デマを見聞きした?と問うことの意味について
ワクチンに関するデマを見たことがある人が半数いる、という調査結果が出たという記事がありました。
『ワクチンデマ、5割超見聞き 真偽確認は「テレビ」―新聞通信調査』
この記事では、デマの媒体はインターネット、民放テレビ。一方、正しい情報の確認方法はテレビ報道、SNS、専門家の発信、政府発表、家族や友人、新聞報道。
この記事を読んで、デマとは何なんだろうと考えこんでしまいました。まず、それぞれの人が「デマ」だと判断する内容は違うはずです。例えば自分(達)だけが正しい情報を知っている、と思っている人にとっては、その情報と整合性のある情報以外はすべてデマと思うでしょう。いや、実は多くの人は自分が正しいと思っていること以外はすべてデマだ、と思うのではないでしょうか。何かを「デマ」と断言するということは、その何かについて判断をしていることに他なりません。
「新型コロナワクチンのデマ」について考えるということは、ワクチンに関して何が今わかっているのかを把握することに尽きると理解できます。
ワクチンデマの代表は、チップが埋め込まれる、といった話でしょう。これは、チップがどこまで小型化できているかを考えれば、今の技術レベルでは到底無理だということはわかります。これはデマです。
一方、将来どうなる、云々に関しては、可能性は低くても完全否定できるものではありません。だからデマと言い切ることはできません。
しかし多くの場合、自分がデマだと思ったことがデマだとして、調査に回答しているのではないでしょうか。
同様に、正しい情報の確認方法に関しては、何をデマと考えるかの裏返しでしょう。
新型コロナウイルスワクチンに関する不確かな情報や、デマと思われる情報を見聞きしたことがある人が5割超いることが13日、公益財団法人「新聞通信調査会」の調査で分かった。
調査は8月27日~9月14日、全国の18歳以上5000人を対象に行い、3047人が回答した。
それによると、デマなどを流していた媒体を複数回答で尋ねたところ、インターネットを挙げた人が46%に上った。「民放テレビ」も25%いた。
デマ情報に接したことがあると回答した人は56%。このうち、正しい情報の確認方法(複数回答)は、テレビ報道(48%)、ツイッターなどのSNS(32%)、専門家によるネット上の情報発信(28%)の順に多く、政府発表(25%)、家族や友人(24%)、新聞報道(20%)などが続いた。
ワクチン接種の参考としたのは、テレビ報道(51%)、家族や友人(42%)、政府発表(26%)、新聞報道(25%)などが多かった。
一方、メディアの信頼度を100点満点で尋ねると、平均値はNHKがトップの69.0点。新聞が67.7点、民放61.3点、ラジオ55.4点、ネット49.2点などとなった。
という記事ですが、言えることは以下なのではないでしょうか。
・政府発表への信頼度は25%程度と高くない(または確認されていない)
・テレビ報道への信頼度は5割程度ある
・NHKは7割近くが正しいと思っている
・ネットの情報を信じる人が半数
しかし結局は、自分が信じているのは何か、を問うているだけ。だからこのような調査に意味があったのか、というのが私の最初の感想でした。しかし一歩引いて考えてみたら、「今でもテレビを巻き込めば多くの人が信じる」という調査結果が得られたことは、メディア関係者にはとても重要な情報なのかも知れないと思いました。