Creative X #1 ー今あるデザイナの危機に立ち向かう知識
こんにちは、UIUXデザイナをしている学生の大嶋たいとです。
先日行われた Creative X というイベントの内容を自分なりの解釈も入れてまとめてみました!
(自分なりの解釈も入れた記事になっております。間違いがある場合はご指摘いただけますと幸いです。)
session 1 C × チームビルディング
株式会社LIG 経営企画室長執行役員 須田允さん
株式会社DMM.comラボ CDO 赤坂幸雄さん
このセッションでは、『デザイナとチームが、意識すべき結果とは』を主題とし、デザイナーのマネジメントや、コミュニケーションについて話がされました。
前提として、株式会社LIG(以下LIG)はWEB受託案件を多く扱う会社、対照的に株式会社DMM(以下DMM)は、事業会社なので社内で立ち上がった事業を基本的に扱います。(ざっくりでごめんなさい)
デザイナーには仕組みではなく、歩み寄ることが大切
デザイナーには仕組みに沿ったマネジメントではなく、一人一人に歩み寄ったマネジメントが必要だといいいます。
登壇者のお二人はどちらもWEB事業部の責任者をされていたり、事業全体の責任者をされている方々です。そのお二人が口を揃えていうのは、デザイナーは自分の感性によって物事を判断し、それがそのままモチベーションにつながることが多いということです。
デザイナーを170人抱えるDMMでそれが行われいるというのだから驚きです。
「KPI」で評価するLIGと「OKR」で評価するDMM
またデザイナーの評価基準については、受託案件を取り扱うLIGと事業会社のDMMでは少し基準が異なるようでした。
受託案件を取り扱うLIGでは、利益、売り上げといったものをKGIとしてディレクターが設定し、それを要素分解したものを各KPIとして課しているようです。
一方、事業会社であるDMMは、個人個人の行動に重きを置いたOKRを元に評価をしているようです。
ここら辺は、受託案件一つごとの利益、数値を追うLIGと、DMMのように事業全体の売り上げを追う会社によった評価基準の違いなのかなと思います。
(断定的に申し上げていますが、間違いがある場合はご指摘いただけますと幸いです)
「感性だけ」で戦うと殴り合いになる
デザイナ個人の評価基準は、それぞれの違いを見せた両社ですが、合致していたところは、基本的に感性だけで上がってきたアウトプットは評価しないということです。
つまり、クリエイターとして自分の制作物に対してきっちりと説明責任を果たすということ。
デザイナーの感性が信頼できないといった話ではありません。事実お二人は、数値では測れない感受性に訴えかけるデザインの重要さについて話しています。
ただ、論理なき感性だけでの説得は不可能。そうなった場合、帰着する結果は二つで、「負けて一生相手に従うか、相手をねじ伏せるか」。
これは極論にも聞こえますが、「なんとなくかっこいいから」では、クライアントはもちろん、上長や仲間を説得できない。自分の提案だけを通すためだけでなく、しっかりとコンセプトを共有することで、チームとしてナレッジの正の循環が生まれると思います。
まとめ
・デザイナーは仕組みの中ではなく、モチベーションで管理しよう。
・制作物に対する説明責任を果たそう
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session 2 C × スタートアップ
モティファイ株式会社CEO Gustavo DORE さん
株式会社DMM.comラボクリエイティブディレクタ 光岡いさお さん
このセッションでは、主題を『デザイナの創業期における役目ととジョブチェンジ』についてお話がありましたが、今回は、スタートアップで必要とされる人材についての話を主に進めていきたいと思います。
「日本のスタートアップは、パラシュート無しでスカイダイビングして、落ちるまえになんとかして、パラシュートを作る」ってイメージ
そう語るのは、ブラジル出身で現在はworkforce-techに関するサービスを手がけるモティファイ株式会社CEOのドリーさん。
ドリーさんは、現在スタートアップのCEOを務める中で、必要な人材は、スキルをたくさん持つ人より、どんな状況でも勉強し続けられる人だと断言します。
スタートアップはスピードが命、スカイダイビングの例は僕には極端に思えましたが、会場には頷いている人が少なからずいたのも事実。
デザイナやエンジニアの流行り廃りのサイクルはとにかく早い。それに常にキャッチアップし、吸収し、自分たちのサービスに転用できる人材がスタートアップで求められている人間なのです。
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Session 3 C × 商標
株式会社コロプラ弁理士 佐竹星爾さん
クリエイティブディレクタ 石坂昌也さん
このセッションでは、『デザイナーが知るべき法律と強みとは』と、『体験のデザインとは』について話でした。(法律の話は正しく伝えられる自信がないので、基本的な権利についてだけ触れます。)
著作権と商法と特許の違い
著作権
作ったもの全般
商標はロゴとかネーミング
・名前から連想される状態に価値があるからそれを保護するもので、名前と商品が紐づいている状態を指し、厳密には創作物ではない。
・お客さんが区別できるものは、別の権利として発生する
特許は新しいアイディア
・特許は新しいアイディアなのでそれ自体に価値がある
その他(権利がなくても、アプリには載せられないもの)
・宗教、価値観、文化、一般通念的に載せられないもの
・攻めたデザインもいいが、 「炎上しない」という守りのラインを引くことも大切。
このようにクリエイターとして法律を知って連携することで、自分たちの資産が守ることができるので、法律や、問題を起こさないための「守りのリテラシー」としても知っておきましょうというお話でした。
(僕も失敗しているので、それを機に勉強しています。)
コンシューマ向けの事業における体験のデザインとは
世の中には数多くのサービスが存在しており、似たサービスが存在することも珍しくないですよね。
そんな中で似たサービスが並ぶと自分たちのサービスの存在が霞んでしまう。そうならないためには、常に新しい体験を作り続け、ユーザーから選ばれる理由を作り続けることが大切です。では、選ばれ続ける理由を作るとはどうすればいいのでしょうか?実際に例を挙げて説明します。
例えばUSJ、ハリーポッター、進撃の巨人など、新しいアトラクションを次々に生み出し、話題をよんでいます。そうやって常にユーザーから想起される理由を作ることで今のUSJにつながっています。
言語化できない体験は口コミを呼ぶ
USJを出した後にディズニーランドを出すのはどうかと思うのですが(ディズニーの例は僕のオリジナルです)、スペースマウンテンはまさにそうです。
ディズニランドの大人気のアトラクションですが、その面白さを説明するのに、「暗闇の中を縦横無尽に疾走するジェットコースターで.....」などど説明する人はいないと思います。(考えてみたものの、これで友達に説明しても到底ウケるとは思えない)
それよりも、「怖い」、「早い」、「暗い」などで形容される「うまく説明できない体験」こそが口コミを呼び、ブランドの認知を広めるといいます。
お客さんにとっては、言語化できないような体験が口コミを呼ぶそうです。
これはデザイナが作ったコンセプトを言葉として伝えるのではなく、そのイメージをユーザーの頭の中に作り出せればいいということ。それをどう言語化するかは、ユーザー次第。それが体験のデザインです。
まとめ
・著作権は作ったもの全般
・商標は名前とサービスが紐付いているという状態を保護するためのもの
・特許は全く新しいアイディア
・問題を起こさないために「守りのリテラシー」もとしても知っておこう
・法律を知って連携を取ることで自分たちの資産を守ることができる
・ユーザーから選ばれる理由を作り続けよ
・言語化できない体験は口コミを呼ぶ
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Session 4 C × グローバル
株式会社メルカリ デザイナ 鈴木伸緒さん
クリエイティブディレクタ 玉木穣太さん
このセッションは主題を『デザイナーが海外で戦う、とは』とし、海外経験のあるお二人のデザイナーが、海外で学んできたことと、海外環境と比べて日本のデザイン業界の不条理についてお話いただきました。
(個人的に一番興奮した話。懇親会でも真っ先にお話を聞きに行くほどだった...)
日本人は性格的に 極端な選択を避け、なるべく"中間"をとりたがる国民性がありますね。お二人も、外国人と一緒に仕事をする中で、日本人の国民性が、外国人の強かな国民性の前で通用しない現実を体験してきたそうです。
海外、特にアメリカでは、ポジションを取らないと、黙っていたら全てOKというコミュニケーション。日本よりも圧倒的に結果主義のアメリカは、チームでの目標と個人としてOKRを定めているのが一般的なんだそうです。
そういった環境で働いてきたからこそ、日本のクリエイターの働き方に矛盾を感じることもあるそう。
アメリカのデザイナーは上司にも仕事を依頼する
依頼が上から下への一方通行ではなく、「チーム全員で取り組む」という色合いが強く、状況によっては部下から上司へ依頼が飛ぶこともあるそうです。
これは結果主義基づく、プロダクトファーストな考え方で、よりいいものを作るために時々あるそうです。
一日本人として、上司の方にロゴのデザインとかを発注するのは少し気が引けますが、これによって、作業が属人化することなく、ナレッジがシェアされるのでチーム全体に知見が溜まります。
タスクの属人化によって、ナレッジの流動性が全くないチームよりも、上記のようなチームの方があらゆる問題に対応しやすく、個人の成長角度を見てもメリットは大きいのではないでしょうか。
TTP(徹底的にパクる)とはまた少し違って、生きた知恵が循環するサイクルが作られているチームは理想的だと言えます。
デザイナの制作物に対する説明責任問題もありましたが、チーム全体のリテラシーが上がることでコミュニケーションコストも減ることが期待できますね。
デザイナーは何と戦っているのか
玉木さん曰く、日本のデザイナーは社会問題や不条理の中で戦っていて、一方的に搾取される構造にあることが多い。その結果、デザイナの知見が市場に還元されることも少なく、そういったデザイナーが一方的に使われる構造は変わるべきだと言います。
例えば、3万円のロゴ作成案件が、コンペ形式であって何十人というデザイナが競っている。それを締め切り間近までクライアントが「まだまだいけますよ」といって煽っている。追加発注費もなしに、追加発注を平気でする発注者がデザイナを搾取するという構造。
上記の例では、デザイナー同士が戦っています。研鑽し合っているとも言えませんね。これでは、デザイナーの知見が市場に還元されるはずもありません。
デザイナーは、どうしても上流過程に関わる人に淘汰され搾取されてしまう現実がある。その結果、デザイナーが作った利益や貯めてる知見が市場に還元されないままになる。だから個人ではなく、チームで、横で繋がって、そういった業態を少しずつ変えていくべきだと思います。
僕も学生のデザイナーの端くれとして、業態を見極め構造にはまらないようにしたいです。(個人でも力をつけることと、縦横のつながりを意識して作っていかなければならないと思っています)
デザイナーは気付かれたら負け、デザインは水であれ
こちらはメルカリの鈴木さんがおっしゃってました。「気付く」の主語はもちろんユーザーです。社内では、コミュニケーションをとって筋道立てて説明できることが必要だと思います。
ただ、ユーザー目線に立った時に、デザイナとしての責務は不自然さを無くし、ユーザーが気持ちよく使えるプロダクトを作ることだといいます。
アメリカの大学はコンピューターサイエンスの学科の隣にデザインの学科がある
お二人は、デザイナの可能性についても強く言及されていて、デザイン x 〇〇がより一層求められる時代であると言います。実際に海外の大学では、デザインが美大だけではなく、総合大学にいても習えるので、よりいろんな分野の掛け合わせが可能だとそうです。
そういう意味で鈴木さんは、「他の領域だ」と勝手に自分の業務範囲を区切ってはいけない。デザイナーという自分を溶かし、自分のやりたいことはどんどん挑戦し、自分で説明責任を果たす力をつけることが大切」だと言います。
専門分野を学ぶことで専門家になるのではなく、かけ算を楽しめるのがデザイナーの強みであり、それがこれからの時代を面白くする、デザイナーの強みだとおっしゃっていました。
CreativeX に参加してみて
著名なデザイナの方のお話を聞けたことは本当に貴重な機会で学びも多かったです。全体を通して皆さんが言うのは「第二の武器を持て」ということと「ロジカルに説明できる力をつけよう」ということでした。
僕が懇親会で聞いた話も含めて、一番感じたのは、登壇者の方の中で誰一人今の姿を描いて歩んで来た人はいないんだということです。全く違う業種からジョブチェンジしている人や、たたき上げで責任者まで上がって来ている人、英語が全然話せないのにアメリカで働いた人など。
業界の流れを読んでとか、ニーズがあるからとかではなく、単純に「好き」を仕事にしている人たちの姿は素敵でした。デザイナーの方は比較的自分の好きから仕事をはじめた方が多いのではないかなと思っています。
そうやって好きの延長で仕事ができている状況で義務感を感じたら、何かがおかしいのかもしれない。そうやって迷った時は、素直に自分がやりたいと思えることを選ぶことと、選んだ先で自分を幸せにする覚悟を持つことが大切なのではないかなと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございました!
大嶋たいと
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