ユーザー心理を見抜け!インタビュー成功の10の秘訣と避けるべき8の罠
みなさんユーザーインタビューやってますか〜! こんにちは!タイミーでプロダクトマネージャーをしている大嶋(@ta0o_o0821)です! 今回は、表題の通りユーザーインタビューにおいて適切にインサイトを引き出すテクニックのまとめ記事を書きます。 必見です(まとめ記事なのでテンポよく行こうと思います)。
想定読者
プロダクト開発に関わる方全て(特に仮説の探索から検証に関わる方)
この記事で触れないこと
事前設計とか、事後分析手法(超大事ですが書ききれないので)
カスタマージャーニーやユーザーストーリーマッピング、ペルソナ、メンタルモデルなど各種ユーザーの分析・整理手法などなど
ユーザーインタビュー以外の調査手法(プロトタイピングとかアンケート調査とか)
※基本的には1:1のDepth interviewを想定して書いてます。
得てほしい読後感
「ユーザーインタビューのやり方を見直したり、改善してみよう!」
→好きです
「なんか色々テクニックあるらしいな、インタビューやる前に見返してみよ〜」
→ここで閉じずに最後まで見てからブックマークしてください!!
「このまとめだと足りない!!こんなテクニックもあるゾ」という提案も大歓迎です
→優しめのトーンでの提案お願いします。
ユーザーインタビューのテクニックってなんで大事?
(テンポよくと言いながら…)
ユーザーインタビューはなぜ重要なのでしょうか?
通常、ユーザーインタビューは初期仮説の探索や特定の仮説の検証のために行われます。これはプロダクト開発の初期段階であり、ここで得られる情報は後のプロセス全体に影響を与えます。
また、重要なのは、ユーザーの発話が不完全であることを理解することです。インタビューではユーザーは多少なり萎縮しており、その発話は通常、何らかの不完全さが生じるものです。
だからこそ、様々なテクニックを活用して適切に情報をキャッチし、ユーザーインタビューの質を保証することが重要なのです。
前置きが長くなりましたが、本編行きましょう!!
インタビュー成功の10の秘訣
弟子入りする(スタンス)・アイスブレイク
「弟子」はあくまで比喩ですが、大切なのは「教えていただくスタンス」であるということです。
インタビューとはいえ、初対面の人間同士が会話をするのですから多少なり萎縮しています。それなのにインタビュアーが「これはユーザー調査です(真顔)」などと言いながら小難しい質問をしてきたらユーザーの心は閉じてしまい、重要なインサイトを得ることはできないでしょう。
そうではなく、「〇〇について教えていただきたい」という謙虚な姿勢を示すことや、冒頭にアイスブレイクを取り入れることでユーザーが自由に話せる雰囲気を作りましょう。
オープンクエッションを使う
Yes/Noだと得られる回答(情報)が限定されてしまいますが、オープンに聞くことでユーザーは自らストーリーを組み立てて話してくれます。
クローズドクエッションを使う
オープンクエッションの後で「えっ?」となるかもしれませんが、使い分けです。
話を特定のスコープに絞りたい場合は、選択肢を限定するこの質問法が効果的です。
要約する(深掘り質問)
ユーザーの発話は不完全であるという前提に立つと、その背景や理由を深掘りをするのに有効です。トヨタ式「5Why?」などのメソッドが紹介されていることも多いですが、初対面の人に「なぜですか?」って5回も聞かれると辟易してしまうので、このような方法がおすすめです。
オウム返しする(深掘り質問)
深掘りを目的とした質問の一例ですが、かなり使えるので切り出します。使い方はユーザーの発話をそのままオウム返しするだけです。「それだけ?」と思うかもしれませんが、驚くほど効果的です。
ユーザーは、「こんなこと話していいのかな?」「役に立っているかな?」と感じながら発話しているため情報量を控えがちです。オウム返しをすることで、「もっと話してほしい」というサインを送ることができます。
「5way」も「要約」も何度もすると鼻につくケースもあるので、「オウム返し」など手を替え品を替えスムーズに情報を深掘れると良いかなと思います。
感情へフォーカスする
ユーザーの感情や経験にフォーカスすることで、サービスに対する情緒的なフィードバックも得ると深い洞察に繋がります。感情をベースに話を深ぼるケースが多いです。(他の機能や代替製品を使用した際の感情との比較など)
具体例を聞く
ユーザーは話のコンテキストを落として発話していたり、順序や因果を混同して説明することがあります。具体例を尋ねることで、リアルな行動や体験に基づいた情報を得ることができます。
体験有無→体験頻度→具体例の順で聞く
このアプローチは、体験の有無から始め、頻度、そして具体例へと話を進めることで、より深い理解を促します。
(初期仮説にヒットするような経験有無や頻度はインタビュアー選定時にスクリーニングすると思いますが、話の中で新しい経験などが出てきた時などに使えますし、結構多いです)
マストハブクエッション
これはPMF度合いを確かめるために使われるいわゆる「ショーンエリステスト」ですね。PMFの場合にはアンケート調査(定量)だと思いますが、ユーザーインタビュー(定性)でも有効です。この質問を用いることで、ユーザーの希望的観測や願望ではなくよりリアルなフィードバックを受け取ることができます。
聞いてみて、「いや、なんとも思わないです…」と言われた時は辛いですが、開発する前にこれをしれたこと自体が何物にも変え難いことなのでそう割り切って改善していきましょう(苦)。
あとは、これを流用した質問で
この質問は、初期仮説の探索やジョブの特定などのシーンにおいて具体的な活用が可能で、よりユーザーインタビュー向きの質問と言えると思います(個人的にこの質問を使うことが1番多いかもしれません)。
1分間の沈黙をうまく使う
弟子入りするの章で話しましたが、ユーザーは話しながらも不安です。
沈黙は、「相手の話を聞きたい」の意思表示になります。「1分間」と聞くと最初はドキドキするのですが、ほとんどの場合において1分間も経つ前にユーザーが話し始めてくれます。
これをせず「ユーザーの話を切ってしまう人」になると、ユーザーから重要なインサイトを得ることを阻害します。
いかがでしたでしょうか?
ここまではインタビュー成功の10の秘訣について話してきました。ここからは、8個の避けるべき罠について紹介したいと思います。
避けるべき8の罠
誘導的な質問をする
「〜だと思いませんか?」「〇〇だと仮定すると、△△ではありませんか?」などの聞き方はユーザーの考えを誘導することになるため好ましくありません。僕らが何より欲しいのは答えではなく、ユーザーを突き動かす理由です。
優先度の低い課題に飛びつく
ユーザーが一番最初に発話した不満や課題が、最も深刻であるとは限りません。焦って目先の答えに飛びつくのではなく、その先にあるかもしれない最も深刻な課題とその理由を探しに行きましょう。
ほしい物リストを避ける
よくある話ですが、「ユーザーが欲しい」と言った機能をそのまま取り入れてはいけません(価格についての質問も同様です)。ユーザーはプロダクトの専門家ではありません。彼らの考える機能は彼らの知識・経験・信条などの制約を大きく受けており、極めて限定的な場面でしか有用でないことがほとんどです。
例え話では、ユーザーは「速い馬が欲しい!」と発話するが、実際には「職場に早く着きたい」というジョブがありますね。ジョブを把握すれば別のソリューションも検討できるはずです。
ペルソナに固執しすぎる
ペルソナは具体的な人物ではなく、仮想の人物(であることが多いはず)です。思い描いていたペルソナ像とは異なる人だった場合に、ペルソナとの整合性を取ろうとすると目の前のユーザーから重要なインサイトを取り逃がす恐れがあります。
蛇足ですが、インタビューでは「何をする人なのか?」を聞くより、「なぜそれをする人なのか?」を確かめる方が重要だと考えています(ペルソナは前者の集合を指し、後者はメンタルモデルの考え方が近いですね)。
それっぽい話を避ける
ユーザーは時々、実際にはそうではないのに「課題がある」「特定の行動をとっている」と答えることがあります。こういった行動をユーザーが取ることは、ユーザーがインタビュアーを失望させたくないと考えていたり、ユーザーが自分のことを正直に話すことに不都合があるなど、理由はさまざまです。
聞きたい話だけ聞く(選択的認知)
選択的認知とは、自分の期待に合致する情報のみを無意識に選んで受け入れる傾向を指します。ユーザーインタビューにおいて、このバイアスは真のユーザーニーズを見落とす原因となり、プロダクト開発を誤った方向へ導く恐れがあります。
将来の話をする
人は未来のことは希望的観測だったり、理想を語ります。
例えば、「将来見たい映画はなんですか?」と聞くと、文化的で高尚な映画を答えますが、「今見たい映画は?」と聞くと「翔んで埼玉」などが出てくるでしょう(※翔んで埼玉は素晴らしい映画です)。他にジムの会費は払うのに、実際には通っていないなどの例も将来のことには希望的な観測が多分に含まれていることを示しています。
本気度を確認しない
僕はこれがインタビューの中で最も重要で難しい仕事かもしれないと思っています。それは、ユーザーの”願望”と”意思”を切り分けて明確にすることです。
これらを混同して、”願望”を抱えているユーザーの声に耳を貸して機能開発すると、誰も使わない機能が生まれる可能性があります。願望は願望でしかなく、実現される保証はありません(ジムの話と同じです)。
そうではなく、本気で機能を使おうと思っているのか(渇望)を明らかにしましょう。
まとめ
ここまで、ユーザーインタビューを成功させるための「10の秘訣」と「避けるべき8つの罠」について詳しく見てきました。効果的なインタビューは単なる情報収集以上のものです。それは、ユーザーの深層にあるニーズや意見を理解し、プロダクトをより良くするための重要な手段です。
インタビューの際には、ユーザーとの対話を通じて本当に必要とされる機能を明らかにし、その過程で遭遇するかもしれない誤解や誘導を避けるためのテクニックが必要です。この記事で紹介した各ポイントを念頭に置きながら、インタビューに臨むことで、貴重なインサイトを引き出すことが可能となる事を願っています。
(ChatGPTさんのまとめがエモかったので供養しておきます。僕も全く同じ事を考えてました。)
ユーザーインタビューは「聞く技術」であり、同時に「理解する芸術」です。ユーザーの声に耳を傾け、真のニーズを理解することが、優れた製品やサービスを生み出す鍵となるでしょう。インタビューは一つの旅のようなものです。その旅を通じて、ユーザーの世界を探求し、彼らと共に成長していきましょう。
最後に
「リーン顧客開発 - 売れないリスクを極小化する技術」の4.2章に記載のある顧客と話す際に考慮すべき「5つの顧客の前提」について紹介します。
やっていきっ
参考・引用した文献・記事等
リーン顧客開発 - 売れないリスクを極小化する技術
UXリサーチの道具箱: イノベーションのための質的調査・分析
Lean UX
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