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きれいな字

友人に字の綺麗な人がいる。

今まで、同い年の男性で、字の綺麗な人にあまり出会ったことがなかったこともあり、初めて見た時には、ほんとに書いたのかと驚いてしまった。

それくらい字が綺麗だった。

正直、私は字が綺麗ではない。字が綺麗に書けるようになりたいとは常々思っている。

字が綺麗な人には書き方のコツというかイメージというかバランスの取り方を聞いてみたり、真似して書いてみたりする。


その時はそれとなく聞いてみた、字が綺麗だけど小さい頃習字とか習ってたの、と。

驚くことに、習い事なんてもってのほか。習字を習うどころか、元々は字が汚かったらしい。そんなバナナ。

そう簡単に、汚い字が綺麗になるなんて、そんな革命的なことないだろう。

そんなことができたら世の中字の綺麗な人だらけで、解読不明なメモを上司から渡されて困る部下もいなくなるだろうし、やばい…なんて書いてあるのかわかんない、誰かわかりそうな人…って部署内をウロウロする新人もいなくなるし、汚い字の上司のメモもあっちこっち回されずに済むだろう。



これは、何がなんでも綺麗になった革命的なものを聞かねばならぬ、そう誓った。心に。



結論から言うと、そんな革命的なものはなく、ただの愛の力だった。

そう、愛の力。


当時彼に好きな子がいて、その子に好きなタイプを聞いたら、字の綺麗な人と教えてもらい、それで自分にもチャンスがあるだろうと、めちゃくちゃ努力して字が綺麗になったらしい。すごく単純な理由。


単純な理由だったが、それを聞いて彼の評価が爆上がりだ。めちゃくちゃいい男じゃねえか。


愛の力はどんなことも可能にするし、理由を聞けば純粋にその人の人間性もわかる。

プラスにしか働かない良いことづくめだった。


これが、ラブアンドピースか…

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