ぜ合わせる。
④ 自家製鶏ハムのラヴィゴットの調理
1. 仕込んでおいた自家製鶏ハムをポリ袋から取り出し、皮とローズマリーと余分な油を取り除く(※鶏皮はこの料理には使いませんが苦手でなければ他の料理に美味しく使えますので保管しておいてください)。
2. 鶏ハムを5㎜厚くらいに削ぎ切りし、ベビーリーフを添え敷いた皿に盛り付ける。
3. 鶏ハムの上にラヴィゴットソースをどっさりのせ、仕上げに適量のエキストラバージンオリーブオイルをまわしかけて完成。
⑤ ポイント&ヒント
・ 鶏ハムを仕込む際、クレイジーソルトが入手できなければ塩コショウで代用してもそれなりに美味しくできます。またローズマリーも風味付けのハーブですので無くても特に問題はありません。
ポイントは下味を思っている以上にしっかりと付けるということです。パラパラと表面に振りかける程度ではなく、ちょっとかけ過ぎかな?と心配になるくらいかけて仕上がりは丁度よい味加減になります。
・ ポリ袋の口をしばる際に空気をしっかり抜いておかないと、お湯に入れた時にプカっと水面に浮かんでしまいます。加熱中は鍋の蓋を閉めますのでほんの一部くらいでしたら水面に出ていても問題はありませんが、水に風船を浮かべたような状態では鶏肉に充分に火が通りませんので、肉に袋が貼り付くくらい絞って空気を限界まで抜いてから口を固くしばってください。
・ 最初に皮を外してから仕込むよりも皮をつけたまま加熱し、後から外したほうが美味しく仕上がります。これは加熱中に皮の厚さがある分、身に間接的に火が通るので柔らかく仕上がること、肉の表面から水分が逃げにくくなること、さらに皮に含まれている旨味成分も活かすことができるからです。
・ 取り外した鶏皮はしっかりと味がついていますので、そのまま刻んでおつまみとしても食べられますし、後日、揚げ物をされる際に一緒にカラッと揚げて皮せんべいのように調理しても美味しいです。チャーハンや野菜炒めに加えたり、細かく刻んでラーメンやスープに、煮物やシチューや炊き込みご飯など何にでも使えます。捨てずに冷蔵保存しておき、できるだけ有効活用されてください。
・ラヴィゴットソースのポイントは油を一気に加えず、数回に分けてつなぐことです。もし、このレシピ量よりも多く作られる場合は3回、4回と分け加える回数も増やしてください。一気に大量の油を加えるといくら混ぜても調味料と一体化せず、舌触りが油っこい上に味も尖っていて、まろやかな美味しさになりません。
・ 赤タマネギを使ったほうが彩りはきれいになりますが、普通のタマネギで代用しても構いません。春先でしたら特に新タマネギがおすすめです。
・ ラヴィゴットソースは時間を置くとやや水っぽくはなってきますが2日くらいでしたら問題なく食べられます。鶏ハムやサラダチキンの他、焼いた白身魚や豚肉など淡白な味わいの食材と相性がよく、から揚げやカツレツなどにかけてもさっぱり美味しく食べられます。もちろんリーフサラダにドレッシングとしてもお使いいただけます。
⑥ 要点まとめ
・ 鶏むね肉は皮付きのまま、しっかり下味をつける。
・ ポリ袋の空気は可能な限り抜いてから口をしばる。
・ 沸騰した湯に肉を入れて蓋をしてから火を止める。
・ 指を浸けておけるくらい湯がぬるくなるまで放置。
・ ラヴィゴットは油を数回に分けて加え混ぜること。
・ 刻んだ野菜は一番最後に加えて、軽くあえるだけ。
・ 焼き魚や豚肉の他、から揚げやカツレツにも。
・ 取り除いた鶏皮も捨てずに有効活用しましょう。
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