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自由な発想でどこまでも #ルーキー・スマート vol.2

ルーキー・スマート|ROOKIE SMART
著者:リズ・ワイズマン|Liz Wiseman
和訳:池村 千秋
発行:有限会社 海と月

この記事は前回の続きとなります。

【前回のあらすじ】
○ ルーキー・スマート=ルーキーならではの思考と行動を持つ人々
○ ルーキーは学びの姿勢と新しい発想で目覚ましい成果を上げる
○ルーキー・スマートには4つのモードがある

今回の記事は、ルーキー・スマートの特徴とも言える4つのモードの中から“バックパッカーモード”についてのお話しです。

私的にはこのバックパッカーモードが最も重要で、最も早く身に付けられる思考だと思っているので、是非明日から、いや、今日から実践してみてください。

自由な思考でどこまでも行ける|バックパッカーモード

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第一のモードは“バックパッカーモード”です。

バックパッカーとは想像していただいている通り、バックパックひとつで旅をする人々のこと。重い荷物を背負わず、いつでもどこへでも瞬発力を発揮して目的地に突き進みます。

人は一つの業界で経験を積み重ね、役職や立場が上がってくるにつれて、固定概念に縛られてしまいます。皆さんの職場にも、こちらが提案した案に対して「それは前例がないから無理だよ」と言ってくるオジサンやオバサンはいませんか?

もっと効率の良いやり方があるのに、無駄に社内のチャットツールでスレッドを乱立していたり、一つの作業をするのにいくつものファイルにアクセスしないといけなかったり…

シンプル化を提案しても「これがうちのルールだから」と跳ね除けられる。こういったベテランオジサン・オバサンのことを本書では“管理人モード”と呼んでいます。

管理人は既存のルールが大好きで、その快適ゾーンから出ようとせず、時代の変化に気付かない or 気付いたとしても気付かないフリをして思考停止して今日も息をしています。勝手に限界を決め、同じ道を歩き続け、そして地位に固執します。意識決定の度に組織上位者の顔色を伺います。

残念ながら、これでは変化のイノベーションを起こすことはできません。昔から続く日本の大企業も、近年物凄いスピードで変化しています。

トヨタは自動車メーカーからモビリティ・サービス、そして街づくりの企業へ大きく進化していきます。快適ゾーンに浸ったオジサンオバサン集団なら、売れている自動車に固執したことでしょう。

バックパッカー3つの特徴

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バックパッカーの行動には3つの特徴があります。

▼その①新しい可能性を見る▼

バックパッカーモードの特徴で私が一番大事だと思うのが、「新しい可能性を見る」という行動特徴です。今日はこれだけ覚えてもらって、すぐ実践してもらえればそれだけでも大きな一歩を踏み出せます。

ルーキーの行動は、「○○をすべき」という“べき論”が存在せず、根本的な問いかけをします。

そもそもこれはなぜこんな面倒なルールになっているのか。この無駄な工程は省けないのか。依頼する先を変更できないのか。企画する場所を他に移せないか。etc…

入社したばかりの新人は固定概念や先入観に捉われず、既存のルールに多くの疑問を抱きます。この疑問を声に出し、根本的な問いとして投げかけることが新しい道を切り開く一歩となると本書では語られています。

また、これは本書には書かれていないのですが、この根本的な疑問を感情や周囲の意見に流されず客観的に考える力をクリティカルシンキングと言います。

クリティカルシンキングができるようになると、今まで当たり前だと思っていて認識できなかった無駄な作業や、やっても成果の上がらなかった辛い営業トレーニングの存在に気付くことができます。

気付くことができれば具体的なな改善案が出せますが、気付かなければ無駄な地獄が続くだけです。そう考えると管理人モードって恐ろしいですよね…

まずは今抱えている仕事の全体構造を俯瞰して観察し、「そもそもこれって必要?ここを変えればもっとよくなるかも!」という部分を見つけてみてください。必ずしも最初から正しい案が出るとも限りませんが、そうやって考えるクセをつけることがバックパッカーモードへの第一歩です。

▼その②新しい世界を探索する▼

バックパッカーは自分の興味が赴くままに新しい世界へと旅をします。ルーキー・スマートにもその特徴が現れています。

管理人モードのオジサンオバサンたちは、既存のルールを重んじるが故に遠回りしてしまいがちです。「この仕事をするためにはこの練習を○年間続けなければならない…」など。

それに対しバックパッカーモードのルーキーはそもそもルールを知らないため、最短ルートで成果を上げる方法へと突き進みます。むしろ遠回りする道を知らないのです。

例えば、クライアント先への訪問前は必ず会社に出社してタイムカードを切り、訪問が終わるとまた会社へ戻り、また出る…。気付けば移動してる時間だけで1日2~3時間。この移動時間でもっと他のクリエイティブな仕事ができませんか?

そんな無駄なことをするよりも直行直帰にして移動に使ってた時間をクライアントから依頼された仕事に取り掛かる時間に割り当てたらすぐに追加提案ができて商談が早くまとまり満足度も上がる。そうは思いませんか?

根本的な問いかけとして近道を探すことが、新しい仕事体験へと繋がるのです。

▼その③自分に正直に動く▼

バックパッカーモード最後の特徴は「自分に正直に動く」です。

え?めっちゃあたりまえじゃん

と思われるかもしれませんが、実際職場ではどうですか?自分に正直に動けていますか?

「自分に正直に」というと、「言いたいことをバンバン言う」ことを想像する方もいると思いますが、言うだけでは行動にはなりません。

「私、上司にむかついたんで直接話し合いで言ってやりました!」だけでは残念ながら何も変わらないのです。もちろん、その上司がルーキー・スマートの使い手なら話は別ですが…

「自分に正直に動く」というのは、自分自身が自尊心に邪魔をされず、失敗を恐れず行動できるということ。そして、失うものがないので大胆に行動できるということです。そして、ミスをしても素早く立ち直ります

ルーキーは無知であるが故に失敗がつきもの。大胆に行動すればするほど、損失の大小にかかわらず「目立つミス」になります。人はみんなそれを恐れて「自分は新人だから…」と小さく小さく行動しがちです。

しかし、それでは根本的な問いかけもできなければ新しい世界を探索することもできません。既存のルールに流されて管理人モードのオジサンオバサンと同化してしまいます。

ここは、組織上位者である上司がルーキーの前向きなミスに寛容になることが大切です。

どうも日本の企業は“新人研修”で自社色に染めようとする傾向が強いですよね。わざわざ新しい風を吹かせてくれるルーキーを雇っているのに、自社色に染めて何も変化を起こせない人間を量産しようとするという謎の風潮はとても勿体ないなと思います。

新人研修は基本的な仕事のフローを教えるに留めて、あとは会社の問題点を見つけ出す根本的な問いかけを自由に出してもらう場にした方が余程有意義でしょう。

皆さんも新人の頃を思い出してみてください。おそらくあの頃は新しい仕事への不安と期待でモチベーションがMAXだったと言う人が多いでしょう。そんな情熱的なマインドの持ち主を活かせるかどうかは新人研修の在り方とミスに寛容になれる企業文化にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

バックパッカーになるための具体策

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既存のルールに何の疑いも持たず、過去の栄光に縛られて生きる管理人モードのオジサンオバサンたちのようにならないように、ルーキー・スマートを得るための具体策が3つあります。

① 根本的な問いかけをする

これは先ほど学んだ通りで、バックパッカーモードの入り口とも言える重要な要素です。もしあなたが新人ではなく管理人もしくは管理人予備軍なら新人の意見を素直に聞いてみてください。

② 過去をすべて「消去」する

これができてない人があまりにも多い!もちろん私含めて。涙

人間は承認欲求の塊、承認欲求生まれ、承認欲求育ちみたいなところがあるので、当然過去の栄光にすがってしまいます。

10年も前に成功させたプロジェクトの功績をいまだに雄弁に語る管理人オジサンオバサン、いませんか?その実績もう古いし誰かが塗り替えてるよってこともしばしばあると思います。

過去の栄光に縛られていると、その時の成功体験が頭から抜けず、「こうやれば成功するからね!」と古いルールをこの変化の激しい現代でも持ち出してしまう。そんなことが日常茶飯事となってしまいます。

大切なのは“過去にどうたったのか”ではなく“今どうするか”であると言うことを肝に命じるためにも、過去の栄光は捨て去りましょう。そうすることで雑念は消え去り、新しい可能性に目を向けられるようになります。

③ 「モンキー・トラップ」を抜け出す

モンキー・トラップというのは、猿が檻の中に入れたバナナを取ろうとして手を入れて掴むのですが、柵の幅が狭すぎてバナナが取り出せないという状況において、いつまでも取り出せないバナナを手放せない状態のことです。

これは、バックパッカーモードの“重荷を背負わない”という特徴で対抗することができます。

過去の栄光を大事に抱え、地位に固執して、失いたくない荷物を大事そうに守り続ける管理人は、いわばモンキー・トラップにかかっているようなもの。

いつかその快適ゾーンから抜け出して厳しい判断をしなくてはならない時に、栄光や地位を守りたいという気持ちが邪魔をして適切な判断ができないという事態がやってきます。

そうならないためにも、根本的な問いかけによって新たな道を切り開き、過去に縛られずに突き進むことでトラップを回避するという流れを体得する。

それが、バックパッカーモードの真髄だと感じました。

勇気を持って、自由な発想を

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とはいえ、組織の大多数を締める管理人モードの人たちに対してルーキー・スマートを発揮して突き進むのはなかなか勇気のいることだと思います。

生意気なヤツだと跳ね除けられたらどうしよう…

そんな時こそ荷物を降ろし、自分の人生にとって何が大切なのかをしっかり考えてみてください。

この上司に気に入られることが自分の人生のゴールなのか?
この会社に一生すがるのが最高にハッピーな人生なのか?
自分が本当にやりたいことは何なのか?

周りに同調して流されるのは確かに楽です。しかし、そこから得られるものはほとんどないでしょう。

それよりも、好奇心と勇気を持って根本的な問いかけをし、ぶつかってでも何かを成し遂げた人間の方が魅力的な人生を送ることができるのではないでしょうか。

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