信頼できるかを判断する方法は?

ある記事や発言が信頼できそうかを判断することは、非常に有益なことです。しかし簡単ではありません。

意識しない限り、人は無意識に自分が信じていること、信じたいことと整合性のある発言を選んだり、権威のある(とされる)人の発言を信頼できると思い込んでしまうようです。Youtubeに代表されるレコメンドは、その傾向をさらに助長します。


信頼できるかを判断する方法は、人それぞれでしょう。しかし、数学・統計系の立場からすると、重要なのは
・因果関係と相関関係の違いを理解し、意識して発言しているかどうか
・事象の包含関係を理解して正確に発言しているかどうか
・「今はわからない」と言えているかどうか
・出展を提示しているかどうか
だと思います。

今回、興味深い記事を見つけましたので紹介します。

新型コロナ、“無症状”でも無害とは限らない
自覚できない症状や長期的な健康被害がある可能性、今わかっていることは

という記事です。

「これが事実だと確認されれば、症状がなくても無害とは限らないことを示唆している」

包含関係、因果関係がしっかり読み取れる文章です。かつ、誰が言ったことなのかなど、発言者を明記しています。

 無症状感染の長期的な影響については不明な点が多いため、慎重に判断したほうがよいと科学者たちは主張する。
「影響がすべて現れるには何年もかかるのかもしれません」とラジパル氏は言う。無症状感染が本当に悪い結果をもたらす可能性は低いが、感染率が高いほど、苦しむ人は増える。

また、今はわからない、ということをはっきり主張しています。既知の事柄の範囲をきちんと線引できているからこその文章です。

しかし最後の一文には驚きました。

新型コロナへの無症状感染が健康に及ぼす影響はまだ不明だが、「ワクチンが安全で有効であることはわかっています」

なぜここだけ、安全で有効だと主張できるのでしょうか?今はまだわからないことが多いはずなのに。。。

なお、「因果関係と相関関係の違いを理解し、意識して発言しているかどうか」については「因果関係不明」をどのように理解すべきかを、「「今はわからない」と言えているかどうか」については今はわからない」と言えることの重要性をご覧ください。


ちなみにフェイクニュースの多くは、
・情報のソースを探ると1か所、または少数に集約している。
・単純な結論ばかりを発信している。
・信頼できるデータ・ソースの提示がない。
・動画ばかりで文章での説明がない。特に査読論文がない。
・エコーチェンバーに陥っている。
・自分は特別な少数派だと思わせる仕掛けがある。
などの特徴があります。併せて統計基礎理解が全くない発言が多いようです。ほかにも、「誰の発言か」ばかりが主張されていたり、周回遅れの情報を使ったりと、いろいろです。そしてその多くに何らかの意図が隠されていることも特徴的でしょう。


(かく言うこのnoteも、あまりソースを載せていません。。。数学・統計部分は教科書レベルのものが多いので、というのが言い訳ですが。)